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格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略
 
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格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略 (単行本)

ポール クルーグマン (著), Paul Krugman (原著), 三上 義一 (翻訳)
5つ星のうち 4.1 レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)
少数派の代弁者にすぎない共和党が、平等な中流社会を壊して格差社会を築き上げた驚くべき方法とは?世界が注目する経済学者が急遽打ち出したアメリカの病根への処方箋。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
クルーグマン,ポール
1953年ニューヨーク州生まれ。イェール大学助教授、マサチューセッツ工科大学教授、スタンフォード大学教授を経て、現在プリンストン大学教授。大統領経済諮問委員会の上級エコノミスト、世界銀行やEC委員会の経済コンサルタントを歴任。40歳以下の最も優れた経済学者に贈られるジョン・ベイツ・クラーク賞も受賞し、将来のノーベル賞候補と目されている。ニューヨーク・タイムズに隔週で寄稿しているコラムは辛口で人気が高い

三上 義一
上智大学卒、筑波大学大学院修了(国際関係論)。米タイム誌、ロイター通信社などに勤務し、世界中を取材。アウン・サン・スー・チーやジョージ・ソロスを日本で初めて本格的に紹介する。1990年から2年間コロンビア大学特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 なぜアメリカはこんな酷い国になってしまったのか, 2008/10/8
By くろやぎ (神奈川県) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
 各種統計データを示しながら、いかにアメリカの格差が拡大してきたか、その理由は何か、ということを深掘りしています。

 ニューディール政策と第二次世界大戦の戦時統制の影響で、戦後のアメリカ社会は、貧富の差が少ない社会を築くことができました。しかし、著者によれば、レーガン大統領の登場あたりから政治は一部の富裕層が牛耳るようになり、格差は拡大していきました。
 貧困層が政治的に力を持たないよう、「保守派ムーブメント」は移民に選挙権を与えないように画策し、さまざまな方策で低所得者の投票率を上げないように工夫しています。

 法律的に違法とはいえなくても、人道的とはいえない「保守派ムーブメント」の行動の根底にあるものは何なのか。


 著者のクルーグマンは、
  「すべての根源は、アメリカの人種差別問題にある」
と結論しています。

 貧しい白人を救う政策を実行すれば、貧しい黒人やヒスパニックも一緒に救ってしまう。黒人やヒスパニックを救済するくらいなら、貧しい白人を放置しておくほうが良い。口に出して言わないまでも、多くの白人の根強い人種差別意識が格差を縮めることを拒否している、というのがクルーグマンの主張です。

 クルーグマンはアメリカの暗い時代は変わろうとしている、といいます。
 アメリカでは白人の人口がが減少し、多くの白人の意識が人種差別的でなくなってきた、という彼の洞察が事実なら、アメリカ社会は「格差が縮小する」という大きな転換点を迎えることでしょう。

 折しも、アメリカはもうすぐ大統領選挙。私がアメリカ人だったら、本書を読んだからには、迷わずオバマに投票するでしょう。

 アメリカをこんなに酷い国にしてしまったのは「保守派ムーブメント」に支配された共和党のせいなのか。そして、その政治的支配は、転換点を迎えようとしているのか。

 答えが出るのは、もうすぐです。
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48 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ポール・クルーグマン吠える, 2008/9/18
おもしろく読めました。
中産階級が徐々に形成されたのではなく、数年で一気に作られたというのはちょっと意外な指摘でした。
日本でもアメリカの新保守主義に習って、年金や健康保険の民営化や、制度の分割をしようとしてますが、少子高齢化が進んでいた分と、デフレ不況があったぶん、格差社会の到来がアメリカより一足早く来た感じです。

幾つか欠点があり、本書の価値をいくらか損なっている。
(1)全訳でない。
   訳者は日本の読者になじみがない部分を削ったと言っているが、どうも訳者が理解できない部分を削ったような気がする。
 削った部分に結構割と重要な事柄が書いてありそうな気がしてしょうがない。
(2)翻訳が固すぎる。
   分量から考えても、本書をクルーグマンは一般人向けに平易な言葉で、書いていると思う。
 「ループゴールドバーグ機械と比較した」なんて、めちゃくちゃ固い訳文だが、要するに目覚ましが鳴ったら無駄に複雑な機械がおもりやら磁石やら、ロープ屋らで、ビー玉が転がって、卵を割って、朝食のハムエッグをフライパンで作る、アレだ。
 クルーグマン先生は、そんなに固い口調でものを言ってないと思うぞ
(3)経済について訳者は力不足だと思う。
(4)解説が通り一遍で、経済学から見たクルーグマンの主張の妥当性とか、レーガン以降のアメリカの政治事情の解説がかなりないと日本の読者には分からないと思う。山形浩生氏の翻訳なら、本文の内容が良く理解できる解説がうんと付くと思う。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 新自由主義が問い直される時代に, 2008/12/8
By 小僧 (東京都小平市) - レビューをすべて見る
ミルトン・フリードマンが創始し、レーガン、サッチャー、中曽根、ブッシュ、小泉と世界を席巻してきた新自由主義が世界恐慌以来といわれる金融危機によって揺らいでいる。新自由主義経済に対して鋭い批判を展開してきたクルーグマンがノーベル経済学賞を受賞したのはまさに新自由主義の時代が終焉しようとしつつある時代を象徴するものであったと思う。

クルーグマンが2007年に上梓した本書は、20世紀アメリカの歴史を素描しつつ、ニューディールが作り出した50年代の中産階級の時代がいかにして破壊され、現在の大格差社会が到来してしまったのかという問いに答えようとするものである。これまで経済学は市場が全てを決定するかのように論じてきた。つまり経済が政治を規定するとされてきたのである。だが、本書は政治の経済に対する優越性を強調する。経済的グローバリゼーションが格差を広げたのではない。むしろ70年代に右派急進派が共和党を掌握したことこそが格差拡大の原因である。著者は「すべての根源はアメリカの人種差別問題にある」という。福祉制度の逆行の背景には公民権運動の成果に対する白人の反発があるという。結果台頭した「保守派ムーブメント」こそが「制度」と「規範」を変化させ、格差の拡大につながったというのである。故に著者は不平等と格差を是正するために再び政治が大きくイニシアティブを取ることを主張する。社会保障整備を軸とする新しいニューディールを著者は強く訴えている。

真っ白な紙上で数式を羅列するかのような無色透明な経済学に対し、クルーグマンが提示するのは「人種問題」というひどく特殊アメリカ的などろどろした政治的要因が大きく経済を規定してきたということ。これまでも制度学派は新古典派経済学に対し批判を展開してきたわけでがここまで「制度」や「規範」が強調されるものなのかと驚かされた。経済学の門外漢にとっても興味深い一冊であった。
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