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ディビザデロ通り (新潮クレスト・ブックス)
 
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ディビザデロ通り (新潮クレスト・ブックス) (単行本)

マイケル オンダーチェ (著), Michael Ondaatje (原著), 村松 潔 (翻訳)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

血のつながらない姉妹と、親を殺された少年。一人の父親のもと、きょうだいのように育った彼らを、ひとつの恋が引き裂く。散り散りになった人生は、境界線上でかすかに触れあいながら、時の狭間へと消えていく。和解できない家族。成就しない愛。叶うことのない思いが、異なる時代のいくつもの物語を、一本の糸でつないでいく―。ブッカー賞作家が綴る、密やかな愛の物語。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

オンダーチェ,マイケル
1943年、スリランカで茶農園を営む富裕な地主階級の家に生まれる。両親ともオランダ人、タミル人、シンハラ人の混血。ロンドンのパブリックスクールを経て、62年、大学進学を機にカナダへ移住。67年、第一詩集『繊細な怪物』を発表。70年『ビリー・ザ・キッド全仕事』でカナダ総督文学賞。92年『イギリス人の患者』で、カナダ作家として初のブッカー賞を受賞。同作は映画化され、アカデミー賞作品賞・監督賞など9部門で受賞。『ディビザデロ通り』でもカナダ総督文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 収斂しない物語, 2009/3/22
まず、それぞれ血縁のない兄一人妹二人が、まるで家族のように暮らしている。クープ、そしてアンナとクレア。三人はある嵐の夜にバラバラになり、その後それぞれの人生を歩んでゆくことになる。やがて兄クープの物語と妹クレアの物語がふれ合い、より合わされる。一方もう一人の妹アンナは単身フランスに渡り、今は亡きリュシアン・セグーラという作家を研究するうち、そのリュシアンと晩年に親しかったらしいラファエロと出会う。ふたつの出会いは、しかしそこでプッツリと途切れてしまう。

後半は、時代をさかのぼり、アンナが研究する作家リュシアンその人の物語となる。作家リュシアンの物語はひじょうに丹念に描きこまれてゆく。隣の人妻マリ・ネージュとの出会いと交流、破綻することになる結婚生活、そして当時まだ幼かったラファエロとの出会い……。作品は、リュシアンの物語とともに閉じられてしまい、とうとうクープとアンナとクレアのその後を語ろうとしない。

クープとクレアの物語にしても、アンナとラファエロの物語にしても、これが独立した短中編であれば、まぁ穏当な終わり方だっただろう。しかし長編として読むと、やはり中途半端という印象がぬぐえない。「下の句のない短歌」とでもいったところ。私は、三人の物語がやがて収斂して、嵐の夜の記憶を乗りこえるという和解と癒しのエンディングを想像しながら読み進めていった。そして読後、作者はたぶん、私が想像したような事それこそを拒否したかったのだろうと気づいた。

はっきりそうとは描かれないものの、作家リュシアンの物語が、アンナとラファエロの物語にまったく異なった角度から光りを当てることになり、さらにクープとアンナとクレアの物語にも光りを当てることになる。いくつかのリフレインがあり、作家リュシアンが兄一人妹二人の父親にもオーバーラップしそうになる。
読者を選ぶかもしれないけれど、余韻の残る作品でした。
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