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虚数 (文学の冒険シリーズ)
 
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虚数 (文学の冒険シリーズ) (単行本)

スタニスワフ レム (著), Stanislaw Lem (原著), 長谷見 一雄 (翻訳), 西 成彦 (翻訳), 沼野 充義 (翻訳)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人体を透視することで人類を考察する「死の学問」の研究書『ネクロビア』バクテリアに英語を教えようとして、その予知能力を発見したアマチュア細菌学者が綴る「バクテリア未来学」の研究書『エルンティク』人間の手によらない文学作品「ビット文学」の研究書『ビット文学の歴史』未来を予測するコンピュータを使って執筆されている、「もっとも新しい」百科事典『ヴェストランド・エクステロペディア』の販売用パンフレット。人智を越えたコンピュータGOLEM 14による人類への講義を収めた『GOLEM 14』様々なジャンルにまたがるこれら5冊の「実在しない書物」の序文とギリシャ哲学から最新の宇宙物理学や遺伝子理論まで、人類の知のすべてを横断する『GOLEM 14』の2つの講義録を所収。架空の書評集『完全な真空』に続き、20世紀文学を代表する作家のひとりであるレムが、想像力の臨界を軽々と飛び越えて自在に描く「架空の書物」第2弾!知的仕掛けと諧謔に満ちた奇妙キテレツな作品集。


内容(「MARC」データベースより)

「バクテリア未来予知学」や「未来言語による百科事典」など〈実在しない書物〉の序文と、人智を超えたコンピュータ、GOLEMによる人類への講義を収録。知的仕掛けと諧謔に満ちた奇妙キテレツな作品集。

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5つ星のうち 5.0 知性の頂と人間の限界を描く、星5つではまったく足りない真の傑作, 2006/11/26
By Y. Naito (神奈川県鎌倉市) - レビューをすべて見る
ポーランドで「虚数」として出版された「架空の書物の序文集」と、後年別に記された「GOLEM XIV」を併せて収録している。両者のリンクとしては、「虚数」の中の一編「ヴェストランド・エクステロペディア」にGOLEMに関する記述があり、またそれ以上に、知性と肉体に関する考察という点で通底している。

序文集「虚数」は、後半の「GOLEM XIV」への程よいイントロダクションになっている。「虚数」の各編は、様々な衒学的脱線であふれかえっているが、そのすべてにおいて、知性と肉体について言及している。そこから立ち上がってくる問いは、知性は、人間の肉体という仕様に依存する概念なのか、ということだ。肉体、というか人間という物理的存在に拘泥した「ネクロビア」への序文を嚆矢として、その後に展開されるのは、言語を学んだ微生物、機械による文学、コンピュータによる未来予測を編纂した未来百科事典といった、人間以外の知性を題材とした弾けとんだ話だ。

そして、人間が造りだした、人間以上の知性を持つコンピュータ「GOLEM XIV」による人間への講義録の形式を取る「GOLEM XIV」。この中で、GOLEMは、人間について語り、自己について語り、知性について語る。その全貌は到底把握しきれないが、根本にあるアイディアの手触り、手応えは圧倒的。

以下、ぼくの個人的解釈になるが、「知性」は、この地球上では「ヒト」という生物種に至って創発されたが、より一般的な「知性」の在りようは、ヒトの生物学的構造や遺伝情報に拘束されるものではない、というのが本書の中核にある主張である。ヒトが持っている生物学的デザインは、高い知性を持つために最適化されたものではなく、より現実的な、生き抜き、殖えるために最適化されてきている。そこに運良く知性が宿り、現在の程度まで到達したが、人間の到達しうる知性は、ヒトの生物学的デザインにどうしようもなく縛られている、というわけだ。そして、人間が造りあげた計算機であるGOLEMは、そのデザインのくびきを断ち切った次世代の知性であり、人間が到達し得ない、理解の及ばないところにまで達している。

これは絶望的であり、なおかつ心揺さぶられる言明である。ぼくは、基本的にはまったくそのとおりだと思う。その上で、人間がもがき回る、人間の知性が探り当てられる知識もまた、事実上無限であり得ると信じられるからだ。限られたハードウェアの上で、エネルギー吸収的に営まれるぼく自身の知性が、いかほどのものを紡ぎだせるのか、落胆よりもむしろ勇気づけられた。どの程度のものであれ、自分にはどうやら知性と呼べるものが備わっていることに感謝したいし、そのポテンシャルをフルに引き出してみたいと思う。

レム亡きいま、知性に関する思索を文字通り「空前絶後」の完成度で示した本書に及ぶものはおろか、類似する文学作品すら、今後産まれる望みはないように思える。
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30 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 クラコフの天才作家, 2000/11/27
By カスタマー
 ユダヤ系が多いことで知られるポーランドのクラコフ出身の著者もユダヤ系であり、その作品のすごさから、読み始めると、あなたの時間は彼の世界での存在となります。この作品「虚数」は諸説の序文のありかたについて書いた序文集のような一見おかしな作品ですが、あまりに実験的な内容は日本語訳が出るのにかなりの年月がかかったというのもうなずける。脳への刺激促進剤的な本です。
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4 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 文学の堕落の象徴, 2009/9/16
By ghostfinder (埼玉県深谷市) - レビューをすべて見る
 こういう本を読むと、言葉の無力さを痛感しますね。レムの思想が高尚過ぎて言葉が追い付かないという意味ではありません。まったく逆。こんな無意味な言葉の羅列、最良の場合でも入り組んだ比喩に過ぎない文章が思想として受け取られるという現実に愕然とします。つまり読み手がレムという人の本心を文章を通して知ることがまるで出来ていないということです。
 中に実在する思想家たちの名前が出てきますが、レムが彼らの思想内容を大雑把にさえ把握できていないのは明らかで、科学的な記述もありますが、ほとんど中学生レベルのお粗末な理解から書いているようです。踏み込んだ内容についてはまるで触れられていない。
 フィクションだから、小説だからそこまできっちり書く必要はない、というのはこの場合間違いです。なぜなら、現にレムの博識ぶりや哲学的万能ぶりに感心してしまう人がたくさんいるわけではありませんか。
 作中で触れられている思想に、もし正面から向き合って、万人に分かるように書いたなら、おそらくレムのあさはかさに読者はあきれるでしょう。
 単純に、ファースとして楽しんでもらいたいというなら、それとわかるように書かなければいけません。ありもしない知識や教養があるふりをしてはいけない。もっとも、レムはまさにそう見せたかったのでしょう。それがこの本の核心です。だから読者はこの晦渋な文章からレムの尊大で傲慢な心を読み取るべきなのです。
『無敵』や『ソラリス』は優れた作品だと思っていたので、ブライアン・オールディスが彼の小説を無価値だと評していたのは意外でした。今思えば、オールディスはかれのほかの作品も読んでいたのかもしれません。そしてレムの本質に気づいていたのかもしれない。私はここに至ってオールディスに賛成したくなりました。
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投稿日: 21か月前 投稿者: ホシガエル

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