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巨船ベラス・レトラス (単行本)

筒井 康隆 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

売れさえすれば作者を潰したっていいというのか。人間を使い捨てにする企業の論理か。そんな若いやつの小説、受賞した時だけその受賞した本が売れるだけのことじゃねえか。今の状況がなんでも正しいというんなら、なんでもうすぐ世界が滅びるってことを認めて、それを書かないんだ。それが現在の文学者のやるべきことじゃないのかい。現代日本文学の状況を鋭く衝く戦慄の問題作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

筒井 康隆
1934年、大阪市生まれ。同志社大学文学部卒業。1960年、SF同人誌「NULL」を主宰、発刊、短篇の「お助け」が江戸川乱歩に認められ、作家活動を始める。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞受賞。1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞受賞。1989年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞受賞。1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞受賞。1997年、仏政府よりシュバリエ章受章。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞受賞。2002年、紫綬褒章受章。映画、演劇、テレビドラマへの出演などでも活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 文学とは何か。文学の存在意義は・・・。筒井康隆は文学に希望に対する希望をまだ捨てていないのか?, 2007/3/18
「大いなる助走」は文壇を題材とした作品だったが、本作において著者筒井康隆は、文学そのものを、例えば、文学とは何か、文学に存在意義はあるのか、ということを問うている。

この作品に登場する作家達の多くは、それぞれジャンルは違えど著者によって『革新的』作家という立場を与えられている。しかもその『革新的』という枕詞は何度も何度も登場してくる。

読み始めてしばらくは、この登場人物は実在のどの作家をモデルにしているのだろうか、年齢から考えると、笹川卯三郎のモデルは町田康ではなく中原昌也なのかなぁと読み進めていたのだが、そのうち、著者は登場人物達が書いているような作品を全部発表しているのに気付いた。きっと作家達のモデルはすべて筒井康隆なのだ。

作中に
「なあ。最近誰もが何かに反論するばかりで自分の意見を言わなくなったと思わないか」
(中略)
「あれ、誰にでも際限なしにできるし、それが自分の能力だと勘違いしてしまう。ところが今はそれを一人前の評論家や何かがやってるんだ。あれだと自分の意見を言わなくてすむし、反対しているだけでそれもひとつの思想みたいに見えてしまう」
という作家同士の会話がある(p76)。
そのとおりだよなぁと思わず頷いてしまった。そして、その対極にある作家が筒井康隆なのだろう。

文学にたいする憂慮、私怨も含めた怒り。これがホンモノの怒りであるのは著者の過去の行動で証明済みだ。ただ、70歳を越えてもなお、この怒りを持続しているということは、著者はまだ文学に対する希望を捨てていないということかもしれない。

この作家の頭の構造はどうなっているんだろう、と頭の中を覗いて見たくなる数少ない作家筒井康隆の怒りが詰まった『文学作品』だ。
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5つ星のうち 5.0 メタフィクションの秀作, 2007/4/16
30年以上筒井康隆を読んでいるが、大いなる助走からは洗練度が桁違いで、作品全体から強烈な時代批評を感じる。筒井康隆がこれまで培ってきた実力の一端を披露するだけでこれだけの作品をものしてしまうことに畏敬の念を持たざるを得ない。読後に苦しくなるほどの満腹感を感じるのが最近の筒井康隆作品であったが、今回は広く若い読者にもわかりやすく噛み砕いて書いた軽快さを感じる。
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5つ星のうち 4.0 筒井康隆が初めての人にはきついかも, 2007/4/10
筒井康隆独特の語り口である、
読点が極端に少ない文章、
代名詞をあまり使わない文章、
章分けしない作品構成、
は筒井康隆をあまり読んだことがない人には取っつきにくいと思う。

本書の主要登場人物は作家や詩人なのだが、
本作はメタフィクションであるため、
その作家や詩人が書いた作品の登場人物が
実体化して本作に登場する。

メタフィクションに慣れていないと、こういう構成自体
受け付けないのではないだろうか。

私は筒井康隆が好きなので、比較的楽しんで読めました。
宣伝文句になっている痛烈な文壇批判も、なるほどなあ、
出版界の地盤沈下は最早止まらないのだなあ、と感心した次第。
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