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西日の町
 
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西日の町 (単行本)

湯本 香樹実 (著)
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商品の説明

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   第127回芥川賞候補作。1970年代初頭の北九州の町を舞台に、不器用に生きる1人の老人と、その家族の姿をノスタルジックに描いた中編小説である。著者は、老人と少年たちとの不思議な交流を描いた『夏の庭-The Friends』や、おばあさんと少女のふれあいをつづった『ポプラの秋』で知られる湯本香樹実。子どもと老人の対比と、そこから浮かびあがる「生」と「死」は、著者の作品に流れる一貫したモチーフである。本書もまた、消えゆく命と若い命とのはかない出会いを切り取った佳品となっている。

   僕と母の暮らすアパートに、ある日、転がり込んできた祖父の「てこじい」。それ以来、部屋のすみでじっとうずくまったままのてこじいは、夜になっても決して横になることもない。てこじいを邪険に扱う一方で、食卓に好物を並べたりと、戸惑いを見せる母。かつて、北海道で馬喰(ばくろう)として働き、朝鮮戦争時は米兵の遺体を繕う仕事をしていたなどと語るてこじいに、10歳の僕は次第にひかれていく…。

   過去の貧しくも懐かしい記憶と、豊かさを臭わせる将来への期待が交錯する時代に戸惑う大人たちの姿を、著者は少年の目線を通して叙情豊かに映し出していく。しかし、貧しさの染みついた西日のあたる部屋をあとにする母子の旅立ちを描いたラストシーンには、甘い郷愁ばかりが残るわけではない。てこじいの記憶をしっかりと受け継ぐ少年の眼差しは、淡々としながらも力強く未来を見据える。てこじいと少年との一瞬の邂逅(かいこう)は、現代社会が失いつつある戦争や死の記憶を鮮やかに呼び覚ましてくれる。(中島正敏)



内容(「BOOK」データベースより)

母は夜更けに爪を切った。てこじいのうずくまっているそばで。ふらりと現れた謎めいた祖父に、僕は魅かれてゆく…。忘れられない町、忘れられない時を瑞々しく描く最新刊。

登録情報

  • 単行本: 133ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2002/09)
  • ISBN-10: 416321190X
  • ISBN-13: 978-4163211909
  • 発売日: 2002/09
  • 商品の寸法: 19 x 12.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon.co.jp ランキング: 本 - 510,361位 (本のベストセラーを見る)

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5つ星のうち 5.0 オレンジ色の日々, 2003/1/8
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5つ星のうち 5.0 濃密な人間関係は、実にリアル, 2004/10/17
主人公が少年時代に一時期同居した祖父、「てこじい」の物語です。この作品は「てこじい」という人物の強烈な個性の描写にほとんどが費やされています。主人公が母と二人で住むアパートに突然転がり込んだてこじいは、初めは、偏屈な困り者にしか見えません。しかし、伝え聞く若かりし頃の活躍や、奇矯な行動を通じて、実に味のある老人の人生が見えてきます。そして、家庭の危機に際しての行動の奥にある家族への優しさがふんわりと浮かびあがり、自らの死後には、ずしりとした存在感を残しています。戦後のある時期、この人物は確かに生きて、確固たる人生を送ったのだと納得させられるていねいな作りです。

てこじい、母親、叔父の3人しか登場しないのに、その濃密な人間関係は、実にリアルに感じられます。

著者は、少年たちが町のある老人の死を観察するという、名作「夏の庭」で世に知られましたが、この作品も老人と死を見つめるという、一風通じるモチーフをもっています。

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5つ星のうち 4.0 西へ向かう, 2008/2/8
「西」という方向は終わりとか死へ向かう意味もふくまれているんだろう。中年になった主人公が幼少時代を回顧する物語で、すこし、すこしずつ、ノスタルジーにひたる。湯本さんのお話は、家族がいるんだけど、どこか欠落していて(片親とか)、喪失や死などの影がテーマとして何度もだたよう。西日にあたってできた影なのだろうか。
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