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奇跡の脳
 
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奇跡の脳 (ハードカバー)

by ジル・ボルト テイラー (著), Jill Bolte Taylor (原著), 竹内 薫 (翻訳)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

統合失調症の兄を持った「わたし」は、小さい頃から脳に興味を抱く。同じものを見て、どうしておにいちゃんとわたしは反応が違うの?努力の末に脳科学の専門家となり、ハーバードの第一線で活躍するわたしは、誰よりも脳について知っているはず、だった―。1996年のある日、37歳で脳卒中に襲われ、生活は一変する。左脳の機能が崩壊し、言葉や身体感覚だけでなく、世界の受け止め方までも変わったのだ。体力の補強、言語機能を脅かす手術、8年間に及んだリハビリ。そこでわたしが得たものとは、何だったのか。脳卒中になりうるすべての人に―。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

テイラー,ジル・ボルト
インディアナ州インディアナ医科大学の神経解剖学者。ハーバード脳組織リソースセンター(脳バンク)で精神疾患に関する知識を広めるために尽力しつつ、ミッドウェスト陽子線治療研究所(MPRI)の顧問神経解剖学者として活躍している。1993年より、NAMI(全米精神疾患同盟)の会員でもある。タイム誌の「2008年世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。インディアナ州のブルーミントン在住

竹内 薫
サイエンスライター。東京大学、マギル大学大学院卒。理学博士。「たけしのコマ大数学科」(フジテレビ系)の解説、「JAM THE WORLD」(J‐WAVE)のナビゲーターなど、さまざまな媒体で科学の普及活動に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • ハードカバー: 227 pages
  • Publisher: 新潮社 (2009/02)
  • Language: 日本語, 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4105059319
  • ISBN-13: 978-4105059316
  • Release Date: 2009/02
  • Product Dimensions: 7.6 x 5 x 1 inches
  • Average Customer Review: 4.2 out of 5 stars  See all reviews (22 customer reviews)
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45 of 49 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 脳卒中になって、気がついたこと, 2009/4/14
By 迷亭 (東京) - See all my reviews
NHKハイビジョンでも特集を組まれた、話題の書。

ある脳科学者(著者)が、ある日突然、脳卒中になり、
それをきっかけに、気がついたことを書いた本。

内容を簡単に分類すると、だいたい、

・脳卒中になる前に、どんな考え方で、どんなことをやっていたか
・脳卒中当日(左脳が壊れると、こんな状態になってしまう!)
・回復に至るまで(周りの人はどんなことに気を付けるべきか)
・脳卒中になって気がついたこと(右脳マインドのススメ)

という感じ。

まず、身近に脳卒中の人がいる場合には、その人が、
どのような気持ちなのか(何ができて、何ができないのか)
などを知る上で、必読だと思う。
(巻末にある、回復のためのオススメも、すごく参考になると思う)

個人的には、後半の脳卒中になって気がついたことが
非常におもしろかった。

左脳と右脳って、いろいろ語られてはいるけれど、
実際に、左脳が働かなくなってしまった人の話は、
(もちろん、本人はものすごく大変だったと思いますが)
とてもリアルで、刺激的でした。

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37 of 41 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars ”A stroke” を”My Stroke”へ, 2009/6/16
この本の原題は『My Stroke of Insight』となっている。
Stokeは”脳卒中”を意味するだけではなく、”衝撃”それに”過程”といった多義的なニュアンスを含んでいるようだ。
つまり”脳卒中から得た内観”だけでなく、”有無を言わさない経験の衝撃”、”自分の内側に踏み込み精神の不思議さと豊穣さを知っていく旅路”の3通りくらいの内容をこの簡素な英語のタイトルは示している。そしてタイトルに籠めた著者テイラー博士の想いは成功している、とわたしは考える。

神経解剖学者のジル・ボルト・テイラー博士は37歳の時、脳卒中の発作にみまわれる。本書は脳の機能が損傷していた際の驚異的な意識の変容と、8年間の回復過程を綴った記録である。

