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赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫) (文庫)

庄司 薫 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

女の子にもマケズ、ゲバルトにもマケズ、男の子いかに生くべきか。東大入試を中止に追込んだ既成秩序の崩壊と大衆社会化の中で、さまよう若者を爽やかに描き、その文体とともに青春文学の新しい原点となった四部作第一巻。芥川賞受賞作。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

庄司 薫
本名・福田章二。昭和12年(1937)、東京に生まれる。日比谷高校をへて東京大学法学部卒業。昭和33年、「喪失」により第三回中央公論新人賞受賞。昭和44年、「赤頭巾ちゃん気をつけて」により第六十一回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 優しさと切なさと, 2003/12/11
もう30年以上が過ぎてしまったのですね、この「赤頭巾ちゃん~」が出版されてから。

日本中を揺るがせた大学紛争、高校生までも巻き込んだ学生運動を歴史的背景として持つこの作品は、そういった激動の社会や若者の無軌道なパワーをしっかりと捕らえておきながら、その主題はあくまでも優しく、優しさだけで良いのだろうか?となんとなく自分を見つめていく主人公「僕」の日常の生活や、悩める青春像に置かれている。

優しくほのぼのとした文体で、「僕」とガールフレンドの由美のやりとりが描かれており、とても爽やかな気持ちにさせられるのだが、読み終わった後に「あぁ楽しかった」だけでは済まされないような、一種の切なさ、やりきれなさ、未消化な気持ちを感じてしまう。

その未消化な悶々としたパワーの正体は、4部作を通して読み進むうちに、流されている自分や、やり残した事への軽い後悔の念であることがわかってくる。
30年前に読んだときには、主人公の年代に達していなかった私にはわからなかった。
数年後、主人公の年代に達した頃に読んだときには、自分も何かをやらなければという、焦りを感じた。

80年代に入ってから読んだときには、もう戻ることの出来ない過ぎた日への感傷が残った。
不惑の歳を過ぎた今、この作品は何を与えてくれるのだろう?

好きな作品として、真っ先にこのシリーズ名を挙げてしまう、本当に私の人生の愛読書です。

ちなみに庄司氏が、この作品(シリーズ)の主人公の言葉を借りて、作中に何度か出てくるピアニストの中村紘子と、後年本当に結婚してしまった事は有名な話。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 高校生や大学生に読んでもらいたい, 2008/7/3
By sasuke (東京都杉並区) - レビューをすべて見る
 日比谷高校3年生の薫くんは1969年東大入試中止のあおりを受けて、どうしたものかと日々を過ごしている。2人のお兄さんは東大法学部。下の方のお兄さんに「悪名高い法学部は何をやっているのか」を尋ねたら「なんでもそうだが、要するにみんなを幸福にするにはどうしたらいいのかを考えているんだよ。全員がとは言わないが」とえらく真面目に答えて、薫くんに法哲学の本とガリ版刷りの思想史の講義プリントを貸してくれる。薫くんが夢中でそのプリントを読んだそのすぐ後で、兄と2人で銀座を歩いていてその思想史の講義をした教授にお会いする。そこで先生は気軽に2人をお茶に誘い、話が弾んで、食事、お酒と夜中まで話が続いてしまう。そこで薫くんは以下のように感じる。

 「どう言ったらいいのだろう、たとえばぼくは、それまでにいろいろな本を読んだり考えたり、ぼくの好きな下の兄貴なんかを見ながら、(これだけは笑わないで聞いて欲しいのだが)たとえば知性というものは、すごく自由でしなやかで、どこまでもどこまでものびやかに広がっていくもので、そしてとんだりはねたりふざけたり突進したり立ちどまったり、でも結局はなにか大きな大きなやさしさみたいなもの、そしてそのやさしさを支える限りない強さみたいなものをめざしていくものじゃないか、といったことを漠然と感じたり考えたりしていたのだけれど、その夜ぼくたちを(というよりもちろん兄貴を)相手に、『ほんとうにこうやってダベっているのは楽しいですね。』なんて言っていつまでも楽しそうに話し続けられるそのすばらしい先生を見ながら、ぼくは(すごく生意気みたいだが)ぼくのその考えが正しいのだということを、なんというかそれこそ目の前が明るくなるような思いで感じとったのだ。そして、それと同時にぼくがしみじみ感じたのは、知性というものは、ただ自分だけではなく他の人たちをも自由にのびやかに豊かにするものだというようなことだった。つまりその先生と話していると、このぼくまでがそのちっちゃな精神の翼みたいなのをぼくなりに一生懸命拡げてとびまわり出すような、そんな生き生きとした歓びがあったんだ。そしてそんな自由でのびやかな快感に酔うと同時に、ぼくはうんと勉強して頑張って、いまにこの先生をワアーッと言わせてやるぞ、なんてえらく緊張してファイトを燃やしちゃって…」と文庫の改訂版の39ページにして、知性の飛翔を描写するこのすばらしい文章が披露されている。
 この文章を読んで、私の疲れていた知性も飛翔できた。知性って、こういうものですよね? 今の日本で求められているのは、こういう文章じゃないのかな? 庄司薫くんシリーズ全4巻、中公文庫で改訂版が2002年11月に発売になった。高校生や大学生に読んでもらいたいです。
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 絶妙なこの書きぶり, 2004/11/1
By あすにゃん (日本 千葉県) - レビューをすべて見る
勧められるがままに買って、読んでみました。30年以上も前に書かれたなんて信じられないような本でした。学生運動時代特有の言葉は少し難しいけど、それ以外は今の時代とさして変わらなくて、すごく面白かったです。主人公「薫」君独特の、やる気があるんだかないんだか良く分からない、だらだらとしていそうだけれども、実はすごくよいリズムの言葉が、不思議な心地良さと絶妙な笑いをもたらしてくれます。この書きぶりにはまってしまいました。「薫」君と「由美」ちゃんの、幼なじみ&恋人という微妙な感じが、初々しくて可愛らしくて、なんだか切ないながらも、心を和ませてくれました。
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