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しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか
 
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しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか (単行本)

辺見 庸 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

大反響のNHK・ETV特集を再構成、大幅補充。金融恐慌、地球温暖化、新型インフルエンザ、そして人間の内面崩壊―。異質の破局が同時進行するいまだかつてない時代に、私たちはどう生きるべきか。「予兆」としての秋葉原事件から思索をはじめる。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

辺見 庸
1944年生まれ。91年、『自動起床装置』(文藝春秋、文春文庫、新風舎文庫)で芥川賞、94年、『もの食う人びと』(共同通信社、角川文庫)で講談社ノンフィクション賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 現代警鐘の書, 2009/4/19
この本は、NHK放送ETV特集を再構成、大幅補充された謂わば辺見氏のインタヴューを中心に改めて単行本化されたものである。勿論私もこの特集番組を見た。ですから、番組を見た方にはこの本は、特別真新しい内容では無いし、再確認を出来る媒体の一つに過ぎないかも知れない。ところが、今回読んで判ったのは、番組で見聞きしていた筈の内容が、自身全然「理解」出来ていなかった言い換えれば聞き漏らしていた部分が非常に多かったことである。おそらく私はこの本を1度読んでも、未だ半分も理解していないのではなかろうか・・。それほど、内容の濃い深い深刻な問題を孕んだ本なのである。
先ず読み始めて判るのは、文章漢字部分が一部の単語(語句)を除いて殆ど最小限に使われており、その分平仮名が目立つことである。これは、たいへん読み易い。辺見氏は現在右手が不自由であり、言語ツールとして携帯電話を利用していることがあるいは影響しているのかも知れない。彼は自身で「携帯依存症」だと告知している・・携帯で「文章」を綴りそれをPCへ転送して書いている・・また、現在身体的にも歩行が困難な為に毎日毎日歩く練習を繰り返し行なっている(「自主トレ」と称している)。練習をいくら行なっても良くはならないが、怠ると悪くなる。だから「徒労」とも思えるような「自主トレ」を繰り返す・・それは、辺見氏の深い「思索」に繋がっているように思えてならない。それはまるで終わり無きような繰り返し反芻するような「思索」だ・・読んでいてその執念に私は打たれた・・・
ここでは、具体的な内容紹介は省くが、現代抱えている深刻化する多くの「問題」に直面し、これからどう向き合うのか、どう考えて行くのかを示唆してくれる非常に「貴重」な内容であり本であることに間違いは無い。私もこの本を繰り返し読むことで、より「理解度」を深めて行きたいと思っている。
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34 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 辺見庸というレンズ, 2009/4/19
By adanama (東京都新宿区) - レビューをすべて見る
2009年2月にNHK・ETV特集で放送された内容をまとめたもの。
大阪で行われた講演も収録されている。
もともと聴衆を意識したものであるためか、
語りがとてもわかりやすく、その分ダイレクトに届く。

著者の視線は、世界恐慌から秋葉原事件に渡り、
具体的な事象にふれながら、広告や資本による言葉に対する感覚の収奪、
世界と人間の生体との食い違い、それによる鈍化といった
彼なりの深い洞察に落ちていく。

辺見庸の言葉が特別なのは、
彼がすぐれた評論家や作家やジャーナリストだからではない。

私たちは、すでに習慣として、「言葉」に自分の体を賭けない。
毎日朝食を摂り、排泄し、眠るのと同じくらい日常的に、無意識に、賭けない。
しかし辺見庸は、至極逆説的にいえば、
その習慣に従うことが「どうしてもできなかった」希少な人間だ。

だからこそ読者は、彼の文章に、
最終的には登れないと分かっている崖を指で登るような衝迫を感じる。
私たちは、読むにつれて
「著者の言葉にただ賛同したり反論したりする、ただのギャラリー」
であることに耐えられなくなる。

本書は「自分たちの日常を自分の言葉で表現できなくなっている」
万人に対する、
すぐれた、そして切実な引導、スターターとしてあるように思う。
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29 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 現代を見つめて語る書, 2009/4/21
By 南河内太郎 (大阪・富田林) - レビューをすべて見る
刺激的なタイトルに引かれて手にした一冊。
今年2月に放映されたNHKの特集番組が再編成されたものである。

「2009年のいま、歴史的にはどの場所にもあてはめることがかなわない視えない奈落が広がっている。(中略)自分にはとうていやることはできないだろうけれども、ある種の本能として、いまの世界をなんらかのかたちで、必死になって表現しなければいけない。」

そんな深い思索の中から紡ぎだされたメッセ−ジ、難しい言葉使いにいささか戸惑いつつも、あくまで語り口調で、読む者の心に次々と飛び込んでくる。そして読む者を思索の世界に誘ってくれる。
まさしく読む人の内面の湖底に、著者の言葉が降りていく感じである。

 現代の状況を、金融恐慌、地球温暖化、新型インフルエンザなどの外部世界での崩壊とともに、人間の内面での崩壊という、異質の破局が同時進行するいまだかつてない時代ととらえる。その内面での崩壊こそ、タイトルにある「生体の悲鳴」であり、しのびよる「破局」である。
 そうした時代に、私たちはどう生きるべきか、との根源的な問いを、自らに投げかけると同時に、私たちに問題提起する。人間の内面での崩壊の「予兆」として、あの衝撃的な秋葉原事件からはじまる。

 著者は、現代人の状況を“失見当識”だと指摘する。つまり、現在自身が置かれている状態を認知する能力である見当識(=オリエンテ−ション)が、なんらかの原因で障害を起こし、時間、空間、人物や周囲の状況、関係性をただしく認識する機能が正常に作用しなくなっている状態だという。

 また、情報の伝達と受容の即時性に翻弄される今日の情報のデジタル化、時計化された時間によって、時間と空間を感じる力を失ってきているとも指摘する。人間は思考的な生きものではなく、反射的な有機体であることが求められる、世界と他者について反復して思索し、想いを深めていく人間的な行為、 その人間的な習慣をどこかで忘れたようだともいう。

   「今日は昨日のつづき、明日は今日のつづきという慣性」

メディアが流す大量の情報の中で、表面的にはなんとか平穏な日常生活を送っている私たちへの警鐘のメッセ−ジ、
<人間の価値を貨幣の価値で測ろうとする社会・時代>への問題提起の書といえよう。
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