では、会社とは何か。会社は「法人企業」の別名である。法人とは「法律上、ヒトとして扱われているモノ」のこと。著者はこの解釈をもとに、会社を2階建て構造で説明する。2階部分では株主が会社をモノとして所有する。1階部分では株主に所有されている会社がヒトとして会社資産を所有する。「会社は株主のもの」という米国型の株主主権論は、2階部分を強調したものと指摘する。
では、こういう構造を持った会社にとって、CSRはどんな意義があるのか。
現在のところ、CSRに取り組むことでブランドイメージが上がり、長期的に会社の利益に結びつく点を挙げる論調が多い。だが、著者はこの考え方は株主の利益を最大化するという株主主権論に沿ったもので、2階建て構造の2階部分にしか焦点を当てていないと否定する。社会から、法人というヒトとして承認されている会社にとって、単なる利益の追求を超えた何か、法的な義務を超えた何かを追求するのは当然であり、それが社会的責任であると指摘しているのだ。
「CSRは得にはならない」
リサイクル、有害化学物質の使用低減、CO2の排出削減……。企業が取り組むべき環境対策は多い。こうした環境への対応が、企業の利益になるのか否かという議論は度々されてきた。多くの企業は結局、その答えを追求せず、膨らむ環境対策のコストに頭を痛めつつも、時代の流れに沿って、できることをしてきたというのが実情ではないか。
本書が、CSRについて「得にはならない」と明言しているのは新鮮である。1つの会社が単独でCSRを実践するのでは競争上不利になるが、多くの会社が同時に実践すれば会社存在の基盤として定着するから、今の「CSRバブル」にも意義があるとの見方も面白い。得ではないが、社会的存在としては当然すべきこととCSRを位置付けることで、企業のスタンスが明確になるように思う。
平易な言葉を使いながら、徹底して論理を追求し、会社のあり方、CSRのあり方を根本から考えさせる良書である。
(日経エコロジー 2005/10/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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