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罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)
 
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罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫) (文庫)

by フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー (著), 亀山 郁夫 (翻訳)
3.8 out of 5 stars  See all reviews (6 customer reviews)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

ドストエフスキーの代表作のひとつ。日本をはじめ、世界の文学に決定的な影響を与えた犯罪小説の雄。歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、主人公ラスコーリニコフはなぜ殺さねばならないのか。ひとつの命とひきかえに、何千もの命を救えるから。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ
1821‐1881。ロシア帝政末期の作家。60年の生涯のうちに、以下のような巨大な作品群を残した。『貧しき人々』『死の家の記録』『虐げられた人々』『地下室の手記』『罪と罰』『賭博者』『白痴』『悪霊』『永遠の夫』『未成年』そして『カラマーゾフの兄弟』。キリストを理想としながら、神か革命かの根元的な問いに引き裂かれ、ついに生命そのものへの信仰に至る。日本を含む世界の文学に、空前絶後の影響を与えた

亀山 郁夫
1949年生まれ。東京外国語大学長。ドストエフスキー関連の研究のほか、ソ連・スターリン体制下の政治と芸術の関係をめぐる多くの著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • 文庫: 488 pages
  • Publisher: 光文社 (2008/10/9)
  • ISBN-10: 4334751687
  • ISBN-13: 978-4334751685
  • Release Date: 2008/10/9
  • Product Dimensions: 6 x 4.2 x 0.8 inches
  • Average Customer Review: 3.8 out of 5 stars  See all reviews (6 customer reviews)
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62 of 75 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars よく流れリズム感のある日本語に, 2008/10/11
By お気に召すまま (埼玉県) - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
賭博で一文無しになった44歳のドストエフスキーが、乾坤一擲の思いで書いた傑作。選ばれた者の例外的特権、大いなる善の為に小さな悪は許されるか否かなど、重い思想的テーマを扱うが、心理描写や推理小説のような緊張感が素晴らしい。亀山氏の新訳は、日本語としてとても読みやすい。日本語は関係代名詞をもつ西洋語と違い、複雑な構文を苦手としており、主語・述語、主語・述語と短い文章にバラして並列することによって、先へ先へと文章が流れるからである。たとえば、金貸しの老婆を殺した直後のラスコーリニコフの動揺場面を、既訳と比べてみよう。「けれども一種の放心が、瞑想ともいうべきものが、次第に彼を領しはじめた。そして彼は、ともすれば我を忘れて、というよりはむしろ大事なことを忘れて、瑣末な事にかかずらうというあんばいであった」(中村白葉訳、岩波文庫p135)。「ところが放心というか、瞑想とさえいえるような状態が、次第に彼の心を捉えはじめた。数分の間彼は自分を忘れたようになっていた。いやそれよりも、肝心なことを忘れて、つまらないことにばかりひっかかっていた」(工藤精一郎訳、新潮文庫p139)。「だが、ある種の放心といおうか、ある瞑想にも似た状態が、徐々に彼をとらえはじめた。ときおり、われを忘れたような状態に陥った。というより、大事なことを忘れつまらないことばかりこだわるのだった」(本訳p191)。
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49 of 74 people found the following review helpful:
2.0 out of 5 stars 新訳は本当に読みやすいか?, 2008/12/10
読み始めてすぐに、文意の取りにくさを感じた。そこで、岩波文庫の江川訳(1999年刊)と比べてみたところ、こちらの方が遥かに明晰で文脈が読みやすく、日本語もしっかりしている。前半の第1部から幾つか例を挙げてみます。

(1)まずは、物語の冒頭、ラスコーリニコフが通りを歩きながら、頭の中で想念をぐるぐるとめぐらせる場面。
「それにしても、おしゃべりがすぎるな。何もせずにいるのは、このおしゃべりのせいだ。いや、逆にこういうことかもしれん。おしゃべりがすぎるのは、何もしていないからだ、一日中、下宿に寝ころがって……そう、ゴロフ王のことなんか考えながら、こうしてしゃべることを覚えたのはついこのひと月じゃないか。」(亀山訳p.11)
「それにしても、おれはどうもおしゃべりがすぎるな。おしゃべりがすぎるから、何もしないんだ。いや、待てよ、何もしないから、おしゃべりをするのか。こんなおしゃべりの癖がついたのも、おれがこの一カ月、のべつ部屋にばかりごろごろして、考えごと……なに、ゴロフ王がどうのと愚にもつかんおとぎ話をでっちあげていたせいだ。」(江川訳p.13)

(2)すぐその後の、主人公のひどい身なりについて説明する箇所。
「それに、青年の心は、敵意にも似た軽蔑の念が溜まりに溜まり、もともとがごくデリケートで、ときには初々しいほど敏感ながら、今はこうしてぼろぼろの服で外出することすら、少しも恥ずかしいとは感じなかった。」(亀山訳p.13)
「それに青年の心は、敵意にも似た軽蔑にこりかたまっていたから、根が潔癖なほうで、ときには少年くさいくらいの彼も、こんなぼろ服で往来に出てきたことを、いっこうに恥じる様子がなかった。」(江川訳p.15)

(3)続いて、マルメラードフの住まいの描写。玄関口から、一家の、みすぼらしくてひどくちらかった部屋が見わたせる。
「マルメラードフは、同じ部屋の片隅にではなく、独立した別の一室で寝起きしていたが、その部屋が、じつは通りぬけになっていることがわかった。」(亀山訳p.62)
「話とちがって、マルメラードフは部屋の片隅を借りているのではなく、独立した一室に住まっていたが、この部屋は通りぬけになっていた。」(江川訳p.56)
マルメラードフ一家が借りているのは集合住宅の住居の一室である。ふた部屋借りているのではない。これは誤訳の一例ですね。
上記引用は、直前に酒場でマルメラードフが主人公を相手に、自分の一家は他人の家で「部屋の片隅を借りております」(江川訳p.40)と、くだを巻いているのを受けているのである。(亀山訳はこの照応関係を捉え損なっており、同じ箇所も、他人の家の「ひと間に住んでおります」(p.43)となっている。)

