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黒い雨
  

黒い雨 (単行本)

井伏 鱒二 (著)
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内容(「BOOK」データベースより)

一瞬の閃光とともに焦土と化したヒロシマ。不安な日々をおくる閑間重松とその家族…彼らの被爆日記をもとに描かれた悲劇の実相。原爆をとらえ得た世界最初の文学的名作。


内容(「MARC」データベースより)

ピカドンによる肉体・精神の苦悶と悲しみ。重松の被爆日記、閑間夫人の戦時中の食糧雑記、岩竹医師の被爆日記、岩竹夫人の看護日記他をもとに、悲劇の実相を日常生活の場で淡々と描く、世界文学史上不朽の名作。新装版。*

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5つ星のうち 5.0 原爆文学の、ではなく、文学の本質, 2005/5/14
By そばばばん - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
このレビューの引用元: 黒い雨 (新潮文庫) (文庫)
原爆罹災者である重松・シゲ子夫婦と、「黒い雨」にうたれたその姪。作中に挿入される重松の手記を中心に、物語は展開する。手記は「あの」8月6日から、8月15日を最後に幕を閉じるのだが、原爆投下直後の描写は凄惨の一言に尽きる。
私は、広島出身でも無ければ、「戦争を知らずに僕らは育った」という歌詞で有名なフォークソング『戦争を知らない子供たち』すら知らずに育った世代の人間だ。原爆に触れたのは、小学校の時分に漫画の『はだしのゲン』を読んだり、修学旅行で平和記念資料館に行って嘔吐したのが主な経験であるに過ぎない。そんな私にも「ただの文章」でもって迫ってくるのは、井伏鱒二という作家の力であり、その力量にはただ脱帽するばかりだ。
原爆をテーマとした文学作品は多々あり「原爆文学」というジャンルすら確立しているが、本書は単に原爆をテーマとした作品であることに止まらない。本作品には、「いかにも悪者」と言った風情のステロタイプな旧日本軍人は登場しない。主人公が「いかにも」な反米、戦争反対のメッセージを叫んだりもしない。よく描写されているのは庶民の生活であり、つまるところ「人間」である。本書は安っぽい反戦プロパガンダのダシではない。
だからこそ、本書は「ただの」原爆文学に止まらない名作として読み継がれ、そして読み継がれて行くのだろう。人間の本質に迫る一級の文学作品として味わって欲しい。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 これはかなりイイ!, 2008/1/19
このレビューの引用元: 黒い雨 (新潮文庫) (文庫)
 著名な文学作品でも意外と評価が星五つで維持されている作品は少ない。だから、名前だけは知っていたけれども、この作品のページを見たときにはちょっと驚いた。このレビューは12件目になるわけだが、11件の状態で星五つなのだから、これは相当高い方だ。それで食指を動かされて早速読んでみたのだが、他のレビューアーの方の高評価の原因が分かった。高名な文学者に対する媚びへつらいでも何でもなく、この作品はホントに素晴らしいものだ。
 黒い雨というタイトル。ちょっと詳しい人なら原爆の本だと分かるかも知れない。原爆症を背負った主人公の原爆当時への回顧がこの本のベース。原爆症だと疑いをかけられているために縁談がいつもうまくまとまらない養女扱いの矢須子のために自分の原爆日記と矢須子の日記を比較させようとするため、また、図書館司書との約束で日記を清書するため、などの動機付けがあって主人公の八月五日から終戦までの日記を辿っていく。抑揚のない重みのある文体である。爆心地から二キロの地点で被爆した主人公の第一人称で、原爆の悲惨な有様が殆ど主観を交えずに語られていく。当事者の語るそれは悲惨である。また、同時に原爆直後を生きた困窮しきった人達の生活も見えてくる。作品の終盤で黒い雨に打たれ、病魔にむしばまれていく矢須子の病状からも戦争の無惨さを思い知らされた。評価を続ければきりがないが、特あげておきたいのが、特定のイデオロギーにこの本が縛られていないこと。原爆関係の本は本当に嫌というくらい左翼っぽかったりするが、この本は本当にごく自然な形で原爆直後の様子が描かれている。そこから著者の無言のいたわりと、戦争への想いが語られているわけだが、誇張して暴論を振り回すのではなく、本当に日常的な観点から描かれているという点でこの本は本当に評価されるべきものだと思った。
 日本人が心にとめておきたい一冊。そう評価していいと思う。
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16 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 日本人として読むべき一冊。, 2006/7/22
このレビューの引用元: 黒い雨 (新潮文庫) (文庫)
読んだ後の感じが他とは全然違う。すごく暗い気持ちになった。読み終わって一番に思ったのは(失礼かもしれないが)「長い!!」という事。でも実際の被害はたった400ページで語りつくせるものではないに違いない。そう思うと、原爆によって戦後60年経った今も苦しんでる人がいるという事実に切なくなる。
次に思ったのは「日本人にも外国人にもこれからを生きる人には必ず読んでほしいな」という事。唯一の被爆国である日本が生んだ名作なだけに、学ぶものも多い。私はこの読書を夏休みの宿題として出され、最初はしょうがなく読んでいたのだが、読み終わった今、「中学3年というこの時期に読んでおけてよかった」と感じている。なんだか感想文みたいになってしまったけれど、とにかくあなたに読んでいただきたい。こんな時代だからこそ。
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