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大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清
 
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大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清 (単行本)

松元 崇 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

今こそ是清に学ぶべき時。命がけで軍部と闘い財政規律と国を護ろうとした男。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

松元 崇
内閣府政策統括官(社会経済システム担当)。1952年東京生まれ、75年国家公務員上級試験と司法試験に合格、76年東京大学法学部卒業。同年大蔵省(現・財務省)入省、80年米スタンフォード大学MBA取得(同時に日本人として初めて優秀学生として表彰される)、82年尾道税務署長、83年証券局総務課課長補佐、86年主計局主計官補佐、91年熊本県企画開発部長、93年銀行局中小金融課金融会社室長、94年主税局総務課主税企画官、95年主計局調査課長、97年主計局主計官、01年主計局総務課長、03年大臣官房参事官兼審議官、04年主計局次長、07年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 350ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2009/01)
  • ISBN-10: 4120040003
  • ISBN-13: 978-4120040009
  • 発売日: 2009/01
  • 商品の寸法: 19.4 x 14.2 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 時宜に適った財政政策論 しかも教科書読本のようにとてもわかりやすい, 2009/4/14
高橋是清といえば、昭和恐慌から日本を救った「積極財政論者」「日本のケインズ」としてもてはやされているようだが、ちょっと違うようだ。

著者は現役の財務官僚。

明治以来の日本は、借金だらけだった。日露戦争は「財政的には負け戦」。局地的な戦勝を得ただけで厖大な戦費負債を背負い込んだ。戦争は究極の有効需要だというのは誤りで、「大蔵大臣がしっかりしていれば戦争にならない」という。何よりも高橋是清は、命をかけて軍事費膨張とと戦って、そして、2・26事件で落命したのだ。

…というと、財務官僚の唯我独尊的論評だとも反発されかねないが、著者は明治以来の都市と地方との租税負担格差が地方財政を破綻させ、また、小作農の物納と地主の金納という格差が不在地主を生み、農村疲弊、社会不安の要因になったという制度設計のゆがみを指摘することからも逃げていない。その語り口は実に公正で冷静なものだ。

本書は、高橋の伝記本と思って読むと肩すかしを食らう。実は、明治憲法下の財政金融の歴史をたどるという専門性の高い一冊だ。だが、教科書読本のようにとてもわかりやすい。

戦後教育が近代史に手を抜いたせいでわれわれのような団塊の世代がかなり勘違いしていることを、懇切丁寧に指摘してくれてもいる。

いまや、「大型財政出動」の連呼。それが実は日本の将来を危うくしていないだろうか。本書は今こそ広く読まれるべきだと思う。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「財政」という軸を据えて眺める戦前史観, 2009/3/9
By 遊鬱 - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
この書に関してはまず最後の頁を繰り著者の履歴を眺めて、この書は現役「大蔵」官僚(と言っても過言ではあるまい)の立場から考える戦前の歴史を総括したもの留意して読んでいただきたい(だからこそ緊縮財政、そしてその結果深刻化するデフレ不況についての評価が財政の健全性に重きを置きすぎるがゆえに甘いのではないかと)。リフレ派の希望の星、ニューディール政策の体現者として今、高橋是清蔵相は再度注目が集まっている。その場合、主に「金融行政」の大成功者としての評価となろうかと思うがこの書では「財政政策」にも同等に、否、全体のバランスとして考えれば「財政(の健全性)」に重きをおき、高橋氏のみならず明治維新から開戦に至るまで一貫してその観点から「政治」を評価している。

なので、高橋氏と同様に松方正義氏をこの書内では高く高く評価しているのだが、その理屈は簡単に言うとこういうことになる。「財政」の健全性を守ろうとすれば必然的に「戦争」あるいは「軍備拡張」などという「浪費」は避けられたと。健全財政を守るものこそが平和の守り神であると。とどのつまり破局へと突き進むことになったのは、日露戦争は「財政的に」敗戦であったという認識が国民と財務担当者(=政治家)の間で共有できなかったこと、及び極めつけは高橋「健全」財政の元でいち早く世界恐慌を離脱し好景気に入ることができたものを、期を一にする軍部の暴走による満州への進出の成果と勘違いしたせいであると。

この書が言いたいのは高橋氏は決して積極財政一本槍であったのではなく、「緊縮・健全財政」に腐心していたということだ(だからこそ暗殺された)。大切なのはここぞという時には金融・財政政策のアクセルを全開にするに躊躇うものではなかったが、きちんとその後にはブレーキも踏んでいたということだ。そしてむしろブレーキを踏む時のほうが辛いと言うことをこの書は戦前の歴史を通覧することで見せる。

この書を読み終えたときに思うのは、今、現在がまさに「危機」の只中であるのは世界の衆目が一致するところであるのに財政・金融担当者は何をしているのか(いや、何もしないのは何故か)ということに尽きます。
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23 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 財政当局が見ている「風景」と国民が見ている「風景」, 2009/1/18
第二次世界大戦前のわが国の財政の歩みを、高橋是清という人物を軸に読みやすく綴ったもの。
明治政府の財政状況は、『日露戦争後に大きな対外債務を負うことになった』が、『それまでのわが国では、様々な困難に対して、政府と国民は概ね一体となって立ち向かっていったのに対して、日露戦争後は、国民が「勝ち戦」と思っている状況の中で、政府が一人で財政的な「負け戦」の処理を行わ』ねばならなかったという(259-260頁)。そのような「負け戦」に取り組まなければならなかった政府は、『自らは増税を回避し、増税のツケを地方に回』した(260頁)。
はたして現在、財政当局が見ている「風景」と国民が見ている「風景」とは、(実は同じ風景なのであろうが)、日露戦争後のように違う見方がされているのかどうか。だとしたら、そのツケは誰が、どういう形で支払うことになるのだろうか。
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