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脳と仮想
 
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脳と仮想 (単行本)

茂木 健一郎 (著)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

第4回小林秀雄賞(2005年度)受賞


内容(「BOOK」データベースより)

数量化できない微妙な物質の質感=クオリアをキーワードとして、意識の問題に切り込み続ける気鋭の脳科学者が提示した新しい概念「仮想」。心とは何か。どこから生まれてくるのか。小林秀雄を出発点として、漱石、一葉、ワグナー、柳田国男、三木成夫…幾多の先人の痕跡を辿りながら、近代科学が置き捨ててきた「心」の解明へと迫る、脳科学の最到達点、画期的論考。

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27 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 まだまだである, 2005/10/7
 この筆者の本は過去にも何冊か読んだことがあるが、いつもある種の違和感を覚えてしまう。それはこの人の「文体」あるいは「文章力」にあると思われる。入門書のたぐいだとあまりにもくどすぎて、読むのがいやになってしまう。それでも文体だけの問題なら許せる面もあるが、もっとつきつめて考えていくと、この筆者は自分が考えていることをうまく語れる方法論を見つけていないように思われ,それが不自然な文章につながるのではないか?(ただ、人によってはこの人の文章をほめる人もいるので、これは私のひとりよがりの可能性もある)。現代の科学は数字に置き換えることができる現象だけを扱ってきたが,その過程で私たちが実感している「クオリア」を排除してきた。前者をハードな世界とするなら,後者はソフトな世界だろう。前者を語る言葉と後者を語る言葉は従来は異なっていたように思われる(これは,科学者の文章と小説家の文章を比較すれば自ずとわかることである)。筆者は,この2つの世界に橋を架けられる言葉を探しているように思われるが,それに成功していないのである。この本でいうなら,短い情緒的な表現を何度も何度も反復させている。それを文学的と言うなら,言えるであろうが,それでハードな世界が把握できるわけではない。周辺をふらふら歩いているだけだ。私も,筆者と同じように,小林秀雄の講演のテープを何度も聴いていたので,この本に期待していたが,小林秀雄の世界を深めるには至っていない。現在,日本では「クオリア」の第一人者である筆者には,日野啓三の『落葉 神の小さな庭で』のような,それこそクオリアに満ちた文章を書いていただきたい。
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35 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 情緒過多の雑談集, 2005/10/13
まずいうべきことは、本書は、認識論に関する論文ではなく、
また、最新の脳科学の成果が述べられているわけでもない。
綺麗に言えば、心理学に関する文学的随筆集。
ありていに言えば、雑談集。
研究成果や事実や証拠を示しての論証がないからである。

文体は、恥ずかしくなるほどロマン的である。
例えば、たまたま人影がまばらだったバイロイトを訪れて、
>人類は絶滅してしまったかと思うほど
とは感傷的にすぎるであろう。

第6章の最後に
>それが、私たち人間が生きるということなのである。
とは、ずうずうしくはないか。

「仮想」といっているのは「幻想」もしくは「空想」と言うべきことである。
サルトルや大江健三郎ならば、「想像力」というところだ。
ただし、彼らには、人間の根源的自由という思想的背景があった。
著者にはこのような思想性はない。

「仮想」といえば、「仮に想う」ということであり、
「真に想う」を前提として、試しに「仮想」するのであり、
「仮説」と同様に「真理」に至るための「方法」をいうのである。

ではなぜ「幻想」といわずに「仮想」と言ったのか。
吉本隆明さんの「共同幻想論」を意識してのことであろう。
それ故、三木成夫さんには言及しても吉本隆明さんには一言も触れないのである。

また、著者の科学批判に賛同できない。
著者が掲げる命題には、反対命題が定立可能である。
論証なしの命題には、論証なしに反対命題が可能だからである。
このことに気づいていないことを以てして、
論文ではなくて雑談である所以とする。

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15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 脳科学への檄文, 2007/3/27
By Y. Naito (神奈川県鎌倉市) - レビューをすべて見る
腰巻などには「最先端脳科学の現場から生まれた、画期的論考」などとあるが、作者が脳科学研究の現場に身を置いて自らの考えを凝らしたという点で脳科学との接点はあっても、本書はおそらく脳科学者たちが広く認めうる学術的論考ではない。そして、こういった論考が、現在のアカデミアにあっておそらくはオルタナティヴであること自体への疑義、あるいは叫びが、本書の中核にあるように感じる。

近代科学の方法論の枠組みでは、意識や心の問題に接近することはできない。本書が手を変え品を変えて本書で伝えようとしているのは、そのことである。ではどうすればいいのか、その答えは本書にはない。答えが出せれば、コペルニクス、ダーウィンといったある分野のパラダイムを創成した哲人の系譜に列せられるだろう。

私たちは、生まれたときから科学文明にどっぷりと浸かってその恩恵を享受し、科学という方法論が、この世界の隅々までを照らし出すであろうことを疑っていない。疑っていないことを意識すらしていない。この頑迷にして頑強な近代科学万能主義が、本書が乗り越えようとする巨大な壁であり、格闘する作者の姿は、作者が尊敬し、本書にも数多く引用される小林秀雄の姿に重なる。
多彩かつ魅力的な引用と、平易でわかりやすい文章によって、非常に抽象的なことを、その本質をごまかすことなく論じているにもかかわらず、誰にでも読みやすく、すんなりとその内容が頭にしみこんでいくような魅力的な本になっている。
と同時に、熱いアジテーションがその底流に流れている。その矛先が向かっているのは、近代科学を担ういわゆる「理系」の研究者たちではなかろうか。本書では、何らかの新たな理論、原理が提案されているわけではない。本書に託された役割はむしろ、現在あるいは未来の脳科学を担う人々への「檄文」であろう。
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