新訳『カラマーゾフの兄弟』でも感じたことだが、訳者はどうも原文の文脈(文と文の論理的前後関係)を十分に読み取っていないようである。
最後に、不適切な日本語の例を一つだけ挙げておきます。

(4)ラスコーリニコフは図らずも金貸し老婆の妹(リザヴェータ)をも殺害するはめになる。その後の主人公の恐怖と混乱を語る場面。
「(…)自分がここを抜けだし、下宿にたどりつくのにさらにどれほどの困難を乗りこえ、ことによると、悪事さえ重ねなければならないと理解できたら、彼はおそらくすべてを放りだし、ただちに自首して出たことだろう。」(亀山訳p.190)
「(…)自分がここを脱けだし、家にたどりつくためには、まだどれほどの困難を克服し、もしかすると、悪事をさえ働かなければならないかを理解することができさえしたら、おそらく彼はいっさいをほうり出して、すぐさま自首して出たことだろう。」(江川訳p.166)
「どれほどの〜」と来たら、正しく「〜か(を理解…)」と受けてほしいものです。

大量誤訳を指摘されている新訳『カラマーゾフの兄弟』ほどではないにせよ、本訳書もあちこちで不備が目立つ。訳者も出版社も仕事を急ぎすぎているのではないか。両訳書の不備が全面的に正され、また、続巻の訳文が入念に吟味されることを望みます。
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11 of 17 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars ドスとエフスキーの感じを変えた新訳, 2009/2/18
By PK_PK (JAPAN) - See all my reviews
ラスコーリニコフより下の年齢(高校・浪人・大学初年かのいずれかの時代)に、始めて「罪と罰」を読み、小説を読んで受ける満足感がそれまでと別のものになった。どの訳かは忘れたが、なにしろ自分がラスコーリニコフになった感じにさせられ、まだ知らなかったサンクトペテルブルグを熱病にうなされながら歩いている感じになった。小説とはこういうものか、と強く感じ、それ以後同じような「快感」を求めながら次々とロシア文学を読みあさった。何度も「罪と罰」には立ち戻った。多くの訳の中では、米川訳が好きで、読んだ回数も最も多いだろう。いずれにしても、最初の「罪と罰」読破を契機にして、ロシア文学への興味は当然として、最初に訪問したい外国が当時のソヴィエト連邦の、シベリアかサンクトペテルブルグ(当時はレーニングラード)になった。そういう意味で、私の小説の読み方の原点を与えてくれた「罪と罰」の亀山訳が出るというので、当然飛びついた。亀山訳は「カラマーゾフの兄弟」で感心したからである。少なくとも1巻を読んだ結果は、それなりの満足を覚えたが、不思議と過去の「罪と罰」を読んだときとは違った感覚だった。いうなら、「罪と罰」が私にとって特別な小説ではなく、普通の意味での面白い、かつ考えさせてくれる小説の仲間入りをはたしたのだ。もう今はラスコーリニコフの年齢をはるかに超えてしまったからかもしれないし、過去は名前でしか知らずにさまよい歩いたセンナヤ広場付近やフォンタンカ運河・ネヴァ河・ネフスキー大通りなどを実際に歩き回ってよく知っているからかは不明だが、過去の各種の訳本とは違っている。最大は、やはり訳語が現代的で読みやすくなっているのが原因なんだろうと肯定的に捕らえている。このために、どういう反応が出るのか。少なくとも私の場合である。なにしろ文脈を追いやすいがために、深く小説に没入しないのだろうが、グイグイ読める。そして、小説の背後を常に考えながら読めるようになる。読みながら、現代の世相を考えることができる。特に、強く思ったのは、金貸し老婆殺人での考え方だ。ラスコーリニコフが学生と士官から聞いた話にある、人を苦しめるだけで無用の人間を殺してもいいという殺人の論理だ。彼の殺人には、このような、優れた人間が悪質な人間を殺人しても許されるという「特異な」論理の裏づけがされている。これは、あくまで小説の中であって、ラスコーリニコフも、結局はあれこれさいなまれ、最後に福音書での助けによって再生するのだが、今の日本の世の中を見るとどうだろう。少し前までは考えもされなかったような殺人も多いし、人命軽視がはなはだしい。多くは、ラスコーリニコフのように苦悩もしないのだろうし、再生も望まない人たちが増えている。このような日本に何故なってしまったのだろう?多くの若者が、テストと偏差値で追いまくられ、夢も希望も持たなくなった国に誰がしたのだろう?こういうことを考えさせてくれるのが、亀山訳だ。改めて翻訳の重要さを思い知らせてもらった感じがする。「カラマーゾフの兄弟」でもそうだったが、この訳のお陰で、今まで「罪と罰」を敬遠していた人たちも読みやすくなるのではないだろうかと思う。どこかの国の総理大臣のように、漫画しか読まない人にはまだ難解なのだろうが。なお、1巻では巻末に読者用にセンナヤ広場近くの地図がつけてある。これは非常に便利だ。ここに、直接小説に関係しないから記入してないのだろうが、折角だから「ドストエフスキー博物館」の位置も加えてもらうといいと思う(「マリンスキー劇場」は入っているのだから)。
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