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アナーキズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)
 
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アナーキズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書) (新書)

浅羽 通明 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

大正ロマン香る革命家の伝説。破滅と頽廃に縁どられたテロリスト列伝。祝祭としての群集蜂起。生命流の爆発。相互扶助と自由連合のユートピア。唯一者を生きる矜持。戦士たちの共同体。あまりの純粋さと単純さゆえに、多くの若者たちを魅了してきた思想史上の異色、アナーキズム。そこにかいま見える近代の臨界とは何か。十冊のテキストをステップとして大胆に講釈される、根源的に考え生きるためのレッスン。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

浅羽 通明
1959年神奈川県生まれ。早稲田大学法学部卒業。みえない大学本舗主宰。早稲田大学・法政大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 アナーキストたちへの共感とツッコミ, 2004/5/25
 本書で「アナーキズム」の名でくくられる思想家達の相貌は実に多様である。「定番」大杉栄はもとより、彼に共鳴するデラシネ・テロリスト、党派の論理に縛られた旧左翼を批判した文学者埴谷雄高、農本ファシズムに限りなく近づく権藤成卿などのコミュニタリアン、ベルグソン的な「生の拡充を称える生命主義者、アナルコキャピタリズムの笠井潔、果てはキャプテン・ハーロックに真田十勇士などの孤独でダーティーなヒーロー。まさにごちゃ混ぜ状態で、ちょっと考えると統一性がないように思えるが、彼らは全て「組織に属さない」「個人の自由に最高の価値を置く」「潔癖で理想主義的」「そのくせ融通無碍なリアリズムを持つ」といった共通点を持つ魅力的な存在として紹介されている。

 浅羽は、そういったアナーキスト達の思想をかなりの共感をこめて描きながら、最後には容赦なきツッコミを入れるのを忘れない。こういう姿勢は、ともすれば「結局何が言いたいの?」といった批判を受けがちだ。実際一時期の浅羽はそういう批判をかなり気にしていた節もある。しかし、『教養論ノート』で、思想を「生きにくい人々への対処療法」としてとらえる立場を打ち出してからの彼は、もはやそんな迷いは吹っ切ったように思われる。本書でも、あくまでも思想を必要とする人々へのたたき台として自らの思考を提供し、具体的な解決策はそれぞれの読者が示していけばいいのだ、という基本姿勢が徹底して貫かれている。こういった姿勢は、最終章で少しだけその可能性が示されている、ノージックに発想を得たと思われる「メタ・アナーキズム」の構想にも通じるものだろう。それは価値観が揺らいでいる現代における知識人としてもっとも誠実な態度の一つだと言えるかもしれない。

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5つ星のうち 4.0 現代の視点からのアナーキズム, 2004/5/24
By recluse - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
あくまでも、現代的な問題関心から、日本におけるアナーキズム思想の変遷をたどった、非常に読みやすくわかりやすい本です。従来からの、革命のドン・キホーテという視点を脱却して、扱われている人物も、従来の大杉栄だけではなく、勝田吉太郎や笠井潔まで、大きく射程を広げています。著者の扱う視点は幅広く、日本的な文脈の中での農本主義者とアナーキストの親和性、保守主義者へのアナーキストへの接近や現在の市場原理主義の下でのアナルコ・キャピタリストにまで及んでいます。そして一瞬の夢や絶え間なき永遠の高揚への執着というアナーキストの本質の指摘は慧眼です。各章ごとについている読書ガイドは半面で、どれほどこの思想が従来はきちんと扱われることがなかったかの皮肉な証明にもなっています。
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13 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 必須のアナキズム論, 2006/8/8
By かがりひらく - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
本書のスタンスは、あとがきにもあるように、アナキズム論を知の道具として使うというものだ。それはアナキズムを論じるうえで、実は重要であるにもかかわらず、あまりなされてこなかったことなのかもしれない。つまりそれは、さまざまな人間行動や思想のなかにアナキズムの要素を見出し、アナキズムを既に現存するものとしてとらえ、今に生かしていくという、アクチュアリティの獲得ということを、これまでのアナキズム論のおおくは怠ってきたということだ。日本アナキズム論は、閉鎖的で、ノスタルジックで、セクト的な議論しか、できなくなくなってきているのではないか。むしろ興味深いアナキズム論は、「アナキズム」そのものが論じられていない領域に存在する。本書では松本零士から「池袋ウェストゲートパーク」まで論述の範囲が広がっている。また、各章の論点が必ずしも全体として整合しているわけでもない。もっともアナキズム自体が体系的かつ整合的に論じられるものではないから仕方がないのだが。
 道具ー方法として、状況倫理としてアナキズムを捉えていこうというところで、著者は鶴見のアナキズム論をとてもうまく使って論じている稀有の人のように思える。でも(たとえば僕ならば)「資本」との対峙関係でアナキズムを理解し把握し評価するというような、特定のアナキズムへイデオロギー的に「肩入れ」し、敵対性を際立たせることでもたらされる思想的な力やある種の魅力というものに、本書が欠けているという側面もある。でも本書は面白い。本書を通して思ったのは、アナキズムは万華鏡のようなものだということ。ほんの少し視角を変えれば、絵柄がガラッと変わってしまう。この変転の激しさが、魅力的でありかつ多くの人の理解を妨げてきた原因であった。本書は埋まるはずのないパズルを埋めようという試みであるが、アナキズムに興味がある人にとっては入門書として最適である。
 
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