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蒲生邸事件 (文春文庫)
 
 

蒲生邸事件 (文春文庫) (文庫)

宮部 みゆき (著)
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出版社/著者からの内容紹介

突如ホテル火災に見舞われた受験生・孝史。謎の男に助けられた先はなんと昭和十一年。当代随一の名手会心の日本SF大賞受賞作!


内容(「BOOK」データベースより)

予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた―。大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇。

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5つ星のうち 4.0 未来を知ったとき、人は・・・, 2006/10/30
 単なるタイムトリップミステリーとは異なる、考えさせられる作品である。
 平成6年から昭和11年の2月26日にタイムトリップしてしまった大学受験に失敗した高校三年生が主人公。入試には出ない現代史になんか少しも興味も関心もなかった。
 平成の世から戦前の日本に遡った少年と、逆に戦争の時代に向かう戦前の日本から、平成の世を垣間見た元陸軍大将。もちろん、蒲生邸に住む人々の人間模様や、元陸軍大将の自決をめぐる事件、少年の女中ふきに向ける淡い恋心などもおもしろいが、最大のテーマは「歴史」「その時代に生きるということ」である。
 もし、未来を知って、元の時代に戻ったら、人は何をしたいか。過去の時代を経験して、また現代に戻ったら、どう生きるか。
 「歴史的な事実は変えられても、歴史そのものは変わらない。」というタイムトラベラー平田のセリフが本作品の神髄である。
 何しろ600ページを超える長編。読みごたえがある。読後感は、極めて爽やかである。
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15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 最後は、ほろり, 2007/8/12
By かほひめ - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 おかしなもので、タイムトラベルなどしたこともないのに、もしそれができるとしたら、きっと歴史は変えられる、と思っていた。いつの時代の出来事にもそれを決定づけた事件や人物というのがいる。日本史の試験などで出てくる事柄だ。だから、それに影響を及ぼすようなことができれば、歴史は変わるんじゃないかと。そうすれば、たくさんの人がなくなってしまうような事件や事故を防ぐことができるんじゃないか、と思っていた。

 しかし、ここに出て来るタイムトラベラー平田は「歴史の細部は変えられても、歴史そのものは変えられない。そんなことをしようとしても、それは所詮”まがいものの神”でしかない」と言う。最初はそれが理解できなかった。日本が戦争に突入しない方法、原爆が投下されない方法、または、これほど大きな犠牲をだす前に戦争をやめる方法・・・なにか手だてがあるんじゃないか、そう思いながら読み進めた。

 しかし、読んでいくうちに彼の言うことがよくわかった。私たちは後世の人間として、なにが起きるか知っているから後からあれこれ批評もできるけれど、その時代に生きている人たち全ての考えでも変えない限り、歴史を変更するというのは無理なのだ。たとえば東條首相を暗殺したとしても、別の東條がでてくる、それだけのことなのだ。

 歴史というのは、人間が積み上げていくものだけれど、個々の出来事に多少の変更があっても、それは歴史全体にはたいした影響のないものらしい。読んでいて、その点は納得ができた。戦前に戻り、自分の祖父や祖母を戦災から守ろうとすることはできるかもしれない。だけど、戦争そのものを防ぐことはできない。

 だからこそ、今この時代に生きている、ということが大事になってくる。これからの歴史を決定づけるのは、今を生きている私たちなんだから。

 私はSF小説があんまり好きではないので、おもしろいんだろうか、とあまり期待せずに読み始めたこの作品、先が気になって、これだけの厚さだというのに一気に読んだ。あまり急いで読んでしまったから、もう一度ゆっくり読みたいな、と思っている。設定がタイムトラベルした先の時代だからジャンルとしてはSFになるんだろうけれど、いやはや、そんなジャンル分けできるような小説じゃない。いろんな要素を詰め込んだエンターテイメントです。

 蒲生邸で働く女中・ふきと、この戦争を生き延びたら浅草で会おうと約束する。昭和20年に蒲生低付近も大規模な空襲にあうことを知っている孝史にしてみれば、会えない確率の方が高い、切ない約束だっただろう。まがいものの神でもいい、せめて関わりを持った人たちだけでも幸せになってほしい、という彼の気持ちが痛いほど伝わってきた。

 推理小説の要素もありながら、最後はほろりとさせてくれる。終戦記念日間近のこの時期だからこそ、いろんな人たちに読んでほしいと思う作品だった。

 
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21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 後からなら何とでも言える, 2003/11/2
宮部氏の人気作品で、もうすでに色々な側面から言い尽くされていますが…私が一番感心しているのは、歴史を後から見て批判を加えるというのは卑怯な行為だ、とバッサリと言ってくれた所です。現代でも、何か事故や事件が起こるとマスコミがよってたかって「原因究明うんぬん」のバカの一つ覚えを金科玉条にして、あることないことほじくりかえしながら個人を攻撃してゆくことがあります。その行為は時には、その時を迷いながら懸命に対処しようとした人に対して安全地帯から非難するという、卑怯な性質を持つのだということに、この本の内容はつながっているのでは、というのはちょっと私の拡大解釈が過ぎるでしょうか?
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