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戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
 
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戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫) (文庫)

デーヴ グロスマン (著), Dave Grossman (原著), 安原 和見 (翻訳)
5つ星のうち 4.8 レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)
本来、人間には、同類を殺すことには強烈な抵抗感がある。それを、兵士として、人間を殺す場としての戦場に送りだすとはどういうことなのか。どのように、殺人に慣れされていくことができるのか。そのためにはいかなる心身の訓練が必要になるのか。心理学者にして歴史学者、そして軍人でもあった著者が、戦場というリアルな現場の視線から人間の暗部をえぐり、兵士の立場から答える。米国ウエスト・ポイント陸軍士官学校や同空軍軍士官学校の教科書として使用されている戦慄の研究書。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
グロスマン,デーヴ
米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役後、Killology Research Groupを主宰、研究執辞活動に入る。『戦争における「人殺し」の心理学』で、ピューリツァー賞候補にノミネート

安原 和見
1960年鹿児島生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 警告と希望, 2004/9/4
 戦場では意外にも非発砲者が多いという。第82空挺隊員でもあった著者は冒頭において先ず、「大義と国と仲間を守ろうとしなかったかれらに不快を感じずにはいられない」と訴える。
 しかし、その直後にこうも述べる。「かれらの存在を、そしてかれらが体現しているわが人類という種に備わった高貴な性質を、やはり誇りに思わずにはいられない」。

 著者のこうした強い内面の相克こそ、本書全編に貫かれているものだ。それは、人間の本性というものを一つ一つ白日の下にさらす解剖学的努力でもある。500ページにも及ぶ本書の文面からは、著者自身が深く悩んでいる姿が見えてくるようだ。

 もちろん、著者は元軍人であるから、戦場における合法的殺人を究極的には否定していない。しかし、限定的にせよ、人間が生来的に内在する『汝、殺すなかれ』をこうした著作によって具現化しようとしているようにも思える。なぜか。それは、「まぎれもなく存在するその力(殺人への嫌悪感)の確かさが、人類にはやはり希望が残っていると信じさせてくれる」からだ。著者が元軍人だからこそ、この言葉に一層救われる。

 ただし、気になる部分も若干ある。例えば、米軍と同様に日独軍の発砲率も約20%だったはず(第1章)と記す一方、ドイツ兵は米英軍兵士より多くの敵を殺したとある(第22章)。後者は、むしろドイツ兵の高発砲率の例証ではなかろうか?それとも発砲者一人当りの命中率が違うのか?この点、整合性ある答えが欲しかったところだ。

 ともあれ、それでも本書はやはり力作だと思う。「戦争における」という枕詞に限定されずに、はるかに広く深く人間を理解する上で最適の一冊だと言えるだろう。同時に、本書は人類への警告の書であると共に、希望の書でもあるように思えてならない。

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74 人中、68人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 何よりもリアル, 2006/4/24
By 哲学する河童 - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
戦争を賛成するにしろ批判するにしろ、戦争についての知識がなければ説得力に欠ける、と思う。
戦争の現実を最もよく理解しているのはやはり実際に戦っている兵士なのだろうが、普通の人はそんな体験をすることはないし、またしたくもない。でもこの本を読めば、少しでも兵隊の気持ちがわかるかもしれない。

この本の著者は、実際に軍隊にいて、今は陸軍の教官をしている。そしてこの本は、陸軍学校の教科書になっているとのこと。

戦場で敵に出くわせば、誰でもすぐに殺せる、というわけではないらしい。
なぜなら、人間は本来同種を殺すことにものすごい抵抗感を持っているから。
南北戦争のゲティスバーグの戦いの後、戦場でマスケット銃が多数回収されたが、そのうちほとんどに、弾丸が三発以上込められていたという。
当時の銃は、一発詰めて、打って、また詰めなければならない。なのに、23発詰められていた銃もあったらしい。これがどういうことを意味するのか??
当時の兵士のほとんどは、敵(自分を殺そうとしている敵!!)に向かって、引き金を引くことができなかったのである。

第二次大戦においても、発砲率は15%。
朝鮮戦争では55%に上がり、ベトナム戦争では90%に上がる。

アメリカ陸軍がどのようにして発砲率を上げたのか、この本を読めばわかる。

間違ってもこの本は戦争に賛成しているわけでも、人殺しを賞賛しているわけでもない。
著者はマッカーサーの言葉を引いている。

「兵士ほど平和を祈る者はほかにいない。なぜなら、戦争の傷を最も深く身に受け、その傷跡を耐え忍ばねばらないのは兵士達だから。」
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 戦場で何が起きているのか, 2008/1/8
映画やドラマで主人公の弾は敵に命中するのになんで敵の弾は味方に当たらないのだ矛盾してる、などと私は思いながら映画やテレビを見ることが多かった。しかしこの本を読み終えた今、ふとそれらのことを考えるとあながち非現実的ではないように思える。ゲリラやテロリストが特殊部隊に急襲され一方的にあっという間に制圧されるのはフィクションのご都合主義ではないようだ。

「訓練と実戦は違う」「彼はプロの訓練を受けている」「人を殺すのは難しい」「何をしてる早く撃て!」よく聞かれるこの台詞の本当の意味が本書を読むことで明快になる。いつ死ぬか知れない戦場で兵士が荒々しいのん気な冗談を言っているのは何故か、鬼軍曹がいつも訓練中に顔を近づけてボロカスに罵るのは何故か、私が勝手に「所詮映画だから(笑)」と思い込んでいたベタなシーンの数々は実はリアルな描写だったのではないだろうか。そこには明確な理由があるのだ。

「何故人は戦争をするのか」という問いは多いが「何故人は殺さないのか」という視点は珍しい。兵士が敵を戦場で殺すのは当たり前だとどこかで思い込んでいた現代人の私には目からうろこである。私も含めてレビューだけでは書けない興味深いエピソードが満載なので是非読んでみて欲しい。「え?戦場って実際はそんな感じだったのか」と衝撃と正しい認識が得られると思う。
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