ナチ政権下のベルリンで開催されたオリンピックが「大規模な国際ショー」として、プロパガンダ利用されたことはよく知られている。本書は、各国の思惑とボイコット運動、ユダヤ人や黒人への迫害、各競技の様子など、新資料と様々なエピソードを網羅した、興趣尽きない現代史。
当時は、ナチのユダヤ人迫害に抗議して大きなボイコット運動が起きた。しかしナチは迫害を一時中止し、反ナチとして焚書に指定した本を書店に並べるなどの工作をした。また、リンドバーグら英米の著名人が接待を受けた結果、ナチ賛美を唱えることとなった。その裏で、外国の目を避けるため、娼婦や同性愛者、浮浪者やジプシーなどは隔離され、収容所に入れられた。
こうした経緯を経て開催された大会は、アメリカの黒人短距離選手オーエンスというスターを生み出すが、ヒトラーは祝福することがなかったという。独裁者は、世界征服の暁には、白人のみのオリンピック開催を夢見ていたという......。
ほかにも、マラソン優勝の「日本代表」選手孫基禎は母国朝鮮のために走ったとインタビューに語った顛末、白人選手が選手村でセックス・パートナーを提供され、妊娠したら国家が面倒を見るという仰天の事実、記録映画『オリンピア』の監督リーフェンシュタールの奮闘にも一章が割かれる。「スポーツと政治」の癒着が歴史的に検証されるが、今世紀はどうだろうか?
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