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巨匠(マエストロ)たちのラストコンサート (文春新書)
 
 

巨匠(マエストロ)たちのラストコンサート (文春新書) (新書)

中川 右介 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

フルトヴェングラー、バーンスタイン、カラヤンからロストロポーヴィチまで―音楽と人生への“思い”が鮮明に刻印された、クラシックの巨匠たち九人の「最後のコンサート」の物語。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

中川 右介
1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。現在、「クラシックジャーナル」編集長、出版社「アルファベータ」代表取締役。ドイツ、イタリア、アメリカなど海外の出版社と共同・提携し、芸術家や文学者の評伝の翻訳本を出版する傍ら、自らもクラシック関係の著書を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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15 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 充実の内容に満足, 2008/7/1
いわゆる既成のクラシックマニアにありがちな偏見に毒されておらず、あくまで事実に語らせようという姿勢に好感が持てる。早々に「カラヤンからクラシックに入った」と吐露してはばからず、しかしそれをまったく気にしていないのは(実は私もカラヤン・ファンだが、やはり公言するには勇気が要る)、やはりジャーナリストとしての自信に裏打ちされていると読んだ。小気味の良い切れ味の文体にもそれは感じられ、事実に基づきながらも確固とした主観が盛り込まれて、面白いばかりでなく一種のすがすがしささえ感じさせる。
書き手の思い入れ(思い入れと主観は明らかに異なる)を極力排したかったというが、編集者の「もっと思い入れを!」というアドバイスに不本意ながら従ったと「あとがき」にある。しかし私は、この姿勢を貫いて欲しかったと思う。よくできたノン・フィクションに共通するのは、やはり思い入れの徹底的な排除だからだ。こんなアドバイスをした編集者は無能にほかならず、筆者は実は「あとがき」でそれを訴えたかったのではないか?少なくとも私はそう受け取った。

閑話休題。私はヒマなときにヒマツブシで読もうと買ったのだが、読み始めたら他のことをまったく中断していっきに読み終えてしまった。それほどの求心力のある作品だ。全体の構成まで気を配ったと言うが、確かによく練られており、各話の面白さも十分。例えば最後を飾るのがロストロポーヴィチの話だが、ロシア作家の一作品をめぐって話を展開させるサスペンス張りの構成で、しかも読み終わった後にその構成がはじめて解るという凝った作り。そしてその前には、比較的軽いクライバーの逸話を置くなど(まさにベートーヴェンでいう8番と9番の関係だ)、憎い演出を織り込む。
この手のノン・フィクションは、「〜だったのである」という文章一つにも、事実と反してはならないからその検証作業が膨大だと思う。お気楽なエッセイや小説とは違う労作だ。しかしその苦労を白鳥のように水面下に隠し、淡々と進めてゆく手腕にはとても好感が持てるし、だからヤッパリその無能編集者のアドバイスを聞き入れて欲しくはなかった。
内容には多少のムラがあり、カラヤンには思い入れが強いぶん、それを表出すまいという意識が強く働いたのであろう、かえってスタンスを取りすぎた感がある。が、フルトヴェングラーと前述のロストロポーヴィチは本当によくできており、読み応え十分。

最後に面白かったのは、前述の編集者の理由もあり、思い入れを語るときには大変ためらいがちなのだが、逆に演奏評やディスク評などでは、まさに独断を怖れぬ物言いで切れ味十分以上、それも痛快であった(ただし同意できるかどうかは別問題だが)。クラシックを真に楽しむためにはやっぱりこれくらいはマニアの世界に入っていないと十分とは言えず、そうなると昨今のいわゆるクラシック・ブームというものがいかに皮相なものかがよく分かる。オタクやマニアこそが真の文化の担い手である、とヤッパリ認めざるを得ない、強い説得力を持った一冊だ。
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17 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 知性と愛情の欠落, 2008/11/4
音楽の好きな人であれば当然興味をそそられる題名であるが、全く期待はずれであった。
その理由は全く知性の感じられない文章と、登場する巨匠に対する愛情と敬意のなさにある。大体、クラシック音楽に対してこの程度の思い入れしかない人間が、このような本を出版するということ自体が間違いであると思う。クラシック音楽を愛する人が購入しても、何ら得るところのない本である。
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11 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 音楽を聴くということ, 2008/6/14
 音楽を意識して聴くようになったころから(たぶんそれは中学生ぐらいだったと思うけど)、アーティストがどんな人でどのような生き方をしてきたか、なんてまるで興味がなかった。同級生はジョン・レノンがどうしたとか、ポールがなんたらかんたらと盛んに喋っていたけど、そんなことはどうでもよかった。CD(当時はレコードだけど)に記録された音楽がすべてで、それさえ聴いていればよかったのだ。クラシック音楽を聴くようになっても事情はあまり変わらなかった。でも、そうではないことに少しずつ気づくようになった。アーティストの背景を知ることで生まれるものもあるということだ。『巨匠たちのラストコンサート』は、トスカニーニで始まりロストロポービィチで終わる9個の物語(ボーナストラックを入れると10)。ラストだと意識していた人も図らずもラストになってしまった人も、それぞれに悲しい物語を秘めている。しかし、それを知ったあとで聞こえてくる音楽は、それを知る前とでは確実に違っているだろう。
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