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名短篇、ここにあり (ちくま文庫)
 
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名短篇、ここにあり (ちくま文庫) (文庫)

北村 薫 (編集), 宮部 みゆき (編集)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

本の目利き二人の議論沸騰し、迷い、悩み、選び抜かれたとっておきのお薦め短篇12篇。半村良「となりの宇宙人」、黒井千次「冷たい仕事」、小松左京「むかしばなし」、城山三郎「隠し芸の男」、吉村昭「少女架刑」、吉行淳之介「あしたの夕刊」、山口瞳「穴」、多岐川恭「網」、戸板康二「少年探偵」など、意外な作家の意外な逸品、胸に残る名作をお楽しみ下さい。文庫オリジナル。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

北村 薫
作家

宮部 みゆき
作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 愛すべき掌編たち, 2008/3/7
 オビに「北村薫と宮部みゆきのお薦め12篇」とありましたが、わたしのように文学作品に詳しくなく、ひいきの作家も特にいない読者にとっては、本書のようなアンソロジーはとても有難いです。
 初めて読む作家が多かったのですが、練達の筆致で描き出される作品は、どれも巧みな語り口で物語世界の中へといざなってくれる。素朴な小品が多いので、やや物足りなく感じる読者もいるかもしれませんが、小説を読む楽しさを改めて感じさせてくれるような、味わい深い短篇が揃っていると思います。巻末の、収録作品をめぐる北村、宮部両氏の対談も、作家ならではの読み方がうかがえて、とても面白い。
 全12篇の中から、いくつか特に印象に残ったものを挙げると―
 城山三郎「隠し芸の男」は、新年の宴会でへそおどりの隠し芸を毎年披露してきた銀行員の話で、一見ユーモラスな中に、身につまされるようなやるせない読後感を残す。
 吉村昭「少女架刑」は、一人の少女の遺体が献体に出され解剖されていく様が、少女の魂を介して語られていく。繊細さと生々しさがない交ぜになったような特異な作品で、寂寞とした哀しみが滲み出てくる。
 多岐川恭「網」は、恋人と別れさせられた男が企てた計画殺人の顛末を描いた娯楽サスペンス。一幕のドラマを見ているような作風で、短篇ならではのコンパクトな面白さがある。
 戸板康二「少年探偵」は、小学生の<足立君>が、なくなった物の在り処を次々に言い当てていく話で、子供の心が巧みに捉えられた、愛着をおぼえる一篇。
 井上靖「考える人」は、一体の木乃伊(みいら)をめぐる考古ミステリーのような趣があるしみじみとした作品。主人公の男は、かつて旅先で目にした印象的な木乃伊との再会を期して、仲間と東北へフィールドワークに出かける。そして木乃伊となった男の生前に思いを馳せていく。
 円地文子「鬼」は、ある女性の結婚の行く手にいつも<鬼>が介在して邪魔をするという、オカルト的筋立ての怪奇譚。目に見えない呪詛の怖さがじわっと醸し出されてくる一方で、女性の幸せな生き方への問いも感じる。
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12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 インパクトが少し足りないかな, 2008/2/5
By 樽井 (兵庫) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 読書量の半端なさでも知られる北村薫と宮部みゆきが短編小説の名作を集めたのであれば、さぞや面白かろうということで期待していたんですが、ちょっとイメージしていたのとは違いました。これはもうこちらの勝手な思いこみが先にあったからかも知れませんが、どちらかといえば古い感じの昔の小説が多かったです。 
 もちろん、古くても切れ味の鋭い作品であったり新鮮な驚きがあるようなものなら万々歳ですが、このアンソロジーに含められたのはどちらかというと、語り手の上手さ、文章の上手さのほうに比重が傾いてしまったのかなという気が個人的にはします。落語的なのもあれば、不条理もの、ショートショートもの、ちょっとホラー風のものと各ジャンルあるんですが、最近のエンターティナー性の高い作品に毒されすぎているのか自分の感覚には強く訴えかけるパンチ力がややたりない感じです。
 それぞれ、さすがに上手いと思うのですが、あんまり「面白い!」というのはありませんでした。どちらかというと、なるほどこういう出来事もあったんだね、的な、ある意味では昔の新聞を読んでいるような感覚でした。強いて一つだけ作品をあげるならば「少女架刑」という作品がけっこう奇妙な味がありました。死亡した少女が死んだあとも自分をたんたんと眺め続ける作品で、「夏と花火と死体」だったかな、乙一さんの作品で同様なのがありましたが、あれのさらに淡々とした版で最後の最後のところまでどうなっていくのかと気になりました。
 それ以外で逆にこんなの許されるのと思ったのが「的の男」という作品で、殺人計画ものなんですが、あまりにもぐだぐだでこれが「標的」とかいうタイトルで連続ドラマ化していたというのが信じられないくらいです。プールで泳ぐ老人を投網で殺そうとする話なんですけれど、、、。短編なんで軽く読んでもらったら脱力すること請け合いです。
 そんなわけで、評価としては5の3です。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「意外な作家の意外な逸品」, 2008/2/20
By ringmoo (愛知県高浜市) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
帯の言葉に偽りはありません。
「意外な作家の意外な逸品」
まさに、この言葉がぴったりと当てはまるアンソロジーです。
私がアンソロジーを好んで読むのは、そこにこうした作家の意外な一面を見せてくれる作品に出会えるからです。

冒頭から、「となりの宇宙人」(半村良)という「落語」まがいの作品から始まります。
私の好みでは、「冷たい仕事」(黒井千次)「隠し芸の男」(城山三郎)といったサラリーマンの悲哀を感じさせてくれる作品です。
それと、死者の一人称で書かれている「少女架刑」(吉村昭)なども好きです。

その他、「むかしばなし」(小松左京)「あしたの夕刊」(吉行淳之介)「穴−考える人たち」(山口瞳)「網」(多岐川恭)「少年探偵」(戸板康二)「誤訳」(松本清張)「考える人」(井上靖)「鬼」(円地文子)と、どれもキラッと光る秀作揃いです。

巻末の「面白い短篇は数々あれど」と題された北村薫、宮部みゆきの対談も面白いです。
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