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言葉と物―人文科学の考古学
 
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言葉と物―人文科学の考古学 (単行本)

ミシェル・フーコー (著), 渡辺 一民 (著), 佐々木 明 (著), Michel Foucault (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介
今世紀における思想の危機、人間の危機とはいったい何を意味するのか? 文化人類学、言語学、精神分析学等の試みの基盤を精密な論証によって明示する革命的大著。

登録情報

  • 単行本: 474ページ
  • 出版社: 新潮社 (2000)
  • ISBN-10: 410506701X
  • ISBN-13: 978-4105067014
  • 発売日: 2000
  • 商品の寸法: 20.2 x 14 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2 レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 思考の系, 2007/4/6
By 古本屋A (Japan) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
普通は自身の思考は自身につかさどられている、と思っている。全部が自身のコントロールにあるわけではないが、何につけ、「主体」と称するものを前提にしないわけにいかない。この前提にそれとなく疑問を持つことはあっても、そうではない状態をどのように示したらよいか、手が無いのが実情だ。本書はこれをやった。自分で考えていると思っていても、実はそこで司る語彙や観念は、既にあるその時代・社会の「観念の系」とでも称するべき中に位置づけられている。その系の中での思考でしかないことになる。その中にいる限りこの「系」には気付かない。歴史ではなく、「知の考古学」を展開することで、著者は、この点に迫る。絶対王政期には、一般文法、博物学、富の分析があった。語ること、生命、生産といった観念は、無かった。結局「主体」の観念が無い。これは、18世紀のある時期に登場する。その以前と後では、同じ語彙であっても、「系」に占める位置価が異なる。現代は、18世紀のある時期以降の「系」の終盤に来ているのか。そこで登場した「人間」の概念も、波打ち際の砂地の絵のように消えていくのだ、という。この革命的な発想は、ウェーバー、コリングウッドらの歴史哲学に抵触する。だが、見方を変えれば、どこかヘーゲルの「大論理学」に似てはいないか。「神の叙述」としての論理学を、神無き世界の「思考の系」としているとも思える。でも、本書の意図は、むしろ、人が何かを語るということは、既にその時代の大きな知の枠の中に配置された言語で語ることに他ならない、と言っているようだ。ハーバーマスは、それを語るフーコー自身が棚上げされていることを難詰するが、彼の言説としては珍しく上等ではない。「思考する」ことの本質を衝いた名著中の名著だと思う。
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7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「人間」ついて, 2007/12/15
 ひとつのことについてだけ語りたいと思います。それは誰もがこの本について語るときに、それをつねに中心に据えて語ってしまう「人間」についてです。
 フーコーは327ページで「解決されぬかくもおびただしい無知、かくもおびただしい問いをまえにして、あるいは筆をおくべきかもしれない」が、「なお語っておかなければならない二、三のことがある」として、「人間」と「人文諸科学」について語りはじめます。したがってそれ以降において展開される「人間」と「人文諸科学」というテーマは付けたしのような形で陳述されていきます。
 何よりもこの著作において語られている「人間」とは、あくまでもアカデミックな学問の空間において、19世紀以降におけるその場において思考するかぎり、それなしでは思考することができない存在ということです。たとえば、19世紀以降、「無意識」という概念が重要視されます。それは「人間」なしでは存在しえない場ですが、他方で「人間」はみずからの「無意識」を統御することはできません。この種の「無意識」-「意識」的形態の思考を可能にするものとして、「人間」という場がどうしても登場してきてしまう、そういう意味で「人間」ということが登場してきているだけにすぎないのです。「人間」にそれ以上の意味がないことは、多少の労をおしまなければ読み取ることができるはずです。「知の考古学」にとって重要なことは、「人間」や「人文諸科学」を登場させてしまう諸条件を知ることにあるのです。それを知るために絶対に必要だと思われる輪郭的条件をフーコーは、327ページ以前のところまでに展開しているわけです。
 また、19世紀以降における「人間」の登場にたいして「神の死」のようなことが語られるとしても、「神」の存在自体は、デカルトの時点においてさえ「証明」すればことたりていた存在にすぎないのであって、それは17、18世紀においてあらゆるものを無節操に結びあわせる、「表象」理論の仮の中心点にすぎなかったのです。
 したがって本書において「人間」「神」というタームは、フーコーがもっとも重要視している「考古学的」な認識論的場(「エピステーメー」)にとっては二次的なもの、いいかえれば手段にすぎなかったのであり、重要な点は「人間」にも「神」にもないのです。
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63 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 <神>は死んだ、いずれ<人間>も死ぬ!, 2003/1/28
By 石ケ守諭邦 - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
「言葉と物」が発表されてまだ40年も経っていませんが(1966年出版)、一般にはもう古典と考えられています。では、何がそれほど画期的だったのか? この本によって新しい「人間」の概念を提出され、しかもその「人間の死」まで予告されてしまった、ーーこれに尽きると思います。

近世までは<神>について語ることができたが、カントの理性批判以降<神>について語りにくくなった。<神>について語れない以上<人間>を根拠とせざるを得ないが(ニーチェの「神の死」)、時間と共にその<人間>がそもそもあやふやな存在であることが暴露されてきて、ポストモダン(近代・後)に至った現在では、ついにフーコーによって「人間の死」が宣告される事態に至った。

ここで言われている「人間」という概念は独特なものです。<神>中心の世界観が<人間>中心のそれに移行したときに、「人間」が誕生した。それ以前にも当然<人>はいたが、それまでは彼らの「人間」性は全く問題にされていなかった。そしてその「人間」も、知の体系(エピステーメー)の変化と共にいずれ、近い将来には、消滅するだろう、とフーコーは言うのです。

では、その「人間の死」の後はいったいどうなるのでしょうか? いや、それ以前に、もっと素朴な疑問として、イエスの時代、シェイクスピアの時代、江戸時代の<人>たちと私たち現代の「人間」とは、<誕生>とか<死>とかのたいそうな言葉まで使って区別しなければならないほど、本当に大きく違っているのでしょうか? 「人間の死」以降にも<人>は存在しつづける筈ですが、結局のところ彼らもまた装いを新たにした「人間」なのではないか、という気もします。ーーいずれにしても、いよいよ「人間の死」を問題にしなければならなくなった、というあたりに、いかにも<現代>の危機的状況を感じます。

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