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真鶴
 
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真鶴 (単行本)

by 川上 弘美 (著)
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Product Description

内容(「MARC」データベースより)

失踪した夫を思いつつ、恋人の青茲と付き合う京は、夫、礼の日記に、「真鶴」という文字を見つける。“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ向かう京。夫は「真鶴」にいるのか? 『文学界』連載を単行本化。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

川上 弘美
1958年、東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。94年「神様」で第一回パスカル短篇文学新人賞を受賞。96年「蛇を踏む」で芥川賞、2001年には『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • 単行本: 266 pages
  • Publisher: 文藝春秋 (2006/10)
  • ISBN-10: 4163248609
  • ISBN-13: 978-4163248608
  • Release Date: 2006/10
  • Product Dimensions: 7.6 x 5.1 x 0.8 inches
  • Average Customer Review: 3.6 out of 5 stars  See all reviews (18 customer reviews)
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24 of 28 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 今までの小説の中でいちばん好き, 2007/4/18
 間違いなく、代表作になると思う。
 夫が失踪して十数年の歳月がたち、主人公は、母と、父の顔を覚えていない年ごろの娘と三人で暮らしている。一応、恋人もいる(妻子持ちだけれど)。
 というようなストーリーの小説が今までどれだけあったかわからないが、これだけ「喪失」というきわめて文学的な(それだけに紋切型になりがちな)テーマにきちっと向きあった小説も少ないと思う。
 男と一体化して子を産み、そして子と一体化することで男から離れ、いつしか子も成長して自分から離れて行く。そしてかつて自分と一体化していた母は、確実に老い、死に向かってゆく。また自分も、死の世界の男から、呼ばれるようにして、死に近づいてゆく……という、神話的ともいえる話型が、身体感覚にリアルに迫ってくる。
 そして、真鶴、という絶妙な設定。東海道線下り電車のあの独特な光景は、まさに生から死に向かう気分を象徴している。
 以前から「川上弘美はたべもののことを書いてるところはいい感じにリアルだけど、男女のことになると逃げてる感じだよなあ」って思ってたけど、今回は、逃げてない。なまなましいよ。文体も今までとは変わっているし。あまくせつないだけじゃなくて、言いようのないふかいかなしみが、しんしんと伝わってきた。リアルで味わいのある細部の積み重ねから。
 好きなところも、いいなあ、と思うところもたくさんあったけれど、うまく伝えられない。部分じゃなくて、全体の流れとして味わいたいところばかりで。川上弘美の小説の中で、一番好きだな。
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8 of 9 people found the following review helpful:
3.0 out of 5 stars バランス感覚の危さ, 2007/2/1
By 夢追い虫 - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
「夜の公園」を読んだ時に、
川上さんの世界と「不倫」があまりにもつながらなくて、
こういうテーマは描いてほしくないなと思ったけど、
今回は不思議としっくりと収まっている気がする。
「夜の公園」は実験的な試みで、
そこを経てこの「真鶴」が書かれたのかも・・・と勝手に解釈することにします。

京の心に今でも残る冷ややかなもの。
“ついてくる”女の存在の意味。
思春期の娘は幼くあどけない姿をみせることもあれば、
手の平を返したように冷たくもなる。
そして時折漢字表記するべき箇所がひらがなになっていたりする。
これは京の夢なのか、真実なのか、
とにかくバランス感覚の危くい小説で、判断が揺さぶられます。

沢山使われている「にじんでいる」という表現も、
辞書に載っているような正しい意味でなく、
川上さん流の表現で、その時その時によって違う使い方をされている。
この「にじんでいる」をどう解釈しようか悩み、
ワタシ的には【主人公の心にぽかんとあいた空洞】みたいなことかと解釈してみたけど、
どうしても合わない箇所も多く、
ちょっと読み込みが足りなかったかもしれません。

最後に京たち家族、つまり女3人が
寒天を煮とかして、杏仁豆腐を作る場面はよーく考えるとすごく怖い。
プルンプルンで安定感のない食べ物・・・。
光が差したようなラストではあったけど、
杏仁豆腐の不安定さが彼女達の心の均衡の不安定さをうまく表現している。
川上弘美さんはこういうのががうまいんですよね〜。
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15 of 18 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 極上の頽廃, 2006/11/11
ほかの男と関係を持ちながら、失踪した夫を忘れられない主人公。
突然いなくなった夫は、彼女にとって永遠に損なわれ続ける存在で、
執着は強くなるばかり。
自分の意思に反して何かを失うというのは、そういうことなのかもしれない。

夫が日記に残した「真鶴」という言葉と、強い何かに引かれて、何度も足を運び、
夢かうつつか判別のつかない世界を彷徨う主人公の姿は、なんとも危うげで美しい。

そして真鶴の場面とは対照的に描かれる、
主人公と母と娘との女三人の現実的な共同生活。
娘が子どもから女へと変わりつつある様子や、
女の匂いが日に日に濃くなっていく家庭内に、
主人公が戸惑いを感じているのがとてもリアルだ。

川上弘美の世界観が存分に楽しめるうえ、
女の情念や恐ろしさのような、これまでとはちょっと違った雰囲気も楽しめる秀作。
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