人間は、人間とは何かを問い続ける衝動をもった生き物だ。
意識や意識の座としての脳のあり方や働きについて、歴史のはじめから人間は多大な興味を持ち続けてきた。
20世紀末になって、PET(陽電子放射断層撮影装置)などの発達によって生きた脳の状態をリアルタイムで知ることができるようになったが、脳の持ち主の主観がどのように働いているかを知ることはできなかった。
障害が生じた脳がどのように世界を感じ機能するかについて、専門家の目と知識を持ちながら、主観的に観察した記録は、本文中で述べているように本書が初めてだろう。

博士は左脳の出血によって、通常の認識・知覚能力を失う。
目覚めて異変に気づいてから救急車が来るまでの間、徐々に知覚が異常を来たし、知的能力が失われていく。その際、神経学者である彼女が全く予期しなかった、宗教的ともいえる平穏な境地が通常の意識に置き換わっていく。
このとき、彼女は意識が宇宙規模で広がり、他人からのエネルギーを直接感じることができた。一般的な読者にとって最も興味深いのはこの部分だろう。安直なスピリチュアリティブーに陥ることを覚悟して、彼女は自分が感じたことを詳述する。アカデミシャンとしての立場を危うくするリスクをとったこと、相当の勇気を要したはずだ。

母親や周囲の献身的な努力により、彼女は長い時間をかけて失われた機能を回復させていく。
本文中には”手にウエイトを持ってえっちらおっちら毎日散歩した”程度のユーモアを感じさせる記述しか出てこないが、実際には挫折し絶望しそうになる思いと闘いながら、とにかく前向きにリハビリを続けていく壮絶な日々だったと想像される。

また脳の専門家としてテイラー博士はリハビリテーションの過程で失われた左脳の機能を回復させるだけでなく発病前の自分の好ましくないパーソナリティをできるだけ押さえ、ポジティブで思いやりのある性格を創造する戦略を実行した。
もしも現在がテイラー博士が脳卒中にならなかった過去の未来であったなら、今の彼女は本書とは全く違ったパーソナリティを持っていただろう。文章を通して伝わる温かみやユーモア感覚、芯の強さといった特性は持ちえていなかったかも知れない。

ニューソート的な楽観論を感じさせないでもない本書のこのような部分を厭う読者もいるはずだが、わたしは両手を広げて受け入れたい。
人間は前に進むことができる、マシな存在になることができる、という信念はもしかすると虚妄なのかも知れないが、傷ついた人にとっての最後の拠り所になりうるし、生命力を引き出す鍵となりうるからだ。

テイラー博士の旅路をたどることで、脳に障害をおったひとたちへの接し方を、根本的に考え直す必要があることに気づく。わたしにとって本書で一番強く印象づけられ、考えさせられたのはそのことだった。
コミュニケーションの基盤である顔の表情が損なわれ、身体的な機能が失われていても、これらの人たちはいわゆる健常者とは全くことなった意識で世界を認識している可能性があるのかも知れない。
このような人たちが他人のエネルギーや愛情を直感的に感じられる、という視点をもつことで、看護のあり方やリハビリ過程での接し方は根本的に見直されるだろう。
罹患者の家族や医療関係者だけの問題ではない。これらの人たちと接する可能性があるすべての人たち、自分がそのような状態に陥る可能性がある人々、つまりはわたしたち全員にとって、だ。

最後にまた原題の話に戻ろう。
テイラー博士は本書のタイトルを『My Stroke of Insight』とした。
Myという代名詞をつけることで彼女は”これはわたしが感じた主観的な経験と自分の脳をめぐるささやかな旅の話ですよ”という謙虚な姿勢を明らかにしている。
だが、この本を読んだわたしやあなたは『A Stroke of Insight』を受けることになる。
それは脳の神秘についての洞察であり、脳に障害を負った人たちへの認識であり、身体がもつ驚異的な生命力や創造力への深い関心であったりするだろう。

