独立系の個性的な書店が次々と登場して人気を集める一方で、老舗やチェーン展開の既存の書店もいろいろな試みを見せ、書店界が大きな転換期にある昨今。自分でも2000年にサイトを始め、本屋さんの真似事をさせていただいたところ、予想以上に楽しく、予想以上に大変だったことから、「本屋さんの仕事についてもっと知りたい!」という気持ちが強まりました。そして、「注目を集める本屋さんたちにお話を聴いて、これからの本屋さん像を探りたい」という動機から、この講座を企画したのでした。ふだんは50人くらいのところ、100人を超える受講生が集まってくれたことで、本屋さんの仕事、書店ビジネスへの関心の高さを実感することになりました。現役の書店員の方が意外に多くて驚きましたが、現場で働いている人も、これからのヴィジョンを切実に求めていることが伝わってきました。
1回目の講座では、昨今の書店事情を俯瞰すべく、書店界の動向に詳しいフリーライターの永江朗さんにも加わっていただきました。「本屋さんの仕事自体が、街のなかに限りなく溶解してきているのが、ここ数年の状況」と永江さんが語るように、デパート、ホテル、インテリアのショップのなかにセレクト書店のコーナーができたり、何よりもインターネットにつながるパソコンのある場所はすべて「書店」になり、書店の機能があらゆる場所に拡散している現状があります。
受講生からの質問の多くは、新刊本も古本もたいていの本ならネットで買えるようになった今、リアルな本屋さんに求められるものは何か、今後、リアルな書店はどうあるべきなのか、という問題に関することでした。その問題に対するヒントも、登場してくれた本屋さんたちのお話の中にいろいろ見つけられると思います。ネット書店とリアル書店は対立するものではなく、成功しているリアル書店の多くが、ネットを最大限に活用していることがわかります。また、インディーズ書店と大型書店も対立するものではなくて、協力しあうことで、新たな展開が生まれています。そして何よりも、こうした試みを果敢に試している人々が、実際に個性的な書店を運営し、多くの支持を集めている、そのことの意味を考えることが重要だと思いました。「儲からない」「大変だ」と言いながら、楽しそうな人々。本屋さんに限らず、自分の仕事を好きだと思えることは、人生において非常に幸福なこと。その幸福感が、皆さんから伝わってきます。
編集者 平林 享子(クローバー・ブックス)
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