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靖国問題 (ちくま新書)
 
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靖国問題 (ちくま新書) (新書)

高橋 哲哉 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

二十一世紀の今も、なお「問題」であり続ける「靖国」。「A級戦犯合祀」「政教分離」「首相参拝」などの諸点については、いまも多くの意見が対立し、その議論は、多くの激しい「思い」を引き起こす。だが、その「思い」に共感するだけでは、あるいは「政治的決着」を図るだけでは、なんの解決にもならないだろう。本書では、靖国を具体的な歴史の場に置き直しながら、それが「国家」の装置としてどのような機能と役割を担ってきたのかを明らかにし、犀利な哲学的論理で解決の地平を示す。決定的論考。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高橋 哲哉
1956年福島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。二十世紀西欧哲学を研究し、哲学者として政治・社会・歴史の諸問題を論究。明晰な論理と批判的思考には定評がある。NPO「前夜」共同代表として、雑誌『前夜』を創刊(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 国家の神さまとかけてトイレの神さまと解く その心は, 2005/5/5
どちらさまも大切に祭らないと腐敗します。

ということで、外交、政治、宗教などが複雑に絡み合って、もはや泥仕合と化している靖国神社問題。議論を見ていると、わけがわからないので、すっきりしたいと思って読んでみた。
本書はこの問題を、感情の問題、歴史的認識の問題、宗教の問題、伝統の問題、国立追悼施設の問題と切り口を細かく分け、それぞれテーマに即して、古今東西の文献を引用しながら、かなり踏み込んで解説してくれていたからだ。

特に、本書で江藤淳の「生者の視線、死者の視線」に対する著者自身の反論を読んだことと、石橋湛山の「靖国神社廃止の儀、難きを忍んで敢えて提言す」を知ったことは、儲けものだったと思う。

本書を読むと、靖国神社は、日本独自の施設でも、日本古来の伝統でもなく、近代国民国家において、国家のために命を捧げた戦士たちを、国家が主体になって顕彰するシステム(他の国にもある)の、日本(帝国)バージョンであったことがよくわかる。

また著者が感情的に靖国神社に反発するだけでなく、「靖国神社の徹底的な一宗教法人化を図るべき」という具体的な提言を掲げ、結論づけている点も評価できる。

しかし、著者が、憲法の「不戦の誓い」を全面肯定し、戦争主体として「国家」を否定する立場に立って史料を集め、意見を述べていることが気にかかる。あまりに理想論すぎはしないか。

いまだに自衛隊や平和維持活動があるように、現在の私たちの生活も国民国家の軍事力によって守られているという側面は現実にある。民主制の古代アテネのペリクレスの演説が表しているように、民主国家であっても国家のために命を捧げた兵士たちを慰霊し、顕彰する行為は必要だと思う。その視点から考えれば、国民はむしろ平和憲法に即した新たな靖国神社を望んでいると、開き直った反論も可能なのだが……。

しかし、靖国神社反対派も賛成派も読んでおいて価値のある本には違いない。

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176 人中、108人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「靖国問題」の現在, 2005/4/28
By 青ち (大阪府) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
とかく迷走しがちな「靖国問題」であるが、その理由は、きわめて複雑な論点の絡み合いを整理しないままに議論しようとするからである。そこで過度に単純化された主張や没論理な感情論が幅を利かせだすと、これはもうどうにも手のつけようがなくなってしまう。

著者は、こうした「靖国問題」を、感情・歴史認識・宗教・文化と個々に章を設けて分析する。その分析の手際は鮮やかというほかない。葦津珍彦・江藤淳・菱木政晴・ジョージ=モッセ・子安宣邦といった重要な論者の議論にも広く目を配り、追悼と顕彰との関係やA級戦犯合祀・「神社非宗教」論・伝統と靖国との関係など、その錯綜を丁寧に解きほぐしている。国立追悼施設の問題も含め、現時点における「靖国問題」の一つの到達点として、この問題に関心を持つすべての人―外国人・「靖国派」の人々も含め―が参照するに値する一冊である。

靖国神社遊就館の売店にも置けばいいと思うのだが…高橋哲哉の本なんか置かないだろうなきっと(笑)。

ただ、気になるのは、「戦争責任論」が「満州事変」以前の戦争を見落としがちであることを指摘しながら、そこでの“遡及”が日清戦争や「台湾征討」止まりな点である。靖国問題の原点は戊辰戦争や西南戦争に代表される内戦期であり、そうした東京招魂社時代の分析は欠かせないはずなのであるが、この時期の諸問題が江藤淳へのツッコミとしてしか使われていない。この点に関しては、個人的に「読み手に残された課題」として読んでおきたい。

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48 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 この問題って、なんでこんなに議論を呼び起こすのだろう, 2005/6/26
By kentmild - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
本書を読んでの感想もさることながら、まず本書のレビューの反響の大きさに驚きました。
レビュー数が多いし、参考になった・ならない票もまた多い。
内容も様々で、1点の評価も5点の評価もそれぞれに多いし、
内容を丹念に説明したレビューから、感情的論評に終始しているものまでいろいろあります。

と、このあたりの原因を考えながら読んでみました。

確かに、靖国問題を様々な角度から分析してみた本書ですが、
必ずしも客観的分析になっているかと言うと、そうではありません。
そこかしこに著者の個人的見解が散りばめられています。
多面的な分析をしつつも、著者の非武装中立絶対視的な思いが、一本通っているようです。
そのあたりに対する読者の反応が、評点のバラツキとして表れているのでしょう。
私自身も、第五章の内容についてはかなりの違和感を覚えました。

本当に靖国問題について考えるのであれば、もう何冊か、
別の主義主張から分析した本を読んだほうがいいのかもしれません。

それにしても、この問題って主義主張なしには語れないものなのでしょうか・・・

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