さて、ここまであえて触れなかったが、Strokeにはもうひとつ意味がある。
“相手への働きかけ”という心理学のタームだ。
テイラー博士からのStrokeを得たわたしたちがものの見方や他者への接し方を実際の行動として変えることができ、そのことによって社会が少しでも前進する時、『A Stroke of Insight』はわたしたちひとりひとりにとっての『My Stroke of Insight』となる。

彼女からのStrokeは、わたしたちのInsightを変える。
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7 of 7 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars いろいろ新たな発見のある本です, 2009/8/27
By arikoto (大阪府) - See all my reviews
 まず本書を読んで仏教の教える悟りの世界も確かに可能であると初めて得心させられた。若いひとにも、あるいは自分のようにこれから脳卒中になる可能性のある年齢のひとにも、いろいろな意味でぜひ一読を勧めたい書物である。
 内容はすでに多くのひとが触れているようにめずらしい動静脈奇形のために37歳の若さで脳出血を起こし、言語能力などの左脳の機能が障害され、そこから8年をかけて奇跡的な回復を遂げた体験談である。ただし患者(Jill Tayler博士)は気鋭の脳科学者でもあり、そのため患者でありながらも自分の脳の状態やその機能回復に対し極めて鋭い洞察力を発揮し、またリハビリの過程ではこれもまた学者である母親GGとの二人三脚で幼児教育を取り入れたオリジナルな方法による回復への道筋が語られる。脳卒中には当然個人差があり、すべての患者が同じような体験や同じような奇跡的回復をするとは思えないが、ひとりの稀有な患者の洞察に満ちた体験談として十分傾聴に値すると思う。ちなみに原題のMy stroke of insightではstrokeに一撃と卒中をかけているが、まさに彼女にとって脳卒中は脳の機能や人生観に対する新たな洞察(insight)への一撃でもあったわけである。
 特に感動させられるのは左脳の機能が障害されることによる右脳優位の世界、それは時間も彼我の区別もない宇宙との一体感と幸福感に満ちた沈黙の世界である、の発見である。この体験を筆者はほとんど仏教の涅槃に似た体験として記している。右脳の機能は直感であり、全体的把握であり、現在である。一方で左脳の機能は分析と比較であり、時間感覚であり、言葉の世界である。そして左脳の機能のひとつとしての頭の中のおしゃべりとはまさに至言である。確かに我々は絶えず頭の中で一種の対話を行っている。座禅をしている時、なかなか妄想が消えずに困ると言うが、それは座禅をしているときに何か変なことを考えているということでなく、ただ自然と浮かんでくる言葉や想念、すなわち頭の中のおしゃべりがなかなか止まらないということであろう。その意味で悟りの境地とはまさにこのような左脳の分析的、論理的、言語的な機能を抑え、右脳優位の全体的、直感的、そして安らぎの状態になるということではないだろうか。それならば悟りの境地はこのような左右の脳の働きに対する理解とその自己調整である程度可能ではないかと思えてくる。それによって、よりよい人生観、心のあり方、他人との接し方、なども可能となるかもしれない。
 本書でもうひとつ感動させられたのは幼児期の学習からヒントを得たオリジナルな脳機能回復法の実践である。患者として、また家族や治療者として、それぞれ立場にとっての有意義な洞察や助言にあふれている。
 さらに本書は最後に可塑性に富む我々の脳への洞察から、自分にとって好ましい神経回路の育成や好ましくない回路の抑制、そのような脳機能の自己制御による、より平和で思いやりのある人生や社会への提言を行っている。
 最後にちょっと苦言であるが、それは翻訳での女言葉のですます調が読んでいてややわずらわしい。原書の平易で優しい語り口の雰囲気を出そうということでこのような工夫になったのであろうが、英語には男女の言葉の区別があるわけでなく、せっかく簡潔であるのをわざわざ冗長で安っぽくしてしまった感がある。それがちょっと残念。
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