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ニッポン硬貨の謎
 
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ニッポン硬貨の謎 (単行本)

北村 薫 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

一九七七年、ミステリ作家でもある名探偵エラリー・クイーンが出版社の招きで来日し、公式日程をこなすかたわら東京に発生していた幼児連続殺害事件に興味を持つ。同じ頃、大学のミステリ研究会に所属する小町奈々子は、アルバイト先の書店で、五十円玉二十枚を「千円札に両替してくれ」と頼む男に遭遇していた。奈々子はファンの集い「エラリー・クイーン氏を囲む会」に出席し、『シャム双子の謎』論を披露するなど大活躍。クイーン氏の知遇を得て、都内観光のガイドをすることに。出かけた動物園で幼児誘拐の現場に行き合わせたことから、名探偵エラリーの慧眼が先の事件との関連を見出して…。敬愛してやまない本格ミステリの巨匠EQの遺稿を翻訳したという体裁で描かれる『ニッポン硬貨の謎』The Japanese Nickel Mysteryが、十余年の歳月を経て堂々完成。アメリカの作家にして名探偵が日本の難事件をみごと解決する、華麗なるパスティーシュの世界。エラリー・クイーン生誕百年記念出版。


内容(「MARC」データベースより)

幼児連続殺害事件に挑む、来日中の名探偵エラリー・クイーン…。敬愛する本格ミステリの巨匠に捧げる、北村薫の華麗なるパスティーシュ。エラリー・クイーン生誕100年記念出版。『ミステリーズ!』連載を単行本化。

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5つ星のうち 5.0 クイーン作品を全部時系列的に読み直したくなる、愛情と敬意にあふれたパスティーシュ, 2006/9/8
1970年代後半、来日したエラリー・クイーン(探偵であり作家の虚構人物の方)が解決した事件について記された未発表原稿が発見され、それを北村薫氏が翻訳したという体裁。

本格というのはダブルミーニング。本格ミステリの草分けの一人であるエラリー・クイーンの国名シリーズを扱うということで、ジャンルとしての本格。そして、未発表原稿という体裁のパステイーシュの王道な手法をとりつつ、実にクイーンスタイルを踏襲し、クイーン論まで展開してしまうという、ファンノベルのスタイルとしても本格派なのである。

脚注のお遊び(これは、作中で展開するクイーン論にも呼応している)や、文体の模倣...初めて日本を訪れた外国人目線のズレや、作品が固まるまでに派生してしまった事実誤認の表現が、脚注のツッコミともあいまって、実にいい塩梅にリアル...など、未発表作品の翻訳の雰囲気が良く練れている。

一方、北村薫としての作風も失うことなく作品は構成されている。北村氏といえば、ドラマ部分での人間描写の鋭さも魅力の作家である。美や温もりなどを馥郁たる描写で紡ぐ一方、鮮烈なまでのドス黒さを一閃させる事もできる。

本作では先述の通り、ある種の人には神にも等しいエラリー・クイーンが日本にやってきたらというifのシチュエーションを設定し、神様と幾許かの時を共に過ごすのみならず、ラブコールと同義の作品論を開陳したり、極めつけは共に難事件に立ち向かうという、願望従属のファンタジーである。その、淡い温もりのある色調の風景に、幼児連続殺人事件という漆黒の悪意が吹き抜ける。

この事件の選定の趣味が、なんとも北村節だなぁと思ったのは俺だけではあるまい。

以前創元社より上梓されたアンソロジー『五十円玉二十枚の謎』に対する、エラリー・クイーンの回答という趣向も楽しい。敬意と愛情に満ちた、だが、才能無くば実現不可能な、極上のパスティーシュ作品である。
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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 帰ってきたエラリー・クイーン, 2005/7/18
By があ (大阪市) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
 創元推理文庫『競作 五十円玉に十枚の謎』で、作家若竹七海さんが実際に遭遇した謎を、ミステリーの巨匠・エラリー・クイーンの未発表作品を翻訳したという体裁のパスティーシュ小説。
 実際にエラリー・クイーンの片割れ(エラリー・クイーンはマンフレッド・リーとフレデリック・ダネイといういとこ同士の合作ペンネーム。藤子不二雄みたいなものだ……ちがうか)であるフレデリック・ダネイは1977年に来日しており、その際にエラリー(ダネイ)が遭遇した事件について記されている……という形の小説であるために、北村薫さんは訳者としてこの小説を記している。

 とにかく遊び心一杯の作品で、エラリー・クイーン好き、推理小説好きにはたまらない。エラリー・クイーンの作品である『シャム双子の謎』に対する新たな批評を登場人物を介して提示してみたり、その他の国名シリーズとの繋がりを示してみたり。北村薫さんがいかにエラリー・クイーンを愛しているかが分かる小説です。

 また、『競作 五十円玉二十枚の謎』で提示された、土曜日に50円玉20枚を持って千円札の両替にくる男の謎についても、単に内輪ウケの小話に逃げず、小説として読ませる形にまで昇華させたことがとても嬉しく思いました。

 敢えて難を挙げるならば、このパスティーシュ小説、翻訳小説のような文体が他の作品から読み進めてくる北村薫ファン、特に『スキップ』などの非ミステリ系小説からくる人にはあわない所でしょうか。ミステリファン向けになってしまったので、他の作品よりも間口が狭くなってしまったのは、仕方がないこととはいえ北村薫さんの一ファンとしては残念な気がします。
 ……いや、ミステリファンとしては嬉しいんですけどね。

 

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16 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 北村薫がのびのびと好きに書いている姿が目に浮かぶ怪作, 2005/8/10
By yukkiebeer - レビューをすべて見る
(TOP 10 REVIEWER)   
 1977年に来日したアメリカの名探偵エラリー・クイーン。東京滞在中に、幼児ばかりを狙う連続殺人事件が発生する。
 同じ頃、女子大生の奈々子はバイト先の書店で奇妙なお客に遭遇する。50円硬貨を20枚握り締め、それを千円札に換えてくれるよう奈々子に頼むのだ。
 この二つの事件がやがて一つになって…。

 日本を舞台にしたこのエラリー・クイーンの未発表原稿を、北村薫が十年の歳月をかけて翻訳した、という設定のパスティーシュ小説です。
 怪事件を名探偵が鋭い推理で見事解決していく、という物語の展開を楽しむための小説とはいえません。事件そのものはあっけなく解決してしまいますし、しかもクイーンが説く真相は、必ずしも多くの読者の納得を得られるようなものではないと私は考えます。

 むしろこれは推理小説の読み手として深い見識と筆力をもった北村薫が、パスティーシュ小説の装いを用いて、クイーンのコアなファンに向けて贈るエラリー・クイーン作家論といえる作品です。クイーンの「シャム双子の謎」や「緋文字」、さらにはヴァン・ダインの「僧正殺人事件」に関する北村自身の論考を、主人公の奈々子たちの口を借りて語っています。
 そして本書全体が若竹七海ほか「競作 五十円玉二十枚の謎」(東京創元社)への北村薫の遅ればせながらの参加作品という意味を持っています。
 ですから、よほどの推理小説ファンでなければ本作品にどっぷりと遊ぶのは難しいかもしれません。

 それにしてもクイーンと奈々子のコンビが「空飛ぶ馬」以来の円紫さんと私に重なって見えてきました。北村薫はあのシリーズの続編を書く意思をもう持っていないと語っていますが(別冊宝島「北村薫Complete Book」でのインタビュー)、私はそのことがとても残念でなりません。

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