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文学部をめぐる病い―教養主義・ナチス・旧制高校 (ちくま文庫)
 
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文学部をめぐる病い―教養主義・ナチス・旧制高校 (ちくま文庫) (文庫)

高田 里惠子 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦時中はナチスにコミットし、戦後はヘッセの「よき理解者」として活躍する独文学者。しかし、それは決して“変節”などではない。“一流”を断念した、エリート=“二流”たちの誠実な仕事ではあったのだ。豊富な引用と、愛情(皮肉?)たっぷりの註釈を満載して「文学」ではなく「文学部」のメンタリティを鮮やかに浮かび上がらせる。ますます大衆化する現代日本の中で、内なる“二流”を抱えたすべての人にささげる哀感コメディ。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高田 里惠子
1958年神奈川県生まれ。東京大学大学院博士課程(ドイツ文学専攻)単位取得退学。桃山学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 読ませる, 2008/2/15
ドイツ文学は全くの門外漢であり、高田氏の著作を手に取るのも初めてであったが、この佳作には感服した。文学部≠文学であるどころか、相当の隔たりがある。その隔たり、つまりは文学部と文学への人それぞれの距離感によって葛藤、怨嗟、嫉妬etc.を生む。この顰に倣えば、経済学部≠経済、経営学部≠経営、・・・などとなるのだが、これら学部では等式の不成立が問題視されることもないのは何故か?文学部以外で教授される事柄は、所詮ツールに過ぎず、それ自体は人々を懊悩させるほど深刻な要素を含まない、と誰もが割り切ってるからなのか?
高田氏ならば、この疑問に明快な解答を提示できるかもしれない。
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13 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 冷静に文責, 2007/3/8
高田里惠子は、自分を俎上にあげて堂々と論じていく。
反抗、翻弄、自己嫌悪の悪魔のような自意識のローテーションを
吐露ではなくて、論理的にクールに解析されていく。
これは実体験に基づくから文字からでもずっしりと伝わってくる。
論じ手はかように、凛とするべきなのだと思う。
ワタシは断固として高田里惠子は支持したい。
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10 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 文学部というよりはドイツ文学者中心, 2007/9/12
 自分(大学院が文学部に近いところ)や周囲の「病い」を考える意味で、興味を抱いて手に取った。しかし主たる記述は、ヘッセの翻訳で知られる高橋健二を中心とした独文学者にまつわる話--「余病」として中野孝次が最後に取り上げられている--だ。著者自身による解説(あとがき)によれば、メイン・テーマは、以下のようなものだという。

「…本書の主題を、ひとことで述べよと言われたならば、ドイツ文学者たちのナチス賛美でもなく、昭和十年代のドイツ文学受容でもなく、旧制高校的教養主義の限界でもなく、もちろん『文学部』(東大)批判では毛頭なく、それらをひっくるめて、本書は『二流ということ』、そしてその悲哀についての研究である、と答えたい。」

 一高・東大と進み、翻訳を売りまくった高橋のことを「二流」と言うのはピンとこないかもしれないが、当時の教養主義で言う「一流」は、小説家(詩人)や哲学者(思想家)になることであり、その周辺にたむろする人間は「二流」で、非創造的ということらしい。

 なぜドイツ文学と言えば、フランス文学などは(大学院を)卒業しても教師の職がなかったが、独文科出身者には旧制高校のドイツ語教師という需要がんだんにあり、そのような「二流」の道を進む程度が高かった。(仏文出身者は職がないので、「一流」の道を否応なしに選択する場合が多かった)

 面白かったのは、大正当時ですでに明治期の立身出世主義が行き詰まっていて、超一流校である一高の学生も閉塞感を抱いていたと云うことである。この辺りのことは、猪瀬直樹の『マガジン青春譜』にも詳しい。

 しかし、大学から独立した小説家や批評家を、旧弊的なアカデミズムより高く見る風潮の源を見ることはできたが、期待していた文学部の病に関しては、結局あまり描かれていないのではないか。その種の病に関しては、『文学唯野教授』や、P.ジョンソン『インテレクチャルズ』や、あるいは岡田尊司『誇大自己症候群』(ちくま新書)の方が、よく迫っている気がする。 その辺りに関しては、むしろ、同じ著者による『グロテスクな教養』(ちくま新書)の方を期待したい。
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