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言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家 (中公新書)
 
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言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家 (中公新書) (新書)

by 佐藤 卓己 (著)
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Product Description

出版社/著者からの内容紹介

戦後のジャーナリズム研究で、鈴木庫三は最も悪名高い軍人である。戦時中、非協力的な出版社を恫喝し、用紙配給を盾に言論統制を行った張本人とされる。超人的な勉励の末、陸軍から東京帝国大学に派遣された鈴木は、戦争指導の柱となる国防国家の理論を生み出した教育将校でもあった。鈴木の著作や日記を、各種証言と照らし合わせ、「悪名」成立のプロセスを追うと、通説を覆す事実が続出した。言論弾圧史への新たな照明。


内容(「BOOK」データベースより)

言論界で「小ヒムラー」と怖れられた軍人がいた。情報局情報官・鈴木庫三少佐である。この「日本思想界の独裁者」(清沢洌)が行った厳しい言論統制は、戦時下の伝説として語りつがれてきた。だが、鈴木少佐とはいったい何者なのか。極貧の生活から刻苦勉励の立志伝。東京帝国大学で教育学を学んだ陸軍将校。学界、言論界の多彩なネットワーク。「教育の国防国家」のスローガン。新発見の日記から戦時言論史の沈黙の扉が開かれる。

Product Details

  • 新書: 437 pages
  • Publisher: 中央公論新社 (2004/08)
  • ISBN-10: 4121017595
  • ISBN-13: 978-4121017598
  • Release Date: 2004/08
  • Product Dimensions: 6.8 x 4.3 x 0.9 inches
  • Average Customer Review: 4.2 out of 5 stars  See all reviews (20 customer reviews)
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43 of 52 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars ここ数年で読んだ本の中で一番興奮させられました, 2004/8/28
By recluse - See all my reviews
(TOP 50 REVIEWER)   
偶然に購入した本ですが、驚くべきことに、ここ数年で読んだ本の中で一番興奮させられた作品でした。いくつもの僥倖が重なって出来上がった本であることはあとがきにも詳しく述べられています。そして確かに、著者の意図どおり”歴史の生命”が認められる作品になっています。この本は、無意識に複数のモティーフを持っています。一義的には、1930年代後半から真珠湾までの、軍による言論統制を情報官の目から、後世の歪曲を避けながら、たどることを目的としています。著者は、後世のステレオタイプを事実により壊しながら、実相としての”戦争支持者の間の思想上の対立(413ページ)”を探ろうとします。しかし、この作業には、いくつものサブ・モティーフが隠されています。上記のテーマ以外にも、戦前における農村と都市との間の階級的な対立。陸軍という教育組織の停滞と時代への適応。本来、敵であるはずのソビエト体制ならびに社会主義リアリズムへの主人公の思想の無意識の接近。赤いファシズムとしての国家総動員体制の一面。メディアの大衆迎合の実態。主人公の”強烈な個性”とは違い、いつもながらの日本の知識人の知的背骨のなさと見苦しい事後的な知的不誠実さ。そして戦後に起きた意図しない結果としての教育の大衆化。とにかくすばらしい歴史学の作品としか言いようがないです。
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24 of 29 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 2つの悲劇, 2005/3/15
By picander - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
とにかく昭和史の一隅を照らす、重要な書物であることに間違いない。
2つの点で、悲しさを感じる。
まず、人間の真の弱さは、弾圧に負けることではなく、
弾圧された人間が、それが終わるといとも簡単に弾圧する側にまわる、
という真実。
どんな人間も、自分の記憶に正義の軌跡を引こうとする誘惑には勝てない。
フランスでもドイツでもそうだが、
多くの「良心的文化人」が「自分は本当は反対だった」と、
戦中の自己の言動を隠蔽した。

ただ、どの国でも最も酷いのが、個人ではなくメディアであり、
実は言論弾圧の加害者側であったメディアが、
戦後は一転して言論弾圧の被害者として、軍部の糾弾に成功する。
それはメディア、メディアに協力した個人、その読者・視聴者、戦後の全ての者にとって、
心地のいい文脈であり、一億総共犯と呼ぶべき黙約が成立している。
メディアの自己批判機能がない以上、その書き換えられた歴史を元に戻すことは難しい作業であったが、
本書はメディアが時局に迎合していくプロセスを丹念な調査で明らかにしている。

また、それ以上に鈴木少佐の人生は悲しい。
極貧の中から苦学して陸軍で地位を上げ、独自の教育論を構築することになる。
それは、完成度が高いともいえるが、一方であまりに「遊び」がない国家論であった。
鈴木の人生を考えれば、豊潤な文化を優雅に享受できる国家観が生まれるべくもない。
都会的で洒脱なメディア側の人間は、「田舎者の硬直的な教育論」に我慢ならなかったのだろう。
必ず相容れない2つの人種で、片方がもう片方を統制することによる悲劇。
戦後の糾弾の布石は既に打たれていた。

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10 of 12 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 著者の刺激的「挑発」にどう応えるか?, 2006/10/22
戦時言論弾圧のシンボルとされてきた鈴木庫三。
彼は戦後60余年を経て、やっと弁明できた。歴史家の筆を通じて。
口をつぐんで死ぬ軍人や政治家がほとんどで、彼らのフェアな評価がなされぬままの
日本にあって、鈴木は幸運である。そして読者もやっぱり幸運である。

出自からして「負け組」だった鈴木が、文字どおりの苦学を経て出版検閲者にまで這い上がり、
裕福な「勝ち組」文人たちを叱責する姿は、どこか爽快感さえある。そんな彼は、そこいらの
エリート文人を優に凌ぐ切実さをもって、社会的弱者の救済を思っていた。そして、彼が
考えた処方箋が、大東亜の共栄と、日本の統制経済だった――

当時、社会的にはエリートとして分類される出版・新聞業界人や文人は、鈴木「ごときに」
とやかく言われるのを「屈辱」としか思えなかっただろう。また、戦後は特に、自らが
おこなった戦争協力を隠したくて仕方なかっただろう。生きる上では仕方ない…。そして、
その仕方なさのために、歴史が「捏造」されながら鈴木が「悪魔」のように描かれてきた。

本書では、そうした「悪魔」イメージの鈴木という戦後史の定説が「破壊」されるプロセスを、
裁判における弁護士のように証拠をたてていく著者とともに、スリリングに体感できる。
そこには、誠実な歴史研究に裏うちされたエンターテイメントが存在している。

もちろん鈴木に対する思い入れが強い分、彼に同情がすぎる記述もあるかもしれない。
賽は投げられた。あとは、業界人や研究者が、これにどう応えるかが焦点だろう。

なお、佐藤氏の『八月十五日の神話』(ちくま新書)もすこぶる面白いが、そちらより
はるかに読みやすい。本書の編集者が、文章の校正にしっかり時間を割いたのかもしれない。

※併読するとおもしろさ倍増
猪瀬直樹『ペルソナ』:戦時の紙配給問題に、三島由紀夫と絡めて言及
小熊英二『<民主>と<愛国>』:文人の「戦争協力」について興味深く記述


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Published on 2005/9/23 by 楡岡

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