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この広告マンのストーリーが米国に初めて登場したのは1916年のことで、以来、もう一度読みたいという読者の声が集まり、復刻が重ねられたという。つねに新しさが追い求められる広告業界を描いた作品が、時代を経ても古びないのは驚きで、それだけの価値あるメッセージが秘められている。
その点からすればストーリーには意外性がある。全体は拍子抜けするほど短く、サクセスストーリーの要素も淡白である。主人公は賢くない平凡な男。「オブヴィアス(あたりまえの)・アダムス」とあだ名がつけられるほどの常識人で、クリエイターとして華麗なアイデアを出すわけでもない。
しかし、そんな「あたりまえ」さゆえに、主人公はビジネス界のヒーローになり上がるのだ。主人公はたとえば、クライアントから次のようなことを言われる。「君の言うとおりだ。どうやら広告は魔術ではなく、ほかのあらゆることと同じように、平凡な常識の問題なのだとわかり始めたよ」。
当たり前のことを言い、当たり前にやり遂げる主人公の尊さが、全体に浮かび上がってくる。これは、何らかの課題や問題に向き合うビジネスパーソンの心にさまざまな形で届くはずだ。とくに、袋小路に入ったときや問題が複雑に見えるときほど、あるいは、近道を求めたくなるときや常識を踏み外しているときほど、このメッセージがもつ意味は大きくなるだろう。
本書にはこのストーリーとは別に、アダムス流のアイデア創出と評価の指針をまとめた文章が加えられている。平凡でも、それが成功のカギになるという励ましも得られる本書は、自信を取り戻したりビジネスパーソンの良き指針になる。(棚上 勉)
出版社/著者からの内容紹介
成功は、あたりまえのことを確実に行なうことから始まる。凡庸と思われたアダムスが教える非凡な生き方に学ぼう。
凡庸と見られた男が、エリートたちにできなかった仕事を次々に成し遂げて周囲を驚かせる。学歴も専門知識もない彼に、なぜそんなことができたのか? 米誌「サタデー・イブニング・ポスト」に掲載され、今も各国で読みつがれている伝説の物語。“平凡な”人びとに元気とヒントを与える、さわやかで痛快な短編。