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エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」
 
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エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」 (単行本)

河邑 厚徳 (著), グループ現代 (著)
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (34件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,575 国内配送料無料 詳細
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ブックレビュー社

現代のお金に関する常識を破る思想を紹介。事例や寓話を交えながら,「暴走するお金」の正体を探る
「パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と,株式取引所で扱われる資本としてのお金は,まったく異なった種類のお金である」。こう語りかける本書は,NHKで放送されたドキュメンタリー「エンデの遺言--根源からお金を問う」を1冊の本にまとめたものだ。

ドイツの作家であるエンデ(故人)は,「個人の価値観から世界像まで,経済活動と結びつかないものはない。問題の根源はお金にある」と提起する。エンデへの取材をもとに,彼の蔵書,貨幣社会の歴史を紹介しながら,現代の金融システムが引き起こす弊害に警鐘を鳴らすのが本書の目的だ。

本書では,事例や寓話を取り上げて,貨幣経済の仕組みと問題点を分かりやすく説明している。たとえば---。

豊かな漁師町に,貨幣経済の導入と一緒に銀行ローンもやってきた。漁師たちはローンで大きな船を買って,効率が高い漁法を採用。そのおかげで,ローンを返すためにたくさん魚をとり,結局最後には魚が1匹もいなくなる---。

貧しくても心豊かに暮らす人々の前に,時間貯蓄銀行から来たという「灰色の男たち」が現れる。男たちは人々から時間を奪おうとする時間泥棒で,「時間を節約して銀行に預ければ,利子が利子を生んで,人生の何十倍もの時間を持てるようになる」と言う。彼らの誘惑にのせられた人々は,余裕のない生活に追い立てられて人生の意味までも失ってしまう---。

こうした身につまされるストーリーは,「将来」を輸入する一方で環境を消費し,地球の資源を食いつぶす現代人に向けた痛烈な批判だ。資本主義経済におけるお金は,より高いリターンが得られる場所に移動し,その結果,利益はごく一部の人に集まり,一方で利益を奪われ続ける多数の人々が存在する結果になったという指摘もうなづける。

お金を銀行に預けると利子が増えるというのが現代の常識だが,本書では面白い事例が紹介されている。世界大恐慌直後のオーストリアのある町では,お金を保有していると1カ月ごとに価値が1%減少するという金融制度を導入し,経済活動を活性化させたという(最後は国家権力が制度を廃止させた)。プラスの利子は短期的な利益に向かい,マイナスの利子は長期的で人間の豊かさをもたらす有意義な投資に向かうというのは,現代社会の中に生きている我々にはなかなか思いつかない発想だ。

お金の病にかかっていると指摘するエンデの予言は,とりわけ日本の経済状態を厳しく批判しているように感じた。本題の解決を先送りして,国と地方を合わせた長期債務残高は先進国の中でも最悪で,GDP(国内総生産)をはるかに上回っている。「人々はお金を変えられないと考えているが,それは違う。お金は変えられる。人間がつくったものだから」という本書の主張に,現代人はいつ目覚めるのだろうか。 (ダイヤモンド社 出版局 編集委員 名久井 範章)
(Copyright©2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)



内容(「BOOK」データベースより)

ファンタジー作家ミヒャエル・エンデに導かれて「暴走するお金」の正体を探りに旅立つ。「老化するお金」「時とともに減価するお金」など、現代のお金の常識を破る思想の数々を紹介する。欧米に広がる地域通貨の実践―米国のイサカアワー、ヨーロッパの交換リング、スイスのヴィア銀行などをレポートする。

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5つ星のうち 5.0 現代文明を正常にもどすために「腐る貨幣」を考えていたエンデ。, 2007/3/26
By 涌太郎 (東京都) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
この本を、「モモ」とか「果てしのない物語」と同じようなファンタジーと思って買うと、
まったく違う本ですから、失望するでしょう。
しかし、エンデは「成長を前提にし、成長を強制する性格をもつ現行の金融システムが、この競争社会を生み出している根本原因だ」と喝破していました。

もともと物物交換からはじまった経済が、貨幣というものを生み出すことによって、
貨幣がいつでも肉や魚の変わりとなったのです。しかし、誤算は、この貨幣というものが腐らないことでした。で、貨幣は貯めておくことができる、利子を受け取ることができる、という様になりました。この特質をいち早く知り、実行したのがユダヤ人でした。
この、成長を強制する(その端的なあらわれが「利子」というものですが)金融システムの行き着く先は、地球が有限であるが故に、環境的滅亡か、経済的滅亡か、あるいはその双方か、どれかしかありません。
米国の財務状況、そして日本の財務状況を見れば、少なくとも両国に財政的破綻が迫っていることが判ると思います。

