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レディ・ジョーカー〈上〉 (単行本)

高村 薫 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人質は350万キロリットルのビールだ―業界のガリバー・日之出麦酒を狙った未曾有の企業テロは、なぜ起こったか。男たちを呑み込む闇社会の凄絶な営みと暴力を描いて、いま、人間存在の深淵を覗く、前人未到の物語が始まる。


内容(「MARC」データベースより)

「要求は20億。人質は350万klのビールだ。金が支払われない場合、人質は死ぬ。話は以上だ。」 一兆円企業・日之出麦酒を狙った未曽有の企業テロはなぜ起こったか。男たちを呑み込む闇社会の凄絶な営みと暴力を描く。

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5つ星のうち 5.0 誠実故に苦しむ魂の咆哮, 2004/11/11
By hisao (北九州市) - レビューをすべて見る
“リヴェラを撃て”を読んだ時は 普通のミステリーにはない重厚な文章にちょっと付いて行けなくなって女房から“あんたはCIA物が解らない”と笑われました。でも最近になって何となく高村さんの鋭い眼差しと帯のコピーフレーズが気になって“照柿”“李歐”“晴子情歌”“マークスの山”と読みついできました。

いずれも長編、くどい程丁寧でエンジニアの様に細やかなデッサン、時に関を切る情熱に いささか持て余す事もあったのですが、昨日読み終えた“レディ・ジョーカー”はすごかった。1997年出版のようですが いよいよ映画化されましたね。正に日本のミステリーNo1と言えましょう。読まれてない方は是非読まれたらと思います。

文庫版“マークスの山”の解説でどなたかが“高村は日本のドスイトエフスキーだ”と賞賛されていましたが、その通りです。

社会と人間の深淵を見つめ尽くす眼力、一言一句ゆるがせにせず語り尽くす筆力に酔わされました。

何故か“ジョーカー”を引かされた善良で優しい男達が突きつけた企業と社会への挑戦状、業界一のガリバー企業“日之出麦酒”城山社長の誘拐。事件は思わぬ方向に展開する、金融暴力・総会屋・政治ゴロ、闇の世界が暗躍する。

それにしても大企業・警察と言った大きな組織で働く人々を見直しました。

日之出麦酒城山社長の誠実で確かな実行力、加納検事の優しさ、そして迫り来る孤独に耐えてなお地上に立つ会田刑事の凛として涼やかな目。誠実故に苦しむ魂の咆哮、葛藤。

高村さんはクリスチャンでしょうか?基調に流れる“神は存在し給うか”の旋律は正にドストエフスキーも奏でた物でした。

私が今まで高村作品をよく理解出来なかったのは私の感性が高村さんの余りにも大きな感性に追い付けなかったのだと思い知らされました。

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21 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 高村薫のマスターピース, 2004/11/14
By くにたち蟄居日記 (Surabaya,Indonesia) - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
現代の日本文き学が到達した一つの地点を示す文学的事件ともいうべき傑作。構成の骨太さ、文体の硬質さ、登場人物を書き込む筆の柔らかさ。そのようにいわば皮膚にひりひりと感じさせる刺激臭に満ちた 誠に過激かつ雄大な作品である。また 犯罪というものが いかに「人間性を示す」格好の題材であることを示すという点でも ドストエフスキーの「罪と罰」以来の作品と言っても 過言ではないとすら思っている。
また 冒頭に出てくる 戦争直後に書かれた手紙に見られる叙情性は 高村が
見せた初めての文章であり その一文が ラストで繰り返される場面では正直涙が出そうになった。
まあ 800字では何も伝わりません。読んで下さい。
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 壮麗な大伽藍のような大作。「かい人21面相」事件を換骨奪胎した展開, 2004/10/28
By yuishi (千葉県) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
前作「マークスの山」でもその緻密な構成に圧倒されたが、それさえも軽く凌駕するレベル。柱一本一本まで精密な彫刻が施された大伽藍建築を見るかのようだ。
これが一人の作家のなせる技かと思うと、ただただ驚嘆してしまう。かといって冗長な展開になっていることもなく、ストーリーは鮮やかに展開する。上下巻2冊を一気呵成に読んでしまうおもしろさだ。
「マークスの山」で登場した合田刑事も所轄の刑事として登場し、警察サイドで異端の刑事として活躍するが、本作全体からすれば一部にしかすぎない。ここに描かれるのは、犯人サイドだけではなく、警察、マスコミ、企業、政治家、総会屋、株屋・・多彩な人物が織り成し、作中では見えない暴力装置と言われる、一大暗黒叙事詩・・・。
冒頭の、昭和22年の怪文書に記載される鬱々とした雰囲気に飲まれ、1990年の競馬場で出会う、鬱屈を抱える男たちが描かれる。彼らが犯罪を決心するまでの描写がすごい。
1995年、彼らはビール会社社長誘拐を企てる・・・。「かい人21面相」こと江崎グリコ事件に材をとった作品であることはすぐにわかるが、現実には迷宮入りした事件に、著者は人間が抱える深い業、暗い闇をつきあわせた・・。
事件はその後、21面相事件をなぞり展開する。実際の事件と同様、犯人サイドが見せる色々な側面に、捜査陣は振り回され続ける・・・。
本作の凄みは犯人たちによる終息宣言後の展開だろう。下巻の後半3分の2を占めるこの展開で、本作が単なるミステリの範疇から越えてしまう・・・。最後は著者が頻繁に描き出す、暗い情念を抱えた男たちが残る・・。
事件によって人生を狂わされた人物が多数・・・。鮮やかな手口を見せた犯人たちの結末もまた印象深い。転落していった暗黒の口と対象的に、ラストシーンの風景が何ともいえない余韻を残す・・・。
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