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憑かれた旅人
 
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憑かれた旅人 (単行本)

バリー・ユアグロー (著), 柴田 元幸 (翻訳)
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柴田元幸 x バリー・ユアグロー往復書簡(Eメール)
From: Motoyuki Shibata /To: Barry Yourgrau
Sent: Friday, February 3, 2004 23:53 / Subject: Haunted Traveller
   ディア・バリー、
   『憑かれた旅人』について、土壇場ですみませんがごく実際的な質問です。以下の名前の発音を教えてもらえますか?
   Gayeton(素直に「ゲイトン」でOK?)/Landesman(ランズマン?)/Bashore(ベイショア?)/Slavin(スラヴィン? スレイヴィン?)/Swiatkiewics(スヴィアトキヴィッチ?)/Palle(パル?)/Coates(コーツ?)
   目下ゲラを読んでいますが、ものすごく楽しいです。「邪魔」「大将」「前置き」――実に見事な、自己嘲笑の物語!
   日本語のタイトル(ツカレタ・タビビト)が「憑かれた旅人」だけでなく「疲れた旅人」の意味にもなるってこと、言いましたっけ?
   賛嘆の念をこめて、
   モト
   [ ※ここに挙がった人々の名前は、『憑かれた旅人』巻頭の謝辞に出てくる人たちの名前。]

   From: Barry Yourgrau / To: Motoyuki Shibata
   Sent: Friday, February 4, 2004 00:18 / Subject: RE:Haunted Traveller
   モト、ハイ、
『憑かれた旅人』についての君の詳細な質問に答えると(日本語のタイトルが「疲れた旅人」の意味にもなるのは嬉しいね)……
   >Gayeton(素直に「ゲイトン」でOK?):イエス
   >Landesman(ランズマン?):ランデスマン
   >Bashore(ベイショア?):イエス
   >Slavin(スラヴィン? スレイヴィン?):スレイヴィン
   >Swiatkiewics(スヴィアトキヴィッチ?):スウィアトキーウィッチ
   >Palle(パル?):パルラ
   >Coates(コーツ?):イエス
   それと、ああいう物語を君が「自己嘲笑」と言ってくれるのも嬉しい――実存的自己嘲笑、というか。そうやって(あんまり深刻ぶるのもまずいけど)、神の座を横取りするってことでもあるよね。「人が計画を立てれば、神が笑う」という有名なことわざがあるけど、それだったら「人が計画を立てれば、人が笑う」だっていいわけだよね。
   まあとにかく、気まぐれと、実存主義とを混ぜあわせてみるってこと。君がその点をすごくよくわかってくれて、つねづね嬉しく思っている。
   いつもながらこちらも感謝、感謝。それにeメールはほんとにすごいね。君が東京にいて、僕が凍てつく雪のニューヨークにいて、こうして「お喋り」できるんだから。
   新居はどう?
   じゃ、
   バリー
   [ ※「実存主義とは何か」を一言で説明するのは僕(柴田)の能力を超えていますが、ものすごく大まかに言うと、たとえば「(人間が)無根拠に自由であることの不安と、その不安を乗り越えようとする姿勢」と考えてはどうでしょうか。ここでバリーが言っているのは、特にその前半の「不安」の方だと思います。 ]

⇒往復書簡をすべて読む



内容(「BOOK」データベースより)

あなたの夢にも、人生にもそっくり!一人のあなたに似た?ぱっとしない?男が異国を旅する。『一人の男が飛行機から飛び降りる』の著者による空想旅行小説の大傑作。

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5つ星のうち 4.0 人生を棒に振ってしまった中年男……なのか?, 2004/5/11
By マーコ (東京都品川区) - レビューをすべて見る
短篇小説って苦手である。人物描写などが足りなくて、ひとつの話にやっと没入できたと思っていると終わってしまって次の新しいエピソードが始まってしまうし。もちろん僕のテキストの読み方が未熟であることは否めないが、それでもレイモンド・カーヴァーやローリー・ムーア、グレイス・ペイリーなどの短篇は面白いと思えるので、単に好みの問題なのかもしれないのだけれど。本作『憑かれた旅人』で数少ない好きな短編作家のひとりにバリー・ユアグローも仲間入りを果たした。

本作は「旅」をテーマにした短篇集でユアグロー作品に独特な、奇想天外な設定のエピソードが満載である。「よくもまあこんな話を思いつくよなあ」と柴田元幸氏も訳者あとがきで開陳しているが、それが読んでいる僕らとはまったく関係のないことではなく、いつかどこかで自分が抱いた妄想につながっている気がしてならない。人生は旅にたとえられることが多いが、本書を読めばあなたも自分の人生を追体験し、自分の妄想に言葉を与えることができるようになるかもしれない。

でも待てよ。柴田氏は指摘する。「……どうやら人生を棒に振ってしまったらしい中年男の悲哀が切実に浮かび上がってくる」と。僕がこの作品に強く心惹かれ共感してしまうのは、すでに「人生を棒に振ってしまった中年男」の域に足を踏み入れてしまったからなのか……

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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 塵もつもれば、塵の山となる, 2007/4/2
『「聞きたいわけないでしょ・・・孤独な根無し草の男が、へんてこな、大方は無駄に過ごした生涯に、あれこれの災難に巻き込まれた話なんて!」

さよう、かなりの物事が、その一言に要約されていることは認めざるをえない。』(本文より)

極短編とでもいうべき、原稿2,3枚ほどの旅の断片が、積もりに積もって、ある男の人生を物語る。
それぞれの話には連続性がまるでなく、舞台はどこかで聞いたことのあるような、でも実際にはそんな国などないのではないかと思わせられる、異国情緒に彩られている。

この物語のおもしろいところは、そんなファンタジーのような世界をうろつきながらも、根無し草の旅人の自尊心と劣等感、人との親密なようでいて浅い付き合い方が、妙にリアルであるところかもしれない。
バックパッカー経験のある人は、この奇妙な感覚に、少なからず覚えがあることだろう。
作中で、男も言っている。「あなたの姿を語っているんです」と。

きちんと生活をしている兄弟の元から逃げ出す「訪問」、旅の物語の最中であるのに、いきなり作者の影らしきものが登場して、「そんなまやかしではなく本当の自分について書け」と文句をつけてくる「邪魔」など、旅の物語の本音がかいま見える文章が挿入されているところがおもしろい。
特に「邪魔」は、小説の中で、こんな邪魔な文章はかつてあっただろうかと、妙に感心してしまった。

塵も積もれば山となる。塵の山となる。男の人生は、まさにそんな感じである。
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4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ハリポタとはまた違ったファンタジーの世界?, 2004/6/20
ふとしたきっかけでこの人の本を読んでからすっかりファンになってます。
今回もまるで夢でも見ているかのような奇妙なシチュエーション、意外な
自分や相手の反応が満載です。
円をなぞって真丸を書くのでなく、円を書こうとしてどれだけ奇妙な形に
書けるか、ということを頭において読むときっと楽しめますよ!
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