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市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影 (中公新書)
 
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市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影 (中公新書) (新書)

by 根井 雅弘 (著)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

ベルリンの壁の崩壊後、世界を席巻した「市場主義」。だが、経済格差や環境破壊を引き起こすなど、欠陥を露呈している。本書では、市場主義の源流に位置するフリードマンの経済思想を、同時代の証言を交えて読み解き、その功罪を明らかにする。第二次大戦後、彼らが勢力を拡大した過程を辿る一方、アメリカの経済思想の多様さにも注意を促す。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

根井 雅弘
1962年(昭和37年)、宮崎に生まれる。1985年、早稲田大学政治経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。京都大学経済学博士。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専攻、現代経済思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • 新書: 193 pages
  • Publisher: 中央公論新社 (2009/06)
  • ISBN-10: 4121020081
  • ISBN-13: 978-4121020086
  • Release Date: 2009/06
  • Product Dimensions: 6.8 x 4.3 x 0.5 inches
  • Average Customer Review: 3.8 out of 5 stars  See all reviews (6 customer reviews)
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9 of 12 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 「市場主義」はどこに向かうのか―「シカゴ学派」の特異性に迫る!, 2009/7/19
  フリードマンを中心に形成された「市場主義」の思想と理論の特徴を、その歴史的変遷をも踏まえて明快に解説したのが本書だ。フリードマンの思想がどのような時代状況のなかで勢いを増したか、サムエルソンの「新古典派総合」との格闘にも配慮した論述内容は好印象。各章の巻末「コラム」も面白い。初学者にアクセスしやすい工夫を随所に施す著者の心配りは心憎い。世界金融危機の余波がなかなか鎮静化しない昨今、いわゆる「市場主義」の思想的源流を正確に把握しておくことは重要だ。概念的内実を深く理解することなく行われる政策論争は不毛だからだ。

  評伝や夫人の回想録などが現存するなか、本書の存在価値はどこにあるのか。第4章のF・ナイトやJ・ヴァイナーら、フリードマンやスティグラーといった「現代シカゴ学派」以前の「シカゴ学派」を概説し、その顕著な違いに踏み込んでいる点か。ナイトの「適度な懐疑主義」という研究姿勢(思考様式)は「学派」を問わず意義深いものである。著者によれば、それは「経済学の限界を知る」ことに繋がる。「経済学と倫理学との橋渡し」を志向したナイトの研究プログラムは大きな今日的意義を秘めているといえよう。最近のナイトへの関心の高さには注目すべきだが、有名な「競争の倫理」で主張されるナイトの議論はさほど目新しいことを述べているわけでなく、むしろその後の経済学が、こうした倫理観を喪失させる方向に進んだことの方法論的含意を真摯に反省すべきなのだろう。

  本書は「市場主義」を主題としながらも、私には暗黙的・逆説的な「ケインズ主義」の書に映った(「貨幣」をめぐる42頁以降のコラム参照)。「市場主義」と「新自由主義」との関連(副題の「新自由主義」についての解説はほとんどない?)を含めて、もう少し著者の積極的提言がほしい。第4章も著者の力量ならばもっと示唆に富む記述が構築しえたに違いない。それは次回作に期待だ。一読推奨。

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9 of 14 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 市場主義はなぜ世界を席巻したのか?!, 2009/6/28
本書は、経済思想史を専門とし

現在は京都大学教授である著者が、

いわゆる「市場主義」経済学の盛衰を概説する著作です。


「市場主義」の代表的な論者フリードマンの学説を起点に、

彼に近い立場の学説や反対する学説

さらに彼の先駆者や後継者の学説をコンパクトに紹介しつつ

それらが社会情勢等に応じて

どのように変化していったのかが論じられます。


学説の検討という性質上、

記述も経済学の具体的な理論に及びますが

重要な事項については解説が付されているので、

読み難さを感じることはありません。


個人的には、圧倒的な少数説として主張されたマネタリズムが

徐々に賛同者を増やしていく様子は

「小が大を飲みこむ」的なおもしろさを感じたのですが、

同時に、ある学説がそれ自体の妥当性以外の要因によって、

「通説」になっていく「怖さ」も再認識しました。


本文やコラム等で紹介される経済学者個人のエピソードも興味深く

普段は無味乾燥と感じる経済学の理論も

こうした生きた人間が生み出したものだと思うと

少なからず、身近なものに思えてしまいます。


いわゆる「市場主義」の実態を伝えるとともに

それにまつわるさまざまな議論を平易に紹介する本書。


経済学、とくに、学説史に興味のある方はもちろん

経済に無関心でいられなくなった今日

一人でも多くの方に読んでいただければと思います。
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12 of 26 people found the following review helpful:
2.0 out of 5 stars ナイトにあってフリードマンにないもの・・・本書にないもの・あるもの, 2009/6/29
By 野火止林太郎 (埼玉県) - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
本書のエピローグにある著者の願い〜「市場メカニズム」の優れた点を殺さないような政府の「経済管理」との絶妙なバランスを取る方策への参考となる〜は、ほとんど叶えられていない。いや、まったく叶えられていないといってよかろう。直前に引用されるクルーグマンの施策提言のほうがよほど具体的であり、この点では星ひとつの価値もなかろうと思う。

ケインズの公共投資が、民間投資誘発性を第1とし、自己採算性を重んじ、計画性をもった長期のヴィジョンを必要とすることはわかるが、著者の引用はクルーグマンに対する揶揄以上のものを出ない。

ところが、本書には次の読みどころがあるとは言える。それしも隔靴掻痒の感は免れぬにしても。
それは、宇沢弘文が述べるところのフリードマンが総帥フランク・ナイトに破門されたと言う説、「シカゴ学派」とは「フリードマン学派」とは別のものという説などにまつわる。
根井は言う。
「ナイトにあってフリードマンにないもの」と。それは「言葉遣いの意味を熟考すること」「経済学と倫理学の接点を探る(「経済学の限界を知る」と言い換えてもよい)」ことの2つだと。

評者はそもそも「シカゴ学派」にも「フリードマン学派」にも何らの幻想は抱いていないし、積極的な意味では興味もない。
しかし、ケインジアン根井がナイトの原文を引用しつつ、「ナイトが新古典派に何の疑問も抱かない経済学者では決してなかった」と書いていることには留意せざるを得ない。
とは言え、繰り返しになろうが、フリードマンに対する批判も全然軟弱だ。柔過ぎて批判の名にも値しない。徹底的な批判を期待したのであるが・・・。
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