内容紹介
今から2憶5000万年余り前,地球上に住む多細胞の生き物は,その歴史上最大の危機を迎えた。海にいた生き物の種の9割近く,属の8割,科のレベルでみても半数近くが姿を消した大絶滅がおこったのである。 著者のアーウィンは,永年この大量絶滅の実像と,それを引き起こした原因を研究してきた。本書には,最近10年近くの研究で,この大量絶滅が二つの絶滅時期に分けられたこと,さらに二度目のペルム期末の大量絶滅は,精密な年代測定の結果,おそらく16万年間よりもっと短い期間に起こったらしいことなど最新の成果が紹介されている。 また,アーウィンは,殺人事件の犯人捜査をあつかった推理小説のような筆遣いで,絶滅の原因とされる候補について一つ一つ吟味してゆく。隕石や彗星の衝突,宇宙に充満するダークマター候補の一つである WIMPsが地球に降り注いでガンを起こすと共に,地球の核に集積して巨大な火山活動の引き金になったという説,シベリアの大部分を覆い尽くしたシベリア洪水玄武岩の活動,超大陸パンゲアの形成,海水準の低下や上昇,酸素不足,二酸化炭素中毒,メタンの放出による気候変動などなどが俎上に乗せられてゆく。 結論は,相変わらず原因は不明だということである。しかし,本書に活写されている古生物学者や関係分野の研究者が野外で一緒に汗して試料を集め,高度の分析機器も駆使して新事実を発見し,それをもとに大胆なアイデアを構想してゆく様子からは,いずれ古生代末のこの大量絶滅の謎が解かれる日がくることを予感させる。そして,それを解くのは本書を読んだあなたかもしれない。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大野 照文
Dr.rer.Nat.1951年京都府生まれ。1974年京都大学理学部卒業。同大学院修士課程、博士課程を修了。1983年Bonn大学(当時西ドイツ)でDoktor der Naturwissenschaften取得。1986年京都大学理学部助手、1990年京都大学理学部助教授、1997年京都大学総合博物館教授となり現在に至る。専門は二枚貝の化石だが、スキューバで生きた二枚貝を観察したり、多細胞動物の起源に興味を抱き、ロシア、アフリカなどへも調査に出かけている
沼波 信
修士(理学)。1982年岐阜県生まれ。2004年京都大学理学部卒業。同大学院理学研究科修士課程修了。現在博士課程在学中。専門は古脊椎動物学で、主に沖縄の洞窟から産出するシカ・イノシシ・ネズミ等、第四紀の脊椎動物化石の保存・変質過程について研究している
一田 昌宏
修士(理学)。1981年兵庫県生まれ。2008年京都大学大学院理学研究科修士課程修了。現在博士課程在学中。専門は古生代・中生代の微化石で、石炭紀・ペルム紀の有孔虫および石炭紀~三畳紀のコノドントを研究中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)