しかし、「この現在の金融システムはたかだか数百年でできたものだから、その限界や不合理に気がつけば、変えることができる」というのがエンデの思索で、彼は「腐る貨幣」を考えていました。

本書では、NHK出版のスタッフが、エンデの遺言を証明すべく、世界の過去、現在にあった、
腐る貨幣を作った地域・国の腐る貨幣の歴史とメリットを紹介するとともに、
我々が作家として知っているエンデの、あまり知られなかった深い思索の世界へ一歩踏み込んだ内容になっています。
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93 人中、76人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 資本主義の怖さとは, 2001/4/29
 この本は1994年2月6日、河邑厚徳氏をはじめグループ現代の方々が、テレビの新番組企画準備のため、録音テープを持って作家ミヒャエル・エンデに取材に行ったことから始まる。しかしエンデは「問題の根元はお金にあるのです。」この言葉を残し、取材の後にガンで他界してしまう。本書は文字通り『エンデの遺言』を預かってしまった著者たちが、エンデの思いを広く世の中に伝えようとした記録である。

「資本としてのお金は最大の利益を生むように投資されます。そうして資本  は増え、成長します。先進国の資本は増えつづけ、そして世界の5分の4は  ますます貧しくなっていきます。というのもこの成長は無からくるのでは  なく、どこかがその犠牲になっているからです。

 そこで私が考えるのは、もう一度貨幣を実際になされた仕事や物の実態に  対応する価値として位置づけるべきだということです。そのためには現在  の貨幣システムの何が問題で何を変えなければならないかを皆が真剣に考  えなければならないでしょう。

 人間がこの惑星上で今後も生存できるかどうかを決める決定的な問いだと

 私は思っています。」(本書より引用)

 著者らは、亡くなってしまったエンデの思索の後を蔵書から追いかける中で、シルビオ・ゲゼルという思想家に出会う。  シルビオ・ゲゼルは、マルクスと同時代の人間で資本主義でもなく共産主義でもない、もう一つの経済システム「老化するお金の理論」を考えた人物だ。

 彼は1930年代にオーストリアで「地域通貨」を実践し大成功するものの、時の政府によってストップがかけられ、以来ゲゼル理論は忘れられることになるのだが、著者らはこのゲゼルの地域通貨に希望を見いだすこととなる。

 この本は中学生から経営者の方、ボランティアを実践されている方まで幅広く読んで欲しい。読んで、そして、僕たちが信じていた市場経済主義とは何だったのか、みんなで考えよう。

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25 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 実体のないものの恐ろしさ, 2007/8/13
一時、橘玲氏の本を皮切りに、株式投資の本を読み漁っていました。
平行してヨーロッパの歴史や現在の食品の安全性についての本などを乱読した結果、
妙な曲折を経て、全てのことがぴたっと頭の中で一致し、7年前に出されたこの本を
手にすることになりました。
早速、続編である「エンデの警鐘」も注文しました。

私が今住んでいるフランスでは、ユーロに移行した当時、お金と社会のあり方について
EU統合以上に巷でいろんな声がきかれました。
最初は消費社会が何故いけないのか?グローバリゼーションがどうしていけないのか?
能力主義で稼ぐだけ稼いで贅沢することを疑問視する人がどうしているのか?どうして
広告を批判するのか?興味もなければ理解もできませんでした。
今、世の中が凄い勢いで変わり、人々が気がつかないうちに街の古本屋やおいしいお惣菜
屋が国際フランチャイズ店にかわってしまいました。
そうなって、はじめて気がついたのですが、幸せというのは量ではなくて質なのだと。
こう何百年もかけて、あるカラクリに世界がはめ込まれてきたことが、この本からもわかり
ます。利子を産むお金というものが、こう限りなく増殖するとどうなるか・・・?
これは人類全体の癌のようなものなのだと思いました。
「もっと欲しい、もっと豊かに、もっと大きく、もっと発展・・、
人より得したい、人より金持ちになりたい・・・」これは人類の原罪です。
幸せが何かを勘違いしている、勘違いさせられた、いや無知というのは最大の罪なのですね。
ご存知の通り、イブはりんごを食べてしまったがために、楽園を追放されました。
「お金」と私達が考えているものが実は、このりんごにあたるものだったというのが
私のエンデの遺言についての理解です。

「モモ」をじっくりと読んでみようとおもいます。
意味のある読書となりました。
私のように、これまでこういうことに気がつかなかった人にも広くこの本がよまれるように、
新書かなにかで再版されればいいとも思いました。
ほかの方のレビューにもある通り、第三弾もお願いしたいです。




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