「脳機能イメージング研究」を専門にする著者が着目するのは、脳の中でもっとも高度な精神活動を行っているという「前頭前野」。実験では、さまざまな行為の最中の脳を断層写真で撮像して、「前頭前野」の血流が増加したかどうかを調べている。増加が認められれば、そのとき脳は活性化したと見るのである。
それによると、コンピュータゲームをしているときにも脳は活性化したが、それ以上に、単純な計算をしているときの方が、活性化が認められたという。また、同じ計算でも素早く解いたり、複雑な計算をしたりしたときの方が、より活性化したという。
こうした実験から、著者はもっとも脳を活性化する行為が「音読」であることを突きとめ、その効果を最大化する「朝刊10分の音読」という方法を導き出している。
本書では、会話、読書、ギャンブル、飲酒などの行為についても調べるほか、単純計算をした後に記憶力がアップしたことや、「読み書き計算」の単純な学習で痴ほう症が改善したことなど、脳活性化の効果を示す実験結果も紹介している。また、研究成果をもとに「右脳と左脳」の通説をくつがえしたり、地域の高齢者や子どもなどに「脳力」アップの学習の場を提案することも行っている。
「使えば使うほど脳は鍛えられる」という著者。科学的な根拠からその具体的な方法を明らかにしているのが、なにより興味深い。(棚上 勉)
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