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ローマ亡き後の地中海世界(上)
 
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ローマ亡き後の地中海世界(上) (単行本)

塩野七生 (著)
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商品の説明

内容紹介

ローマ帝国が滅んだ後、地中海の国々を襲ったのは、略奪、拉致を繰り返す「サラセン人の海賊」だった──。『ローマ人の物語』に続く歴史巨編の傑作。


内容(「BOOK」データベースより)

「パクス・ロマーナ」が崩れるとはどういうことか。秩序なき地中海を支配したのは「イスラムの海賊」だった。衝撃的な、『ローマ人の物語』のその後。

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5つ星のうち 5.0 西地中海の海賊の横行を視座に据えた新鮮な中世史, 2008/12/28
By ともぱぱ - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
海を巡る歴史に造詣が深い著者ならではの、新鮮な中世史の読み解き方が提示される好著だ。扱う時代はイスラムの台頭から始まるが、ある1つの国・王朝の興亡をじっくり説く本ではない。8〜15世紀を中心に、イスラム化された北アフリカから出撃する海賊がヨーロッパの西地中海沿岸、特にイタリア半島の南部及びティレニア海沿岸、シチリアにどれだけ甚大な損害を及ぼしたか、それに対してキリスト教国はどのように防衛・反撃したかという大きな歴史の流れが叙述される。十字軍やノルマンの地中海進出にも触れているが、それよりも名もなき貧しい人々がどれほど苦しめられ、北アフリカに拉致された人々はいかに悲惨な目にあったか、最初は組織的な反撃ができなかったキリスト教国がやがてイタリア海洋都市国家の勃興とともにどのように反撃、あるいは拉致被害者を救出するようになったか、そして拉致被害者の救出のために献身的かつ非暴力の活動を継続した「二つの、国境なき団体」の歴史に重点が置かれている。ヨーロッパ中世史に関しては英・独・仏に目がむきがちだが、海賊の脅威が西地中海沿岸諸国にこれほど大きな影響を与えた(例えば産業・交易の衰退という中世の特徴を形成する一因となった)ことを本書は教えてくれる。結局はキリスト教対イスラム教という一神教同士の対立に帰着するのだろうが、ある時期シチリアで2つの宗教が共生できた歴史的事実は重要。著者は現代も愚行を繰り返す人類の将来に全く希望を持っていないとは言えないだろう。シチリアに比較的多くの頁を割いてその歴史を熱く語る著者の姿勢からそう思う。最後に、本書は本文303頁、イタリア沿岸の海賊監視塔であった「サラセンの塔」の詳細な分布地図と代表的な塔の風景写真がカラー刷りで32頁、そして年表付き。紺碧の海の美しさと廃墟となった塔の対比に諸行無常を感じる。
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79 人中、63人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 塩野七生の光と影, 2008/12/21
ローマ人と過ごした至福の15年も終焉し、
心に穴が開いてしまったようだった。
そこへ来てローマ亡き後の地中海世界・上下巻の刊行は
小躍りしたくなるような慶事だった。
発売の初日に喜び勇んで都心の書店に駆けつけた。
終わってしまった筈のこの恒例行事をもう一度することができた。
なんという贅沢。塩野先生、最高だ。

刊行の記者会見によると、
「守らなければならない法も、そして倫理もなくなったのが
中世という時代。そういう時代には何が起こるのか?」
というテーマを上・下巻に分け、切り口を変えて扱うという。

本書は、ローマ世界の終焉、特にスティリコの死以後と同じく、
ある程度の覚悟を決めて、腹を据えて読み込むべきだと思う。
振り返れば、第15巻・ローマ世界の終焉は
虐殺・略奪・暴行・劫掠・都市抹殺・民族浄化と、
人間の所業に絶望するような記述が、これでもか、これでもかと続いた。
ページを捲る度に何千、何万人と罪無き庶民が殺され、財産を根こそぎ奪われていく。
海の都の物語の最終章、ヴェネツィアが死に至るまでの細密で緻密な記述を
更に恐ろしくしたような巻だった。

ローマ亡き後の地中海世界も、その延長線上にあるといっていいと思う。
巻末にある美しい写真の数々には「希望はどこにもない」という一文が添えられている。
本書を象徴するような、この美しい景色と虚無の落差はどうだろう。
ここで少しだけ頭に過ぎったのは、(作者の頭中も掠めたと確信するが)
せっかく刊行するなら、他に英雄が勇躍する歴史物語はどうなのかということ。
(アレクサンドロスで永遠の若さをテーマにするのは時期尚早なのですか?)
また前々から思うのは、海の都の最後といい、ローマ人の最後といい、
塩野先生と付き合い、別れる男たちは皆、最後はあのような、
これでもか、というくらいの恐ろしい目に遭ってしまうのかということ。

もうひとつ、ローマ亡き後は、五丈原の孔明の死以後の三国志の記述も連想させる。
五丈原以後の三国志は、それまでの英雄が勇躍する物語から一転し、
裏切りと権謀術数の三国志へとガラリと変わってしまう。
手に汗握る知略の激突はもはやなくなり、無常観だけが三国志世界を覆う。
三国志の作者はこの無常観を本編として描きたかったが為に、
孔明の死までの諸侯の英雄譚を、予告編として長々と記述したともいわれる。
「ローマ亡き後の地中海世界」をいきなり刊行しても商業ベースには乗らないだろうと
いうことは、冷徹な作者が誰よりも一番わかっていたことだと思う。
「ローマ人の物語全15巻」があって、はじめて刊行可能だったということを。
作者もまた、ひとつの目的だけでひとつのことをする人では
ないということを改めて痛感させられた。
三国志といい、ローマ人の物語といい、両者とも予告編が凄すぎる。

***
歴史は人間の所業だと作者は説く。
見たくない現実も直視しなければならないように
見たくない歴史も直視しなければならないと、問いかけでもしているようである。
「英雄を愉しむばかりが歴史ではない」「歴史も人間も綺麗ごとばかりではない」
「恋愛にも似て、人間性には光もあれば、宿命的に内在する漆黒の闇もある」
「それは決して他人事ではない」
そんな魂の叫び声にも似た何かが本書を通じて、中世の歴史の彼方から聞こえてくる。
意図的かどうかはわからないが、ローマ亡き後の地中海世界上巻に、
「カエサル」の文字は見当たらない。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 皆さん, 2009/3/30
上下ともに読ませて頂きました。読みやすく面白いストーリー展開です。西ローマ亡き後の地中海と、言ってもほとんどイタリアのお話し。特に、イベリア半島の状況はすっぽり抜けています。イタリアに住む著者が、イタリアの立場から見た世界史と言った方がいいのではないでしょうか。当然、十字軍のお話も出てきますが、キリスト教徒の暴挙は書かず、フリードリッヒ2世などは裏切り者です。キリスト教と言っても、それはほとんどカトリック教徒の代弁です。ごく僅かに予防線を張って、時々繕っている所が小賢しい思いがします。これを読んで、イスラム=残虐な民族と、理解する読者が居たら不幸なことです。所々にでる著者の意見には、私自身賛同しかねる所が多かったです。
参考文献の多くはイタリアのモノの様ですが、これらの作品を、もしイタリア語でイタリアで出版されたらいかがでしょうか?研究者の意見を聞きたいモノです。またイスラム側の言い分も聞いてみたい物です。
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