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倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道
 
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倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道 (単行本)

ローレンス ライト (著), Lawrence Wright (原著), 平賀 秀明 (翻訳)
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ピュリツァー賞受賞作品。『ニューヨーク・タイムズ』年間最優秀図書。ビンラディン、ザワヒリなど「アルカイダ」の軌跡を丹念に追いかけて、その等身大の姿を描く。徐々に惨劇に向かって収斂していく様には、まさに戦慄を覚える。調査報道の頂点を示す傑作ノンフィクション。


出版社からのコメント

【ピュリツァー賞受賞作品、手嶋龍一氏推薦!】
 本書は、2001年9月11日の「米同時多発テロ」に至るまでの道を、膨大な資料分析とインタビューを駆使して再構成し、この凄惨なテロ事件における「人間ドラマ」を描ききった、調査報道の頂点を示す傑作ノンフィクションだ。アルカイダのビンラディン、ザワヒリ、FBI捜査官オニールなど、「9・11」の登場人物たちの生い立ちから、教育、結婚、家庭、価値観、そして「神」にいかに向き合ったかまで、事件に至る経緯とその本質に迫っていく。
 たとえばビンラディンは、サウジアラビアの土建を牛耳る一族の生まれだが、傍流のイエメン出身で、主流ではない宗派だった。しかも四番目の妻の子であり、留学せずに国内教育のみという、幾重にも外様の存在であった。反米に傾いたのも、聖地サウジにいつまでも外国軍が駐留しつづけていることに対する、生理的嫌悪感に基づいていた。
 またザワヒリは、エジプト近代化におけるエリート層の鬼っ子であったが、政府の弾圧による投獄、拷問が彼の闇の気質を迷走させたという。かつて二人の側に立っていた人々が、ある時期を境に、彼らには「理屈が通じない」と言い出すところが不気味だ。
 そして、FBIテロ対策捜査官オニールは、艶福家で、一時カトリックを捨てて原理主義に傾いたものの、またカトリックに回帰した経歴の持ち主だった。
 こうした人間が「9・11」を起こし、そうした人間が彼らを追い、犠牲になったのだ......。
 著者は、テロリストとの対決を描いた映画『マーシャル・ロー』の原案・共同脚本を手がけ、『ニューヨーカー』のスタッフ・ライターでもある。ピュリツァー賞受賞作品、『ニューヨーク・タイムズ』年間最優秀図書選定、手嶋龍一氏推薦!

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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 事実の蓄積からみえるもの, 2009/8/30
9.11から8年になり、あの事件を見直す絶好の著作です。ピューリッツァ賞を受賞したのもうなずける、綿密な調査と、的確な叙述でグローバルジハードの誕生からツインタワーの手テロまでが描かれています。ビンラディンやジワヒリ、また米国の捜査機関の人々に関する、個々のエピソードが秀逸です。訳者があとがきで、歴史的出来事も結局は人間の行動であるというのが納得されます。翻訳が優れています。私の好みからいうと、アメリカのドキュメンタリーによくあるハイドボイルド調の文体がちょっと鼻につくのが玉にきずです。3年前の原書出版ですが、これからのイスラムと日本を含めた先進諸国の関係を考えるために非常に有益な著作だと思います。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 911の「原因」を理解すること。, 2009/10/12
2007年ピュリツァー賞受賞。


というだけで読むには、いささかヘビーな(内容も重量も)本だけど、間違いなくそれだけの価値はある。911に至る道筋をこれでもかというくらい、具体的かつ丹念に追っている。(本当にすごい!)

911を起こしたのは、ラムジ・ユセフを首謀者とする「狂信的な」イスラム教徒。まだここに間違いはない。ただ「狂信的な」という言葉は、さもすると「頭がおかしい」という言葉と同義になってしまう。そうすると、「何が彼らをそうさせたのか」「飛行機でつっこんだヤツらは何を考えていたのか」という観点が抜け落ちてしまうのではないだろうか。

911を起こしたのは確かにイスラム教徒。でも父がいて、母がいて、生まれた国があって、育った場所があって、感じた絶望があって、絶望を行動に移す環境があって、作戦を、行動を提供する組織があって、そこに至った。

この本は首謀者の前の世代、イスラム原理主義の中から、「誰でも殺していい」という理屈を導き出した男の足跡をたどるところから始まり、ザワヒリやビンラディンのいる現代にまでつながっていく。莫大な量の資料から導き出されたそれぞれの人物が描き出され、また最後には、なぜアメリカはそれを止めることができなかったか、1人1人を追っている。

この本のすごいところは、彼らがなぜ飛行機で突っ込むに至ったか、(全く共感はしないけど、)描き出している点ではないかと思う。そこに5つ星。

まさにジャーナリズムの結晶といった感のある、すごい本。

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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 現代史の大河を見てきたように描き切る調査報道の傑作, 2009/10/4
By 麒麟児 (東京都) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
「9.11」は何故起こったのか。かつてあのビルで数年だが働いていた私は長年その真の経緯を知りたいと望んできたが、ようやくそういう思いを満足させる一冊に出会うことができた。それが本書である。

まずは、性急に実行犯そのものの足跡を追うことから始めない筆者の叙述方法がよい。筆者はいわば「思想」のレベルから問題を解きほぐすべく、米国留学時(1948〜50年)に明確なジハード思想を抱き後年エジプト政府に処刑されるに至るサイイド・クトゥブの思想から筆を起こし始める。以降、ビンラディン一族の勃興、ウサマの誕生と成長や宗教への開眼、サウジアラビア王国政府との対立、アフガニスタンやスーダンにおける武力活動などが、豊富なエピソードとともに活写される。綿密な取材やインタビューに基づくであろうその叙述は間然とする所がなく、読む者をして個々の場面に恰も自分が立ち会っているかのような錯覚さえ抱かされる。見事である。

それにしても、個人的な印象ではあるが、本書を一読して感じたのはウサマという人物が(意外なことに)ある意味ではかなり滑稽な人物なのではないかということだ。その思想と行動の間で見られる多分な齟齬は、巷間イメージされる「冷酷なテロリスト」的人間像よりは、寧ろいわば「ドン・キホーテ」的な人物像を想像させる。また、彼の出現がアラブ世界の一般人民の経済的な苦境や「アラブ・アフガンズ」(=アフガンの戦地から中東に帰還したものの社会不適応者(296〜7頁)となった若者たち)の存在などを背景としてのものであることは、歴史的には「ヒトラー」現象の反復を想起させる。

とにもかくにも、下巻を読むのが愉しみである。
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