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駆ける少年 (文春文庫)
  

駆ける少年 (文春文庫) (文庫)

by 鷺沢 萠 (著)
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Product Description

出版社/著者からの内容紹介

父の過去帳に記されていた見知らぬ名、青年はそれを手掛りに父の一生をたどり始める。父とは誰か、私は何なのか?表題作他二篇


内容(「BOOK」データベースより)

なぜ少年は走り続けるのか。ある夜見た夢がきっかけとなって、龍之は死んだ父のことを調べ始める。過去帳の中に記された見知らぬ名前から明らかになってゆく父の複雑な人生。父とは誰だったのか。私とは何なのか。青年の感性をみずみずしくとらえた表題作をはじめとする三篇を収録。第二十回泉鏡花文学賞受賞。

Product Details

  • 文庫: 219 pages
  • Publisher: 文藝春秋 (1995/05)
  • ISBN-10: 4167266032
  • ISBN-13: 978-4167266035
  • Release Date: 1995/05
  • Average Customer Review: 4.2 out of 5 stars  See all reviews (6 customer reviews)
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4 of 4 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 読みにくくはない。, 2003/8/8
 収録されたどの話も、日々を生きていくしかない人たちの切羽詰まった感情が伝わってきた。正確には周囲の環境によって左右されていく生活。それでも読んでいて苛々することはなかった。その背景に夏という季節があるからだろうか、蒸し暑さに流す汗のような空気が全体に感じられる気がした。作者の環境・感情描写がよくできていて、どうしても諦めきれない事柄が鬱積されている人生の一つが、短い話の中に凝縮されている。鷺沢萌の力量を感じるのにも良い作品だと思う。
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3 of 3 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 駅で、ぼーぼー泣きました。, 2003/5/13
タイトルどおりです。いや、おはずかしい。
通学の車中で読んでいたのですが、引き込まれてしまって、
駅のホームで一気に読んでしまいました。
それだけ力のある短編集です。
(講義はブッチ・・・。それより重要な事が書かれている書なのです)

中でも、表題作の『駆ける少年』は鷺沢萠氏の代表作だと思います。

主人公が、亡父の足跡を辿り、自分と亡父の人生を重ね合わせ、
亡父に疑問を抱いていたことへの答え(≒アイデンティティー)を模索していく内容。
ミステリー仕立の構成で、これが絶妙。
グイグイ物語に引き込む要素のひとつになっています。
本作は、作者の私小説的要素が高く、
鷺沢萠氏の父親を模索する様な内容になっています。

他にも、『帰れぬ人々』がその類で、<!BR>そちらもあわせて読むと、より作品の彫が深く感じられると思います。

個人的には、狂気に満ちた『痩せた背中』にもドップリ魅せられました。

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2 of 3 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 息子にとって父を知るということの意味を問う作品, 2004/5/5
By yukkiebeer - See all my reviews
(TOP 10 REVIEWER)   
 十年来、鷺沢萠のエッセイのファンでしたが、小説となると映画化された「大統領のクリスマス・ツリー」程度しか読んだことがありませんでした。今回改めて本書を手にしましたが、この短編集に収録された表題作はとても心に染み入る、読み応えのある作品でした。

 発表されたのは89年のことで、当時読んでいたらまた違う感慨を持ったかもしれませんが、社会人としてある程度の年月を過ごした今だからこそ、父親の人生について息子としてもっと知ってみたいというこの主人公の心が私にはとてもよくわかるのです。小説の中の世界に自分の気持ちがすっと入っていけました。
 

 恵まれない家庭環境の中で孤独感にさいなまれていた父が、だからこそ「できる限りのことをまわりの人間にして」やろうと行動していたことを知り、息子の龍之は失った父の大きさを改めて感じます。一人の名もなき人間が生まれ、生き、そして逝く。そのわずかな時間の中で、何かを遂げようと努めていた父の中にあった孤独。それを誰にも気取られぬまま逝った父。
 小説の終わりで、龍之が今また父の背を追うかのように町の人ごみの中に紛れて行く場面の描写は秀逸です。

 こうした味わい深い短編を読むというのはささやかな喜びです。誰かにこの喜びを知らせたくなる小説だとも言えます。
 そしてその喜びを作者の生前に知ることが出来なかったことを悔やむ思いが今の私の心にはあります。
 

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