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半島を出よ (上)
 
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半島を出よ (上) (単行本)

村上 龍 (著)
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出版社/著者からの内容紹介

北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠し、2時間後、複葉輸送機で484人の特殊部隊が来襲、市中心部を制圧した。彼らは北朝鮮の「反乱軍」を名乗った。

〈財政破綻し、国際的孤立を深める近未来の日本に起こった奇蹟〉


内容(「BOOK」データベースより)

北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠し、2時間後、複葉輸送機で484人の特殊部隊が来襲、市中心部を制圧した。彼らは北朝鮮の「反乱軍」を名乗った。財政破綻し、国際的孤立を深める近未来の日本に起こった奇蹟。

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5つ星のうち 5.0 リアルなシミュレーションと壮大な物語, 2007/8/27
By maurice blue (東京都新宿区) - レビューをすべて見る
この「半島を出よ」という作品は、上巻と下巻で少しスタイルが違っていて、上巻が徹底的にリアルな想像を元に執筆された話であり、下巻はエンターテイメント性を重視した物語へと展開される。それ故、若干上巻・下巻で読者として戸惑ってしまう部分はあったが、全体的にとても楽しむ事が出来た。話のボリュームは多いけれど、作品通してスリリングな展開が広がり、飽きずに読ませてしまうのはやはり流石だと感じた。

この上巻は北朝鮮が日本でテロを起こす事がメインで描かれているが、これに関しては非常に緻密な情報収集を行った上での、一種のシミュレーションといった感じで、前述したように、話が現在の日本の状況に即していて、とてもリアルな緊張感に満ち溢れている。村上龍の戦争小説として、「愛と幻想のファシズム」や「五分後の世界」といったものは、ある条件を最初に設定しておく事で、物語を構成していた故に、読んでいて現実感というものがとても遠くにあった気がするのだが、この小説はとてもタイムリーな話題ゆえ、僕自身、身の毛のよだつような、恐怖を感じる事が出来た。

特筆されるべき点は、様々な人々の目線より作品が構成されていく所だろうと思う。政治家、一般市民、北朝鮮の兵士、マスメディア、社会からはみ出したもの達等、それぞれの価値観の違いがあり、優先するべきものも違う。そういった中で発生する、ほんの少しの認識のズレが、様々な問題を引き起こし、事態はどんどん悪化していく事になる。実際僕がこの人だったら、どういう行動を取ったのだろう?そういった想像をしながら読んでいくと、やはりこの小説に出てくる人々と同じ行動を取らざるを得なかったのではないか?そんな風にも感じさせられる。本当に取らなくてはならない行動を示されていても、それぞれの立場でモノを考えると、とてもややこしい問題が数多く存在し、正しい行動に繋がっていかないように思う。そういう意味で色々と僕自身も考えさせられる事となった。

多くの情報量を含み、読者に飽きさせない緊張感を作品中に張り巡らせた、村上龍の渾身の作品であるように思う。読んで決して損は無い小説だと思う。
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27 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 上巻は負のパワーに満ち満ちている, 2006/2/14
By ドクトルg (新潟県) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 近未来と言うにはあまりに近い数年後の日本。確かに現在の延長上なら、国際社会からコケにされているこんな日本なのかもしれない。
 しかし特筆すべきは、北朝鮮のゲリラ侵略という、テーマの凄さである。村上龍でもなければ、このテーマをギャグにせずにSFにもせずに取り組むことはできなかっただろう。そして予想通り展開される日本の無責任体質。絶対にこうなる。大きな問題ほど、誰も責任を取らない国、日本である。

 北朝鮮の兵士の一人一人の背景が凄い。そして、日本人アウトロー達の過去も凄い。これらの圧倒的な歴史の集積が、重ハンマーの連打のように読み手を打ちのめす。ストーリー以前に、社会のひずみが集約的に顕在化した人生の数々に圧倒された。
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22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 村上龍の最高傑作, 2006/5/3
複雑に交錯した何百人というキャラクターがいながら、
少しも破綻することなく、最後の1行まで美しい小説である。
スピード感と軽快さあふれる文体。
少年たちの破壊願望を1つの目的へと昇華させていき、
過去をふりかえり、 癒されていく過程には胸が熱くなる。

私はこの作品を、特に10代の子供たちに読んでほしい。
残酷なシーンが多いけれど、あえてその残酷さから目をそむけずに、
読んでもらいたいと思った。
血と孤独の問いかけの中から、考えるべきものを見いだしてほしい。
人間は簡単に死ぬ生き物だということを。
少数派だという気取りは、ある瞬間多数派の傲慢さに
変わるかもしれない、という脆さを・・・・。

特にどこが好きかと言われたら、ラストシーンだ。
小さく書かれた文字の中に込められた思いは、敵/味方を問わず、
限りない生への尊重と哀悼の気持ちである。
語られずして語る言葉とは、こういった万感の思いを指すのではなかろうか。
ヒューマニズムを声高に叫ぶいかがわしさを、改めて感じる。
読み終わって数日たっても、なお余韻が残る現代小説はこれが
初めてだった。

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