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制服捜査 (新潮文庫)
 
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制服捜査 (新潮文庫) (文庫)

佐々木 譲 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

札幌の刑事だった川久保篤は、道警不祥事を受けた大異動により、志茂別駐在所に単身赴任してきた。十勝平野に所在する農村。ここでは重大犯罪など起きない、はずだった。だが、町の荒廃を宿す幾つかの事案に関わり、それが偽りであることを実感する。やがて、川久保は、十三年前、夏祭の夜に起きた少女失踪事件に、足を踏み入れてゆく―。警察小説に新たな地平を拓いた連作集。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

佐々木 譲
1950(昭和25)年、北海道生れ。札幌月寒高校卒。本田技研勤務を経てフリーに。’79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。’90(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 警察小説の秀作, 2009/5/21
これは面白かった。
この作家の小説は初めて読んだのだが、味わい深い警察小説だった。

北海道警の不祥事が発覚したその後の警察の対応で、北海道警全体が移動の嵐に翻弄された。
犯罪捜査を専門としてきた川久保も、札幌からここ釧路方面志茂別駐在所へ移動させられ25
年の警察官人生で初めての駐在勤務となった。
専門性が重視される職場の移動は、各部署での混乱を生んでいった。
ベテランの強行犯係りの刑事が運転免許の更新業務に回されたり、長く地元で駐在勤務してき
た信頼されている警察官が、なれない鑑識仕事にたずさわったり、警察内部の矛盾も描かれ読
者を引き込んでいく。

川久保も家族を残しての単身赴任を決め志茂別駐在所にやってくるが、なんと初日から地元有
力者の訪問を受け無理やり酒を飲まされてしまう。
このコップ一杯の酒を拒めなかったために、後に川久保は後悔をすることになる。

こうして忸怩たる思いをした最初の事件から始まった駐在所の生活が、淡々とした筆致で描か
れていく。
「逸脱」
「遺恨」
「割れガラス」
「感知器」
「仮装祭」
5つの短編からなる連作である。
どの章も北海道の片田舎に起きた事件の裏が暴き出されていくところに読み応えがある。
過去の秘密や、覆い隠されていた様々な人間関係が元になって起きる事件。
片田舎の人間模様が丁寧に描かれ、小さな村の腐敗や恥部が暴かれていく。

最後の「仮装祭」は圧巻。
淡々とした語り口が、一転臨場感溢れる筆致となり息も尽かさぬ展開に引き込まれる。
読者は祭りの只中に取り残されたような気持ちを味わう事となり、賑やかなお囃子、人ごみの
ざわめき、埃っぽい祭りの空気を体験させられる。

警察小説の傑作として記憶に残る作品だった。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 身近な名前, 2009/2/16
By yass - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
存在しない志茂別は別にして、広尾やその他の町は実在し、リアルな感じだ。
十勝の雄大な自然の中で次々と起こる事件は、駐在さんの範疇を超えるのだ。
連作の中で描かれる日常の考え方のズレ。
それが重なることで犯罪が発生するのだろう。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 駐在警官の制服捜査が田舎町の虚構をえぐってゆく, 2009/1/29
By Wakaba-Mark - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
本書は、’06年、「このミステリーがすごい!」国内編第2位にランクインされた、連作短編集である。
’04年と’05年の間に「小説新潮」(臨時増刊号を含む)に掲載された5編からなっている。

主人公の川久保篤(あつし)巡査部長は、札幌で盗犯係や強行犯係などを経験した一線級のベテラン刑事だったが、北海道警の組織ぐるみの不正事件のあおりを受けて、釧路の志茂別(しもべつ)町という人口6千人の田舎町に転勤させられてしまった。しかも、25年の警察官人生でまったく経験のない単身赴任の駐在所勤務である。

物語は、そんな田舎町でも起こる、さまざまな事件を通して川久保が経験する、田舎町ならではの人付き合いというか、因習である。彼は制服駐在としての捜査の限界に阻まれながらも大小の事件に遭遇してゆく。情報源は35年間この町で郵便配達をしてきて、2年前に退職した片桐だ。片桐は志茂別町のデータベースとして、時に川久保の捜査を助ける。
そうして川久保は町に溶け込んでいく。いやいかざるを得ないのだが、人間模様に精通していくに従い、あらゆる不祥事に蓋をすることで、表向きは平和な町に見せかけようとはかる町の有力者たちが放つ腐臭を感じ取るようにもなってゆく。

本書は、小さな町特有のどろどろとした濃密な人間関係によって培われた虚構を、突然そこに放り込まれた元敏腕刑事の異邦人が、駐在警官の制服捜査を通して、えぐってゆく物語である。豊かな自然と純朴な人々に囲まれた田舎暮らし、などというのは都会人の持つ幻想であることは本書を読めば一目瞭然である。
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