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僕のなかの壊れていない部分
 
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僕のなかの壊れていない部分 (単行本)

by 白石 一文 (著)
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Product Description

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 「あなたはほんとうに死にたくはないのですか? もしそうだとしたらその理由は何ですか?」(本文より)

   大手出版社に勤める29歳の青年、松原直人。とびぬけた記憶力と研ぎすまされた論理展開能力を持つ彼は、生と死の意味を求めて日々自問自答を続けている。論理を超えた温かな視線で生をとらえる恋人、獣じみた性で結びついたセックスフレンド、親の愛情を受けずに育った女子大生、目をみはるほど美形で厭世的な青年など、個性の強い人間たちが織り成す世界の中で直人が見出したものとは…。

   著者は4作目となる本書で新境地を開いた。生きる意味を不器用なほどまっすぐに追い求める姿勢はそのままに、文章はより簡潔になり、文体は力強さを増した。過度に理知的な語りや突き放した性描写に落ち着かない気分にさせられながらも、読み手は不安を抱えたままぐいぐい引きつけられ、ページをめくってしまう。鋭すぎる文体が生み出す怪しい吸引力は本書の大きな魅力であり、著者の新たな武器である。

   後半に入り、論理的一貫性の先に宗教的な視点が感じられた。直人が母のように慕っていた女性がお寺の長女であったことから、直人の思考に否応なく仏教徒的な考えが流れてこんでくるのだ。このあたりは好みが分かれるところだが、裏を返せば、そういう地点にまでたどり着くほど深く考え抜かれているということだ。「生きる意味」を問う小説が少ない中、そんな疑問に真っ向から挑んだ本書がロングセラーとなっている。(小尾慶一)



出版社/著者からの内容紹介

見えるものばかり追いかけてばかりいたら、人はどんなことにでも絶望するしかなくなってしまう。過去のトラウマにより、驚異的な記憶力を持つ、非凡な青年。彼には、才色兼備のスタイリストの恋人と、子持ちのバーのママである愛人、SMプレイ相手の人妻という女性関係があり、さらに家庭教師の元生徒だった少女と、たまに泊まりに来る弟のような青年という疑似家族がある。

愛について、生と死について、突き詰めて考えずにいられない彼の内面を通して、作者は「何が一番大切なのか」を問いかける。 デビュー作『一瞬の光』で注目を集め、村上春樹にも比較される異才の最高傑作。書き下ろし。

Product Details

  • 単行本: 320 pages
  • Publisher: 光文社 (2002/08)
  • ISBN-10: 4334923631
  • ISBN-13: 978-4334923631
  • Release Date: 2002/08
  • Product Dimensions: 7.5 x 5 x 1 inches
  • Average Customer Review: 3.5 out of 5 stars  See all reviews (30 customer reviews)
  • Amazon.co.jp Sales Rank: #298,907 in 本 (See Bestsellers in 本)

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    #164979 in   > フォーマット別 > 単行本

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18 of 19 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 記憶力をわけてください, 2003/10/3
いつのまにか、つきあっている女性の実家につれてこられた主人公が、彼女の父親にいった言葉。
「ただね、深澤さん、僕はいつも思うんですよ。肉親を強く愛する人間は、案外他人には冷淡だったりするもんだってね」

自分のまわりだけに関心があって、関係のある人にだけ愛着があって、所属する集団の利益だけに興味がある。話したことも見かけたこともない人間がどうなろうとしったことではない。
という考え方を作者は否定しているのだと思う。

東大法学部卒、大手出版社勤務、高給取りでみかけも悪くない。
「話のついでにささいなウソをついてしまう習癖」があり、

人生に対して冷めている。もしくは、冷めていると思いこもうとしている。主人公はそういう人間だ。

小説にカタルシスや起伏のあるストーリーだけを求めている方にはおすすめできない。
理解しようとするのではなく、読んで、少し考えてみればいい。
簡単にできるはずだ。

装丁に描かれている不気味だけど、愛嬌のあるキャラクター。悪意あるNOVAうさぎみたいだけど、たぶん、こっちのやつのほうが、壊れているぶんだけやさしい。

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14 of 16 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 終わりなき日常の時代をおもしろく, 2004/1/5
うん。冷めた時代だ。生きていてもつまらないし。小説読んでも燃えないし。
ましてや他人とわかりあったり、社会を変えるなんて考えられない。

っと私自身も感じつつ、そんな生きにくい時代を「必死に」生きているつもり。

その必死さを描いてくれた、思い出させてくれた、私にとって唯一の小説です。

社会は冷めていても、決して人間自体が冷めている訳じゃないんだ。

大切な本すぎて、これ以上は書けないな~。
ともあれ、何年ぶりかに主人公に共感したり、一緒に驚いたり、泣いたり、笑ったりした小説です。

ただ、読者を選ぶと思います。
ともあれこれ以上ないくらいに、不条理で、冷め切った世の中を見せつけるので、

そして、ここまでシビアに現実を描ききった本もそうそうないので、
その「冷たさ」に馴れない人はしんどいでしょう。
中途半端な浪花節や人情話、ええ話は一切ないです。
でも、読んで欲しいです。
現代に、生きる意味を教えてくれる本です。

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32 of 38 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 小説の役割を再認識!, 2002/9/13
 昨今、どんな小説を読んでも何の旨味も感じられず、失望つづきだったが、この作品にはほんとうに感動した! 作中には安っぽい愛や、ありきたりの殺人や、生きることへのノンキな肯定は一切ない。といって、インモラルな話というわけでもない。むしろ、人がいかに悩み、生きるべきかが繰り返し語られている。小説が軽調なポップスやポップアートとほとんど区別できなくなった今、これは「人はどこから来て、どこへ行くのか」という問いを久々に思い出させてくれる貴重な作品だと思う。しかも、その語り口は巧みで、読む者をぐいぐい引き込んでいく力は十二分。誰もが自分の恋愛や友情や人生を振り返らずにはいられなくなるだろう。“軽妙”な作品群に飽き足らなさを感じている人には是非一読を勧めたい。
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