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壁 (新潮文庫)
 
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壁 (新潮文庫) (文庫)

安部 公房 (著)
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5つ星のうち 5.0 「世界の果ては私自身だ」という物語, 2008/6/15
By ボンちゃん (東京都荒川区) - レビューをすべて見る
安部公房さんの(壁)「第一部 S・カルマ氏の犯罪」を読んで、おれも一日考えてみました。

「地球」とか「宇宙」という名前があり、全部ひっくるめて「世界」という名前がありますが、
その内側には、これまたあらゆる名前のついたものが存在し、その実体、または概念が
存在しているということは、誰でもおおよそ認識できると思います。

ですが宇宙の境界(壁)の外側、向こう側には、どんな「世界」がある?のでしょうか。

これまで人間が認識したことのない世界、いわばまだ「名前の無い世界」。
ちゃんとした名前がまだ「無い」ということは、かつて誰も経験したことの「無い」世界、
もっと大袈裟に言うと、まったく概念に「無い」世界で、すなわち誰一人知ることができない世界です。
人間は名前(固有名詞)の「無い」世界で生きたためしがないのであって、「無い」とは喪失した、喪失している、ということ、つまりこの小説の主人公も、ある朝、名前が突然無くなって、自己喪失というか、
そんなめにあうわけです。

自分に名前が無くなったおかげで、砂漠になってしまった主人公の胸について、
哲学者やら法学者やら数学者が出てきて
破天荒な裁判(議論)が繰り広げられます。まさに人類の教師達の退屈しのぎが始まるのです(^^)
いくらみんなが思考を重ねても、人間の認識には限界があって、
主人公も犯罪者のように扱われて戸惑うばかりです。

「自己喪失」=「自己認識でき無い」=「無い」=「無」につながるのであれば、
我こそ認識できる範囲の行き止まり(限界)であって、世界の内側の境界、または世界の(壁)そのもの
という存在と化し「世界の果てとは、私(人間)自身ぢゃないのか」と、
意外な結論に導かれていくのでした、、、

とてもおもしろかった。でも自分なりの解釈が間違ってたらごめんなさい(^^)
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25 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 壁にぶち当たった。IDカードをつかう?諦める?, 2006/3/19
By ミーミルの泉 (北海道) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
現代ではちょっとした職場だとIDカードを首から下げていたりします。カードで、その人が誰であるか認識しているわけですね。
じゃ、そのカードを紛失したらどうなるのでしょう?その人は名前を失うことになる?
自分の名前を忘れたわけではないのに、カードを無くしたことで名前を失う。
もっと最悪の場合、そのカードを使えば他人がIDカードの人物になりすますこともできてしまいます。
よくよく考えてみれば、それってとても怖いことです。

で、阿倍公房『壁』です。
難しいです。前衛的といっていいのかどうか……もちろん日本語で書いてある文章なんだけど、それでも何を書いてあるのか理解するのはよほど神経磨り減らします。
壁って、何でしょう?乗り越えるもの?ぶち壊すもの?迂回するもの?下から潜り抜けるもの?あるいはテレポートとかワープといった反則もアリでしょうか。
でも逆に、外の世界から守ってくれる盾かもしれません。そもそも自分が居るのは、壁の内側?あるいは内側に見えて実は外側だったりして……
そしてIDカードって大抵は、壁に囲まれた特定の範囲の中で有効なものだったりします。

名前というIDカードを紛失した時、壁に対してどう挑めば良いのでしょうか?そんなことを考えさせられた作品でした。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 不条理作家の不可思議作品, 2008/11/19
By kaizen (愛知県) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
不思議な世界。
カフカの変身と並び賞される。

出た頃の欄外への書き込みを記録します。
「世界の果て、壁ー>日常化ー>脱出=新しい世界の提案=新しい意生き方

安部公房は、不条理なことを、不可思議な表現をする作家なのだろうか。
壁は人の外部にあるのではなく、内部にあるのかもしれない。
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