創業者・松下幸之助が作り上げた松下の経営は、日本型経営の象徴と見られてきたが、中村社長は「創業者の経営理念以外はすべて変えていい」と、聖域なき改革を進めた。「破壊と創造」というスローガンの下、不採算拠点の統廃合、事業部制の廃止、主要関連会社の子会社化などに踏み切ったほか、希望退職によって、タブー視されていた人員削減にも手をつけた。
中村社長は幸之助のような生まれながらのカリスマ経営者ではない。だが、合理的に物事を突き詰め、理に忠実な一種の原理主義者である点は幸之助に共通する。本書はこうした中村社長の特質は、米国での勤務経験が大きく影響していると分析する。
著者は、構造的な問題を抱えていた松下の経営改革は、1977年に就任した山下俊彦元社長の時代から始まったと指摘する。松下は創業者の大きな影から脱するため、山下、谷井昭雄、森下洋一、中村という4代の社長を要した。松下の「30年戦争」は、「番頭」から「革新的な経営者」の時代に移るための試行錯誤だったと結んでいる。
(日経ビジネス 2005/07/18 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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