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ファンタステス―成年男女のための妖精物語 (ちくま文庫)
 
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ファンタステス―成年男女のための妖精物語 (ちくま文庫) (文庫)

ジョージ・マクドナルド (著), George MacDonald (著), 蜂谷 昭雄 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「お前たち人間はいつだってそうなんだよ。最初は何一つ信じない」。父の遺した書きもの机の鍵を開けると、小さな婦人があらわれて言った。翌朝、ベッドから跳ねおりると、はだしの足が冷ややかな芝草に触れた。妖精の国―青年アノドスの冒険が始まる。「私の想像力を回心させ、洗礼した」とC・S・ルイスに言わしめた、英国モダン・ファンタジーの源流として名高い傑作、待望の文庫化。

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5つ星のうち 5.0 ああ、魂そのものから発現しなくてはならぬ、光明も、栄光も、うるわしく輝いて大地を包みこむ紫雲も。, 2009/10/20
想像力の偉大さ、というものをまざまざと教えてくれた作品。今まで僕が考えていた異世界、ファンタジーというものの概念を根底から覆してしまった。

素材は大事だが、最も大切なのは、人を、者を、世界を「視る」まなざしなのである。胸躍る異世界はどこか遠くにあるのではなく、今まさに、私たちが生きているこの世界なのだ。世界が醜いのなら、それは見る者自身の心とまなざしの穢れを映しているのだ。

新鮮な、幼子のような無垢で純粋な視線で見れば、まさしくFarie Landは目の前に厳として揺るぎなく在るのである。そういう、人間の想像力、想うチカラの可能性を、この本は信じさせてくれる。

うーん、我ながら陳腐で当たり前で、しかも臭いことを言っている。でも、そんな当たり前のことを真理として、圧倒的な説得力を持って表現する……というのは実に、本当に、完膚なきまでにむずかしいと思う。それが出来る作品はもう、わめき叫びたくなるほどに稀少だ。だから、「ファンタステス」は素晴らしいと、僕は心の底から思う。

筋としては若者アノドスがフェアリーランドへ行き、幾多の出来事の末、それまでとは幾分違った心と目を持つようになって還る、という単純なもの。葛藤の軸は自らの心の闇、影との対決である。青春の若い精神の眩いまでの輝きと、不可避的にそこから生じる濃い精神の影、愚かさ、無鉄砲、傲慢、無知……。(ん? どこかで聴いた話だ)
「だれの影でもその人を求めてうろつき廻ってるんだよ。お前さんの世界ではそれを別の名で呼んでいるんだろうがね。お前さんも自分の影に見つけられたのさ」

だが重要なのはそんな筋立てではなく、表わされるイメージの心に訴えかける鮮烈さ、美しいがどこか物哀しい余韻を残す、挿話の流麗なシンコペーションである。
「夢のように、関連はなくても連想のある物語(……)。ただ快く響き、美しい言葉に充ちているけれども、すべての意味と関連から自由で(……)」
同じことを試みたエンデの「鏡の中の鏡」は残念ながら失敗作だと思うが、ファンタステスは真正の、偉大な想像力の濃密で純正な結晶だ。

結末はバッドエンドではないが、どこか物哀しい想いを伴う。主人公と、フェアリーランドの大理石の女神さまは結ばれることはないし、アノドスが通り過ぎたお伽の国は、人の青春と同じく、もはや再び還ることはない。(余談ですが、「果てしない物語」は、同じ結論に全く正反対の肯定的な評価を与えている点が興味深いです)

ルイス・キャロルが序文で「私の想像力に洗礼を与えた」と述べているが、僕にとってもまさにその通りの力を持つ物語となった。翻訳よりもできればみんなに原著で読んでほしい本だ。私的にはハリーポッターよりこっちがオススメ。
ハリポタはとんでもなく面白く刺激的な物語だが(巧みな伏線、魅力的なキャラクター、鮮やかなどんでん返し)、人の心の襞深く無意識にまでは届かない気がする。

蛇足が多すぎて纏まらなくなった! でも削らないぞ!

……すみません。
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11 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 一言でいえば、傑作。, 2006/7/11
マクドナルドと言えば『リリス』が有名だが、この『ファンタステス』は、『リリス』と並ぶマクドナルドの最高傑作。物語の巧さでは『リリス』の方が上だと思うが、幻想的な美しさでは、こちらの方が上。全体を埋め尽くす、詩的かつ神秘的なイメージの美しさは、ファンタジーと言うより、幻想文学と言った方が良いくらい。ラストは、もちろんハッピーエンド。個人的には、『リリス』よりも、こっちの方が好きです。『リリス』好きの方には、こちらもオススメします。
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