本書は、そうした人間と疫病との壮絶な闘いを描いた大著である。最後まで読者を飽きさせない筆者の筆力は並々ならぬものがある。しかも医学のみならず、政治、経済、文化、社会というあらゆる分野を視野に入れた、ひとつの壮大な文明論であり、著者のことばに従えば、「人々が病気についてどう考えるかという新しい枠組み」を提供する試みでもある。そしてその試みは、見事に成功している。今後、世界規模で人々の交流が盛んになるにつれ、疫病が伝播する危険性もますます高くなる。本書を読み進むうちに、未知の感染症に対する日本の危機管理体制に対する不安が頭をもたげてきた。本書は、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』に匹敵、もしくは凌駕する傑作といっても過言ではなかろう。(新田弘光)
ギャレットは、素人でも理解不能な言葉と表現で科学の著作を書き上げるという輝かしい仕事を成し遂げた。ここでは医学の領域の恐ろしいエピソードの数々が、科学的発見の心躍らせる物語によって見事に補足されている。(『ザ・ニューヨーカー』)
すばらしい、貴重な著作(ビル・クリントン合衆国大統領)
【「訳者あとがき」より】
公衆衛生のかかえる深刻な問題をこれだけ克明に指摘した本書は、1962年に環境破壊を取り上げたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』に匹敵する20世紀最大の傑作といって過言ではない。(中略)
現代の科学、社会、文化などが病原微生物の生存に有利に働いているという著者の指摘はきわめてするどい。人類がみずから招いた地球のバランスの喪失。その中で解決策を見いだすために残された時間は少ない。今、立ち上がらなければ病原微生物との戦いに人類は敗北するであろうという予言は、21世紀に向けての著者の強烈なメッセージである。
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