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「経営の神様・松下幸之助」を巡る長編小説という形態をとりながらも、その生涯を史実に基づいて追いかけ、彼一流の経営哲学を浮き彫りにしたのが本書である。
資本主義経済にとって、好不況の波は避けることのできない存在だ。しかし、不況下での努力や創意工夫が企業を鍛え、次代に生き残るべき存在か否かを決定づける…。すなわち不況は、時代や市場変化への対応をキーとした「ふるい」であり、資本主義自体の自浄作用なのである。
松下幸之助はこのことを誰よりも熟知していた。つまり、幾多の逆境をビジネス・チャンスとして捉え、さらなる成長へのバネへと転じてきたのだ。いち早く変化を読み取り柔軟な対応を図る「揺るぎない日和見主義」と、自らの「強運」への確信、そして強力なリーダーシップが成功の秘訣である、と著者は指摘する。松下は、会社に結集したさまざまな人材の個性や能力を尊重し、彼らのポテンシャルの最大化を図ることこそが企業体力を築き危機を好機へと転じる原動力である、という強い確信を抱いており、それが独自の教育論の基盤ともなっていったのである。
9歳で和歌山の農村から大阪に出て、丁稚奉公から身を起こした天才経営者は、「神の見えざる手」の振る舞いを皮膚感覚で察知し、時代変化を味方につけながら、成長への王道を歩んできた。本書は、小さなビジネスの火種を「世界の松下」に育て上げる過程で直面したエピソードを丁寧に拾い集めながら、松下の人物像を描いた力作である。(太田利之)
--This text refers to an out of print or unavailable edition of this title.
出版社/著者からの内容紹介
九歳で和歌山の農村から徒手空拳で出て世界の頂点に君臨する企業を作り上げた松下幸之助。戦前~戦後の大不況をバネに、独創的な発想で日本経済を牽引した男の生涯を描く画期的歴史小説。