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ゲノム敗北―知財立国日本が危ない!
 
 

ゲノム敗北―知財立国日本が危ない! (単行本)

岸 宣仁 (著)
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ゲノム敗北
国際ヒトゲノム計画で、日本の研究機関による解読が全体の6%にとどまったことを著者は「敗北」だとして、その経緯やライフサイエンス研究の推進を妨げる「日本的なもの」を、和田昭允・前理化学研究所ゲノム科学総合研究センター長の「DNA高速自動解読構想」の失敗を起点にして紐とき、解説する。

その一方で、ゲノム解読以後、巻き返しの切り札として「たんぱく3000プロジェクト」を紹介し、さらに「次世代を担う異能」としてタカラバイオの加藤郁之進社長や、大阪大学からベンチャー企業を立ち上げた森下竜一教授などの活躍にもふれている。

著者の取材努力には好感が持てるが、6%にこだわり、「敗北」と断定する必要性が今ひとつはっきりしない。刺激的な文字で読者を引きつけながら、日本のバイオをレビューする狙いなのかもしれない。


(日経バイオビジネス 2005/01/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)



出版社/著者からの内容紹介

 本書は、理化学研究所・前ゲノム科学総合研究センター所長 和田昭允氏を中心とした、日本のゲノム解読プロジェクトの歴史をひも解き、80年代前半にアメリカよりもはるかに先行していたと言われながら、最終的に、ゲノム解読の国際プロジェクトへの貢献がわずかに6%に終わってしまった、その敗北の軌跡を丹念に描いています。  100名を越える産・官・学のキーマンたちへの取材から明かになったのは、学界の縦割り構造の弊害、産学連携の歪み、科学技術政策に対する国家ビジョンの欠如、そして稚拙な知財戦略の実態でした。  「日本人に独創性がないのではなく、日本という国に独創性の芽を摘んでしまう風土がある」という和田氏の悔恨は、知財立国を標榜する日本への痛烈な警告となっています。

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5つ星のうち 4.0 シークエンス敗北?!, 2005/4/20
By カスタマー
 時代が「ポストゲノム」ではなく「ポストシークエンス」ならば、題名も「ゲノム敗北」ではなく「シークエンス敗北」であろう。内容はやや日本人科学者を贔屓目にしてはいるが、和田氏ら主な科学者と理研GSC設立を中心にしたドキュメンタリーとすれば、輪郭をよく捉えており真実に近いと思う。
 研究や特許の世界は先見性が重視され、連綿とした厳しい勝負の世界であるから、「敗北」というキーワードも間違いではない。しかも、国家プロジェクトともなれば、純粋なサイエンスというよりは政治・経済が関係する一大事業である。ただ、本書のエピローグで和田氏の言葉として「科学の議論と人格は別、科学の議論に負けても人格の失墜にはならない。」と述べられている。それを拡大解釈すれば、日本も科学の議論や研究、プロジェクトを行っていくことが必要であって、たとえプロジェクトが国際競争で負けたとしても、それで日本国家の失墜にはならないであろう。
日本はまだ、副題にあるような知財立国とは呼べないとしても、産官学とも知財政策に目覚めてそれを目指し始めている。しかしながら、知的財産を生み出す肝心な基礎研究が弱く、それを政策的に推進していくことの重要性が認識不足である。大学院重点化によって学生数は増えたが、カリキュラム内容や卒業後のポストなどにさほど変化は無く、博士課程修了者は一様に就職難である。人材を育成すべき大学院において、研究・指導を職務とする教授が研究費獲得に奔走し、能動的研究力を養うべき学生が授業料を払いつつ単に無賃の労働力として扱われているのである。留学組が帰国しても、こうした因習を前向きに改革するどころか自ら日本の研究環境に馴染めなくなり、「アメリは・・・。アメリカは・・・。」と周囲に日本の不満を言い続けている。
 なぜそうなのだろうか?本書から読み取るべきメッセージは、そこにあるのではないだろうか。
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5つ星のうち 5.0 意外な登場人物たち, 2004/10/4
”ヒトゲノム解読における国際的な日本の貢献度6%”、本書は貢献度がなぜかくも低いのかを検証したものである。そこには日米の貿易摩擦や日本おきまりの官僚組織の弊害などが指摘されているが、まあ運が悪かったと言えなくもないだろう。それより前半で描かれる二重らせんの発見者であるワトソンの科学者というより政治屋のような特異な行動が面白い。

後半、近年のノーベル賞受賞者の野依氏への取材や小柴氏、田中氏の業績についての言及があり、そこで指摘されている人材育成や先端機器開発の海外依存など、この分野に限らず、日本が現在も本質的に抱えている問題点がわかる。

本書はこの分野を引っ張ってきた和田昭允氏の物語でもあるのだが、先のノーベル賞受賞者の他、加藤紘一も登場するなど、意外な人たちの意外な働きが明らかになる。

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5つ星のうち 5.0 遺伝子解読競争、迫真のドキュメンタリー, 2004/10/22
By 丁三 (千葉県) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
かっこいい!
なんてかっこいい世界があるんだろう。
普通のサラリーマンには想像もつかない世界だ。

1980年末から90年代、人間の遺伝子解読に世界中が競って挑んだ。なかでも日本の和田昭允氏は群を抜いた先見性の持ち主で、欧米の5年先をいく独創的なアイディア=遺伝子の自動解読装置を発案した。しかし、役所の縄張り争いに巻き込まれてモタモタしているうちに欧米に追いつき追い越されてしまう。

「日本人に独創性がないのではなく、日本という国に独創性の芽を摘んでしまう風土がある」とは、和田氏の思いが詰まった言葉ではあるが、しかし、それを額面どおり受け取って、「だから日本の文化は・・・」とか「だから官僚は・・・」というふうに、本書を反省や批判の材料にしてしまうのはもったいない。

むしろ、和田昭允というひとりの大天才が世界を相手に戦って負けた、その物語を研究者たちの冒険の物語と捉え、そのかっこよさに痺れるのが正しい読み方であると思う。

著者の岸宣仁氏の作品は初めて読んだが、真に迫る筆致で大変な臨場感があり、テレビのドキュメンタリー番組を見るより遥かに面白い。お勧めの一冊である。

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