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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
 
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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) (文庫)

カズオ・イシグロ (著), 土屋政雄 (翻訳)
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商品の説明

内容紹介

自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点。解説/柴田元幸。


内容(「BOOK」データベースより)

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく―全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。

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5つ星のうち 5.0 文学のよろこび, 2009/4/1
この本の前に日本のかなり有名なベストセラー作家のものを読んでました。が、<わたしを離さないで>を読み始めたトタン(トタンですよ)あまりの違いにグラグラしてしまった。圧倒的な創造、構成、描写。 ヘールシャムそして施設を取り巻く風景が<よみがえった>感を抱いてしまった。 SFちっくな設定はまったく気にならないどころか何故か当たり前のように頭にはいってくるから不思議だ。 読み始めてから閉じることができず終盤を前に致し方なく倒れるように寝てしまい翌日通勤の電車で読み終えた。落涙しそうになったが懸命にこらえた。胸の中央に集まってくる感情、感動。 素晴らしい翻訳をされた翻訳者に感謝。 久しぶりに文学の喜びを享受した。
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 第三部を読み進めながら、涙が止まらなかった。, 2008/12/8
単行本が出版された時から、気になっていたのですが、本の重さとたぶん内容も重いのではないかと考えて、手が出ませんでした。今回、文庫になったので、いつか読むつもりで購入しました。実際、読み始めは頭の中に、様々な疑問と「もしかしたら?」という恐ろしい予測が渦巻いて一章ずつ辛抱して読み進めるのがやっとでした。第一部の後半、「やはりそういうことだったのか」ということが分かってからは、次の展開が知りたくてどんどん読みすすんでいきました。
第三部に入ってから読了までは、読むことを止められず、悲しいとか感動したとかそういった感情の動きが一切なかったにも関わらず、自分の眼から涙があふれて頬をつたっていくという初めての経験をしました。読み終わった後、もう一度、苦労して読んでいた第一部を読むと、そこには結末を知ったからこそわかる精緻な表現があり、作者の構成力に感嘆しました。
柴田元幸さんの解説に「作家が想像力のなかにとことん沈潜したその徹底ぶりによって、これまでのどの作品をも超えた鬼気迫る凄味と、逆説的な普遍性をこの小説は獲得している」とありますが、そのとおりだと思います。「この世に生を受けることの意味」と「おそらく罪悪感から生じるであろう中途半端な正義、あるいは理想主義の、残酷」を深く深く考えさせられた作品でした。
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 受け入れ方☆, 2008/12/18
どこかミステリアスに描かれていて、読むに連れてこの小説の中の世界が段々と見えてくるようになっています。
それは私達の住む世界と異なる世界ですが、同時にその世界は私達の世界に重ねられるべきものであり、登場人物達は私達と同じ側面を持つのだと思います。形式はSF的でありながらも、彼らの姿は何よりも現実感を持って訴えかけられるものがありました。

これは登場人物達が、(極端に言えば私達と同じように)限られていて、抜け出せない現実があり、でもその中に何かを見出し、また受け入れようとしているからこそではないでしょうか。
彼らは決して諦めているのではなく、投げ出しているのでもなく、たしかに生きています。自分ではどうにもならないその運命、その社会と平行して自分の生を紡ごうとしているのが感じられます。

そしてこの小説を支えるひとつに文章の良さあると思います。描写や洞察力が素晴らしいのです。
誠実に抑制の効いたそれは、この登場人物達を表すのにぴったりと重なります。

そうして描かれるエピソード群は細密でリアルな人間の営みであり、社会の光景ともいえるでしょう。(もしかしたら現実でも意識出来ないくらいに)人間の息づかいのひとつひとつまでが伝わってきます。
そしてやはりラストシーンにかけての姿は本当に、本当に痛切なるもので、まさに胸がいっぱいになり言葉を失ってしまいました。やりきれない哀しみとまた苦しみを抱かずにはいられません。もうたまらなくなってしまいます。大袈裟ではなく、読み終わってもずっと何かヒリヒリしたまま、何も出来ないでいたほどでした。

今思い出しても、自分が何かを感じてるのがよくわかります。凄く「残る」作品だと思います。
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