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文学と悪 (ちくま学芸文庫)
 
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文学と悪 (ちくま学芸文庫) (文庫)

by ジョルジュ バタイユ (著), Georges Bataille (原著), 山本 功 (翻訳)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

わたしたちは世界史がつい先程まで「善」の通俗化としての残忍な悪と「悪」の通俗化としての残忍な善にとりかこまれていたのだということを忘れるべきではない(解説より)。―文学にとって至高のものとは、悪の極限を掘りあてようとすることではないのか…。エミリ・ブロンテ、ボードレール、ミシュレ、ウィリアム・ブレイク、サド、プルースト、カフカ、ジュネという8人の作家を論じる。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

バタイユ,ジョルジュ
1897年、フランス、ビヨン生まれ。1935年極左知識人を結集してコントル=アタックを結成。1936年、カイヨワ、レリスと社会学研究会を創設。1946年、「クリティク」を創刊。1962年没

山本 功
1927年大阪生まれ。東京大学仏文科卒業。元学習院大学教授。1974年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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4.0 out of 5 stars バタイユの作家論, 2005/10/7
By 煉獄太郎 (長野県) - See all my reviews
文学の表現するものとは、悪の極限の形態である。

バタイユは前書きにおいてそう言い切っている。
この二十世紀最大の思想家の著作には「悪」と「エロス」が満ち満ちているのだが、この本もご多分に漏れず文学における「悪」を追究している。
論じられている作家は、『嵐が丘』のエミリ・ブロンテ、『悪の華』のボードレール、『魔女』のミシュレ、詩人のウィリアム・ブレイク、『ジュスティーヌ』のサド侯爵、『失われた時を求めて』のプルースト、『審判』のカフカ、『泥棒日記』のジャン・ジュネの八人である。サルトルやクロソウスキーの批判などを通して、この八人の世界を分析している。
仮にこれらの作家の本を読んでいないとしても、「悪」について考えさせられることは大いにあるだろう。バタイユの翻訳としては読みやすい方なので、文学に興味のある方は一度手にとって見ることをお勧めします。

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1 of 1 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 善を前提とした悪、政治と文学、文学と悪, 2009/5/1
 この書はエミリ・ブロンテ、ボードレール、ミシュレ、ウィリアム・ブレイク、サド、プルースト、カフカ、ジャン・ジュネに就いての評論で、そのサブテーマは、サルトルの文学論に対する反論になっている。アンガージュマンを標榜し、ある面で政治的行動に文学を利用しようとしたサルトルへの反論は、日本では江藤淳が「作家は行動する」で行っているが、反論せざるを得ないほどの知性と影響力をサルトル自身が示していたことも反面の事実として示しているだろう。

 バタイユが本書で多くの紙幅を割いているのはボードレール、カフカ、ジュネに関する三つの章で、特にボードレールに就いての論議は本書全体の論旨の中心になっている。文学における悪とは何か、それは善を善として認めたうえで悪を志向しようとする嗜好、それは行動に対する文学の態度、神に対する悪魔の態度、大人に対する子供の態度としても捉えられる、とバタイユは論を進める。何事かを完全に成し遂げて責任を全的に負おうとする「行動=神=大人」を断念することによって可能となる生き方・在り方、それが完全に正当化されることは、原理的には、生きているうちにはありえないこととなる。正当化されるためには、行動を起こし、自らが大人にならなくてはならないからだ。正当化されえない生を自覚して生きること、このことは、例えば今年生誕100年を迎える太宰治について想起すれば理解しやすいのではないか。

 カフカ論、ジュネ論も上記の視角から捉えられる。ボードレール以後の象徴詩人たちの標榜する「視る者」としての自己規定も、勿論上の論議を含んでいることだろう。聖書で言えば夢見る人としてのヨセフ・エゼキエル・ダニエルなどから継承されている原型としての在り方だ。悪は子供性を含み、必然的に善、大人の存在を前提とする。しかし真正の文学者はそのことに自覚的であるだけ、ただの子どもでもただの大人でもなくなっているだろう。

 文学の可能性を思い起こさせてくれる一冊。
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4.0 out of 5 stars 新陳代謝, 2009/11/8
 書評のかたちで書かれた、八人の作家に関する文学論。バタイユらしく、批評の骨格としての「至高」とか「エロチスム」とかは他の評論でも見られるのと大して変わりありません。だからどうしても既視感があるのはいなめません。
 しかし、それぞれの作家の特色を論じて、また新しい見方を提示され、蒙を啓かれるところはあります。
 ボードレールと当時の経済状況を合わせて論じたり、プルーストに共産的なところがあるとか、カフカの父親意識とか、結構面白いです。
 ただ、バタイユの真髄が現れているかというと、そうでないような気がします。他の作家を論ずるがために、作者自身の切れ味は鈍くなっていると思われます。だから、他の本の方が、より遺憾なく彼の思想を知れるかもしれません。
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