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天安門文書
 
 

天安門文書 (単行本)

張 良 (著), 山田 耕介 (翻訳), 高岡 正展 (翻訳)
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 「中国改革の星」と謳われた胡耀邦の急死から2日後の1989年4月17日、中国政法大学の学生と青年教師600人が弔旗と花束を持って天安門広場に入ってきた。中国共産党の中枢を震撼させ、「血の弾圧」に踏み切らせた「天安門事件」の始まりである。胡耀邦の死を悼み、2年前に党総書記を解任された彼の名誉を「順法的な手段で」回復することが目的だった小集会は、やがて100万人を糾合する一大「学潮(学生運動)」に膨れ上がっていく。本書は、その過程と、戒厳令発令にいたる「中南海」(中国権力中枢)の政策決定の経緯、胡耀邦急死直前の4月8日から天安門広場で学生たちが戦車の下敷きになる6月4日までを、第一級の極秘文書をもとに再現したドキュメントである。

   学生運動を「富の不公平な分配と党・政府指導部の腐敗に対する異議申し立て」とする趙紫陽・党総書記と、一部のブルジョア反動分子が策動する「動乱」とみる李鵬首相の対立。「彼らの目的はあなたの追い落としです」という李首相の巧みな使嗾(しそう)に揺れる小平の胸中。しかし、最後には「少数派は多数派に従うのだ」というツルの一声で趙ら穏健派を押さえ込む老最高指導者の頑迷さ。そして、その次にくる趙の失脚と江沢民の抜擢。本書は中南海の「垂簾」の奥で繰り広げられた密事を、「八老」のしわぶきまで聞こえてきそうな生々しさで再構成しているが、これは内部文書がなければ絶対になし得ない復元作業である。

   その内部文書は編者の張良(チャンリャン=仮名)によってアメリカに持ち出されたものとされている。2001年1月、アンドリューズ・ネイサン、オービル・シェル両教授の監修で英語版が出版されるや、欧米、香港、台湾のジャーナリズム界に一大センセーションを巻き起こしたが、同時に文書の真偽をめぐる論争も活発に展開された。その論争については、シェル教授の「あとがき」に詳しい。あるいは、この膨大な文書の中にデマゴギー的夾雑物が紛れ込んでいるかもしれない。しかし、ここに記録された学生たちの異議申し立てのエネルギー、中国社会を深く割いている矛盾、中国共産党を骨の髄までむしばむ腐敗、権力抗争の陰惨さは、いささかの疑念も差しはさませない真実の力を持っている。(伊藤延司)



出版社/著者からの内容紹介

1989年の天安門事件の真相を暴き、世界的注目を集めた機密文書の全訳。
6月4日の流血事件に至る過程で行われた最高権力者たちの秘密会議の議事録をすっぱ抜き、趙紫陽総書記の解任、戒厳令布告、江沢民の後継指名等の重大決定を誰が下したかを白日の下に晒す。議事録の要約ですが、一人称語られる密室の会話は権力者たちの息遣いまで聞こえてきそうで、内部文書ならではのすごさです。

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5つ星のうち 5.0 今中国の改革を再検討しよう, 2002/1/29
 僕は華僑の留学生として、この事件を自分の周りのことを覚えている。大学時代の専門は歴史だが、今の中国の改革は歴史の真似と感じる。

 清代の末期、中国は「洋務運動」という改革をしたが、目的は外国の技術などを習って、封建的な専制統治を維持するものだ。だから最後の失敗は当たり前だ。改革は完全の過程で、民主主義の政治制度を含む全部採用か。あるいは、先進的技術までも拒否する全部反対か。日本の明治維新が経済、軍事のほかに、政治の改革も始めたじゃないか。

 今の中国は、この同じ間違いを二度する道を歩いている。経済の開放は共産党の専制を維持するためなんだ。この改革の未来は、あんまり楽観的じゃないと思う。

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14 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 現代中国の本質を描く, 2003/3/19
By カスタマー
このレビューの引用元: Tiananmen Papers (ハードカバー)
 最近の製造業のシフトを基礎とした中国礼賛ムードの中で、再度本棚から取り出して読んでみた。ここに、現代中国の本質があると改めて、本書の価値を見いだした。製造業の多くが、表面的な製造コストの低さと、「豊富な労働力」および「大きな市場」を求めて中国大陸へ製造拠点を動かそうとしているなかで、「資本主義的」なものを標榜する中国の本質的なものが、この事件を通じて見えてくる。
 資本主義、法治国家とは対極にある、独裁、長老支配、人治、腐敗の症状として、天安門事件が起きた。この事件に関連する処理の過程で、権力トップに登りつめた江沢民が、軍を背景とした権力を今も維持している事実一つをとっても、この国の本質が見えてくる。
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 価値ある1冊, 2001/12/21
1989年5月、当時のソ連ではゴルバチョフがペレストロイカを推進し、中国では大規模な学生運動が展開され、あたかも言論の自由が訪れたかにみえた。あのとき冷戦構造の倒壊とともに平和が訪れるという幻想が広がった。だが6月4日そんな夢は解放軍が丸腰の「人民」に銃を向けたときに吹っ飛んだ。あのときいったい何が起きたのか、なぜそうなったのか。本書が真実の核心に迫る。議会制民主主義のない国が具体的にどんな方法で意志決定をするのか。興味深い事実が次々。本書は中国語の原著を研究者が整理しているので、読者にとってはありがたい。翻訳文も内容に即した品格があって、読みやすい。
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