●イタリア人は地元のチームを熱烈に応援する。時に死者が出るほどに。そんなカルチョ(イタリアサッカー)とカンパニリズモ(郷土愛)の奇妙な関係を、都市をめぐりスタジアムをめぐり、解き明かす。
●カルチョ(イタリアサッカー)と
カンパニリズモ(郷土愛)の奇妙な関係とは?
イタリアにカンパニリズモ(campanilismo)という言葉がある。もともと教会の脇に聳えるカンパニーレ(鐘楼)から派生した言葉である。その町の鐘の音の良さ・味わいは、その町の出身者にしかわからない。そこから、郷土への帰属意識・郷土愛を示すこの言葉が生まれたといわれる----。
【本文より】
●数年前、ヴェローナのスタディオ・ベンテゴーディでヘラス・ヴェローナ(当時セリエB)の試合を観ていた時のことだ。試合中、僕の目の前でとんでもないことが起きた。ヘラスのウルトラスが、有色人プレーヤーに向かって、人種差別的なヤジを飛ばし始めたのだ。それだけならイタリアのスタジアムではよくあること。しかし、僕が驚いたのは、それが彼らが応援すべきはずのヘラス、つまり味方の有色人プレーヤー、パパ・ワイゴ(セネガル出身。現在はセリエAのフィオレンティーナでプレー)に向けられていたことだ。
【著者紹介】
小川光生(おがわみつお)
一九七〇年静岡県生まれ。慶応義塾大学大学院西洋史研究科中退。現在ヴェネツィア在住。セリエA関連の翻訳・取材執筆を中心に活動している。著書に『ヴェネツィア ラグーナの風』(河出書房新社)がある。
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