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大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書)
 
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大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書) (新書)

福永 文夫 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦後、「保守本流」の道を歩み、外相・蔵相などを歴任、一九七八年に首相の座に就いた大平正芳。その風貌から「おとうちゃん」「鈍牛」と綽名された大平は、政界屈指の知性派であり、初めて「戦後の総決算」を唱えるなど、二一世紀を見据えた構想を数多く発表した。本書は、派閥全盛の時代、自由主義を強く標榜し、田中角栄、福田赳夫、三木武夫らと切磋琢磨した彼の軌跡を辿り、戦後の保守政治の価値を問うものである。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

福永 文夫
1953年(昭和28年)兵庫県生まれ。76年神戸大学法学部卒業、85年神戸大学大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学。87年姫路獨協大学専任講師就任。同大学助教授、教授を経て、2001年から獨協大学教授。博士(政治学)。専攻、日本政治外交史・政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 楕円の政治家, 2009/1/6
By picander - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
クリスチャン宰相であった大平は、ライシャワーが「引っ込み思案であるように見えることによって目立った人物であり、人の後に追随するように見えることによって、人を指導するような人物」と巧みに評したように、鈍牛の風貌とは裏腹の知的で大きな構想を持った政治家であったことは、今では多くの人に知られている。私たちにとって三角大福時代の各宰相の政策とその評価は、どうしても当時の激しすぎる権力闘争の向うに霞んで見えてしまうのだが、本書は大平の人生を辿り、大平の言葉を紐解きながら、彼の目指した戦後保守のあり方を考察する。岸、池田、田中、福田、三木といった政治指導者たちの政策と成果も端的にまとめられており、文章も簡潔で読みやすく大平を軸とした戦後政治史の好著だろう。『大平は極端を嫌い、矛盾する事象に楕円のバランスをとり、粘り強い対話を重視した。また政府の役割を限定していく、小さな政府の先鞭をつけた政治家とも言える。大平の洞察は現在も有効だが、劇場型、強権型政治にシフトする日本で支持を得ることは難しい。危機においてバランス調整型の政治家か、ある種の極端を持った政治家なのか、いまだに日本人はその答えを見出していない。日本の統治構造』と併読すると理解も深まる。政策よりも権力闘争の物語を読みたい向きは、『自民党戦国史』を読んだ方がいいだろう。
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5つ星のうち 5.0 大平に見る保守政治の理想, 2009/9/6
「戦後保守とは何か」とサブタイトルをつけながら、より保守色の強い岸や福田赳夫ではなく大平を中心に持ってくるところに、理想とする政治を考える上での筆者のメッセージが読み取れる。
同時代の政治家でも成長路線を突っ走った角栄や、政治改革の三木、独特の言語感覚で強烈な印象を与えた福田赳夫を違い、大平のキャラクターは地味で分かりにくい。しかし強烈にメッセージを押し出さないその姿勢にこそ、筆者は良質な保守政治を見出しているようである。
本書には大平の著書や発言を多く引用してあるが、その中から印象に残ったものをふたつ。
「政治が甘い幻想を国民に撒き散らすことは慎まなくてはならない。同時に国民の方もあまり過大な期待を政治に持ってほしくない。」
「政府が引っ張っていって、それに唯々諾々とついていくような国民は、たいしたことは成し遂げられない。政府に不満を持ち、政府に抵抗する民族であって、はじめて本当に政府と一緒に苦労して、次の時代をつくれる」
大平が始めて国民に消費税導入を訴えたのは、こういった思想があってのことだろう。

一方で本書は大平の出生からその死までを追いつつ、彼の思想形成の過程を分析している。田園都市構想、環太平洋連帯構想など大平が実現を目指した政策も分かりやすく解説してある。
また先の同世代の政治家に加え、池田勇人、佐藤栄作、宮沢喜一らの人間関係の記述も多く、そちらの興味がある方にもお薦めである。
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5つ星のうち 3.0 ないものねだりであることはわかっているけど, 2009/1/3
サブタイトルに“「戦後保守」とは何か”と謳われているとおり、大平正芳という人間そのものを描いた評伝ではなく、彼の政治家としての立ち位置や信条を、彼が生前発表した著作の中から再検証するという内容が中心となっている。著者が政治学を専門とする学者、中央公論(新)社の新書という出版形態から想像されるとおりの固い内容だ。

例えば、昭和年代後半以降の自民党政治の転換点ともいえる、中曽根康弘の「戦後の総決算」や竹下政権時の「消費税」など、大平以降の総理が行なったことの中には、それにはじめて言及したのが彼等ではなく、実は、一般的には忘れ去られた政治家の一人である大平正芳だったということが、この本のポイント、というか売りだ。

そして、その大平こそが戦後保守本流を歩んだ政治家であることから、彼の政治家としての足跡を通じて戦後保守政治を検証してみようというのが本書の目的だ。だから、ノンフィクションライターであればドロドロの人間模様も交えて詳細に描かれるであろう「三角大福」間の政争についても、サラッとしか触れられていない。そういう意味では論点を絞った新書らしい一冊といえる。

しかし、大平正芳という懐かしい名前を見つけ野次馬的興味でこの本を手に取った私のような読者にとっては、やっぱり大平正芳という田夫然とした人物がどうして権力の頂点へ登りつめたのかといった“手段”にも触れた上で、彼の先見性を論じて欲しかったと思う。
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